いじめられて喜んでるのは俺? |
前回からの続きです。
ワインレッドさんが最初からローテーションに加わらないという意表を突いた作戦?
に出て私達の列車は4人で高速巡航する事になりました。
空気抵抗をみんなで分担する事で
単独では維持する事が難しい速度を維持します。
まさに列車の中は特別な空間・・・
絶え間なく襲ってくる空気抵抗という敵から
列車の中に身をひそめる事によって守られる。
しかし、一たび列車から飛び出してしまえば
空気抵抗とたった一人で戦わなくてはならなくなります。
先頭を引いた仲間が列車の左側を下がって行きます。
その時、一番後ろのメンバーが「最後尾です!」と声を掛ける事で
仲間が再加速するタイミングをアシストします。
再加速のタイミングが遅れると最後尾から距離が開きすぎて
余分な脚を使ってしまうから。
列車から千切れれば二度と追い付く事は出来ない・・・
時速40kmオーバーの空気の壁は
圧倒的な力でわれわれの列車を通り過ぎていきます。
空間を高速で移動する緊張感の中で全身の細胞が覚醒します。
密集した4台のロードバイクの群れが先頭交代を繰り返し
まるで一つの生き物のように動き始めた時
我々は千種川を吹き抜ける一陣の風になった。
「げんそくぅ~!」
「すとっぷぅ~!」
寺坂峠の入り口の信号で非日常の快感は終わりを告げました。
道路脇に移動してワインレッドさんを待ちます。
「はぁー!気持ち良かったぁあ!」
「脳内から快感物質のドーパミン出てるの分った?」
「分った!分った!」
かなり心拍を上げて脚も使ったはずなのに
快感が苦しみをマスクして興奮冷めやらぬ様子です。
「最後尾に付くって難しいっすね!
タイミングが遅れて結構、脚、使いました」
とは、ローテーションの練習に初めて参加した住友輪業さん。
そして最後にワインレッドさんを待ちます。
列車に乗らないと、こんなに千切れるんだなと改めて実感するくらい
遠くにワインレッドさんが見えました。
見通しの良い、のどかな田園風景の中を一本の道が走っています。
その道を最初っから完全一人旅のワインレッドさんがご機嫌に走ってきます。
少なくとも私達には気持ちよさそうに走っている様に見えました。
ワインレッドさんが到着して開口一番
「いやぁ~皆さん、気持ち良かったっすか?」
最初っから一人旅を選んだと言う事が彼の表情を複雑に
そして少し滑稽にさせたのかもしれません。
住友輪業さん、大受けして大笑い。
「気持ち良かったっすかぁあって、
ワインレッドさんが一番気持ちよさそうに走ってましたけどぉ~」
大笑いの中でワインレッドさんだけがバツが悪そうに苦笑い・・・
「じゃあ、そろそろ寺坂峠、上りましょうか!」
私の声が合図となって一斉に上り始めました。
相変わらず坂好きで速い住友輪業さんが一番に抜け
そしてそれを追ったのがモーニングさん・・・
この構図は同じでしたが
そのモーニングさんを追ったのがワインレッドさん!
「あああっ!ワインレッドさん、脚残ってるやん!」
私がそう叫んだ時には遅かった。
ワインレッドさんの背中はどんどん小さくなっていきました。
そうです、ワインレッドさんはこのためにローテーションに加わらなかったのです。
「ずるいぃ~!」
ワインレッドさんを必死に追いますが
ローテーションの練習で脚を使った私には追い切れませんでした。
ワインレッドさんの勝利!
寺坂峠を上ると言うだけで繰り広げられた小さな人間模様・・・
人間とは、かくも愚かな生き物かな・・・
最後に笑えれば、それでいいのだ!
そこから佐用のまでは数キロでしょうか。
住友輪業さんのご要望通り
ホルモン焼うどんを食べに「新さよ」へ・・・
コギコギさんのブログ見てから
この店来るの5回目っすよ!」
子供を産んでいない30カ月までの雌の和牛のホルモンですから
脂が旨みを撒き散らしながら口の中に広がっていきます。
思わず笑っちゃうくらい美味いです。
御希望通りホルモン焼うどんを食べる事が出来た住友輪業さんは
満面の笑みを浮かべていました。
そして、店を出て、さあ帰ろうかとロードバイクに跨った時です。
クライム君に声をかけられました。
「コギコギさん、どう帰るんですか?」
「このまま上月まで行って国道373号線を千種川沿いに帰ろうと思う。
それだったら坂無いでしょ」
「・・・・・・」
「どうしたの?」
「僕ねぇ・・・せっかくだから、距離乗りたいんで・・・
ここから佐用坂超えて国道179号線に出て
そっから相坂峠越えて揖保川沿いを南に進んで
国道250号線を西に進んで赤穂から上郡に帰ろうと思うんですけど・・・・」
「佐用坂?相坂峠?」
クライム君は何をおっしゃっているんでしょうか?
トリガタワの旧道走らされて
ローテンションの練習でめいいっぱい脚使った後に寺坂峠上って
その上更に佐用坂、と相坂峠上れだと?
「私には、そう遠回りにはならないけど・・・・」
「僕は距離乗りたいんで・・・・」
「い、いいよ!そのコースで帰ろう!」
ああああああ、言っちゃったぁああああ!
僕は押しに弱いのでぇええええす!
ワインレッドさんは家が佐用なので、そんな遠回りはしないと離脱宣言(ごもっとも)
私はパンパンの脚に更に乳酸を溜めるべく佐用坂を上りました。
そして国道179号線は私が先頭を引いてやります。
この先ペースを上げられたら脚が大変なことになっちゃいます。
だから敢えて私が先頭を引いてペースが上がらない様に蓋をするのです。
しかし相坂峠に入ると
いくらなんでも私が蓋をしているわけにもいかなくなって
「こっからは自由行動!
どうぞ先に行って!」
すると坂好きの住友輪業さんは満面の笑みで上って行きます。
もちろんモーニングさん追う!
クライム君心拍ををさえて上る
私、精一杯心拍を上げて最後尾で上る・・・
あああああ、朝からこの構図、変わらない・・・
平坦路になってクライム君が先頭で前を引いていると
前方に一人のローディーが走っているのが見えました。
次第に距離が縮まって行くと
私の後ろを走っていた住友輪業さんが教えてくれました。
「コギコギさん!あれヴェルジェでは?」
「あっホントや誰やろ?」
見覚えのあるジャージは日頃から仲良くさせてもらっている
チームヴェルジェのものに間違いありません。
信号待ちで追い付いて挨拶しました。
「こんにちは!コギコギです!」
「なんやぁコギコギさんかぁ~」
「ガッツさんかぁ~今日は何処へ?」
「青垣峠行って来た」
「単独で?」
「いやチームで・・・」
「みんな坂、好きやねぇ~」
そんな話しながら私はヤバいと思っていました。
ガッツさんは速い人です。
これだけローディーが後ろに居るのに普通に走ってくれるわけがありません。
信号が青に変わるとガッツさんのスイッチが入った!
「うわっ!やっぱり!」
「はぇ~!」
「ゴリゴリ引きますねぇ~」
メンバーからの声が聞こえていたのか聞こえていないのか
チームヴェルジェの看板を背負っているガッツさんは容赦なく前を引きました。
あ~せっかく平和な平坦路だと思ったのにぃ~
揖保川付近まで引いてもらって彼とはお別れ
今度こそ平和に揖保川沿いを走れるかなぁと思っていたら・・・
「ちょっと速くありませんか?」
先頭を引いていたのはモーニングさん。
彼は後続に「速い」と言わせる事に快感を覚えるのでしょうか?
最後の最後まで機関車みたいに引いていました。
「軽くトリガタワを走ろう」と始まったサイクリング・・・
誰が「軽く」やねん・・・
自転車乗りは嘘つきの始まり・・・
走行距離…125.04km
時間…4:50:32
平均速度…25.81km
最高速度…57.00km
平均CAD…81
積算距離…29885km
消費㌍…2771kcal
補給食…###kcal
心拍…Avg.142 Max.###
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
こんな風にいじめて頂いて、どこか喜んでいる俺って・・・・
クライム君はこのあと遠回りなのに、はりまシーサイドロードを走りに行きました。
凄いですねぇ~
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