この記事は9月23日(日)の出来事を書いたものです。
前回からの続きです。
「そろそろ行きましょうか。
ここからが本番だからね!」
走行距離は予定の半分まで来ましたが
残りの半分は難易度が高くなります。
コーナーは不規則に
勾配も一定ではなくなります。
相変わらずオートバイが多く
私達は事故を心配しながら進んでいました。
すると、案の定、車とオートバイの接触事故の現場に遭遇しました。
コーナーの少し広くなったところで
ドアに大きな傷がついた車が停車しています。
その傍らに意気消沈で佇む女性ドライバー。
地面にはオートバイと
怪我をしてうずくまる女性ライダーの姿。
元オートバイ乗りのおばさんが駆けよりました。
話を聞くと
ここは携帯の電波が届かないため
女性ライダーのパートナーの男性が助けを呼びに向かったとの事。
そこへ上から降りてきた車の男性が停車、窓を開け
頂上付近でもオートバイと車が衝突していたと教えてくれました。
他人事ではありません。
しかし、私達が出来る事は
安全に走行する事しかありません。
「予想してた通りになった・・・
オートバイは上りもスピードが出るからなぁ・・・」
その点、自転車の上りは
まだマシと言えるでしょうか。
速度が遅いので
コーナーでいきなりドンの可能性はオートバイよりも低いかもしれません。
それに、エンジン付きの乗り物よりも景色を楽しむことが出来ます。
まず、エンジン音がしない。
岩肌を流れる小さな滝の音も聞こえます。
更に、鳥のさえずりも聞こえます。
そして何より
全身で空気感を感じることが出来ます。
時折停車して写真撮影。
岩をくり抜いただけのトンネルなんて
潜り抜けるだけでスリルかも。
「崩れないのかなぁ・・・」なんて言いながら・・・
でも照明の無い長いトンネルは怖かったですねぇ~
ライトがあっても目が慣れる時間が無くて・・・
「しっかりハンドル握ってぇ~!
しっかり前を見てぇ~!」
なんて叫びながら走り抜けました。
やがて頂上に近づくと
勾配は8~11%くらいの所も出てきます。
その代わり景色は
天空に近づきつつあることを物語るようになります。
ただ・・・おばさんは徐々に遅れ出します。
でも、おばさんの限界というわけではありません。
まだ大丈夫!
やがて景色の方が
明らかに森林限界を越えました。
頂上はもうすぐです。
「おばさぁ~ん!
もうすぐです!」
ヒトムさんがスマホのカメラをおばさんに向けました。
「もうすぐ」の声に
背中を押されるようにペダリングします。
そして遂に
一気に視界が広くなる!
「やったぁ~!」
おばさんは遂に1600m上空に辿り着いたのです。
目の前に広がるのは
森林限界を超えた笹原の山肌・・・
生い茂る木々が無いという事は
こんなにも世界を広くするのでしょうか。
四国山地の尾根を貫く道が
見るからに気持ち良さそう・・・
あいにくの曇り空で
空気の透明感も少なかったのですが
その代わり
遠くに見える山並みが見事でした。
青色の絶妙な濃淡で山の遠近が美しい・・・
「綺麗だねぇ~
この気持ちは
自転車で上って来なければ味わえないと思う」
おばさんは山並みを見つめながら
そう、呟いていました。
沈黙が苦痛では無くなる景色・・・
その沈黙を破る様に
後方から騒がしいローディーの一団がやって来ました。
振り向くと
見慣れたジャージに見慣れたロードバイク!
なんと、シンヤ君を中心とした播州のローディーではありませんか!
「マジかぁ!
こんな所まで来て
知り合いの団体さんに遭遇するなんて!
UFOラインは、だるま珈琲の店内やないんやで!」
ここまで相生からトータル250kmオーバー・・・
日本は広いのに
こんな四国山地の山の中で
顔馴染みのローディーと遭遇するなんて・・・
神様がおばさんのチャレンジを祝福するために仕組んだ偶然でしょうか?
「おばさん、そろそろ走る?
この景色の中を走りたいんでしょ?」
走りたいのは、おばさんだけではありません。
私も走りたかったのです。
一気に走るともったいなくて・・・
立ち止まり立ち止まり
滅多に見れない景色を
心とスマホのカメラに収めながら走りました。
視界が広く気持ちいい天空の道を
丸臨が並んで走る!
「おばさん、あのカーブを
おばさんが気持ち良さそうに走ってるところを写真に撮りたい」
「えっ~」
一人で行くのを渋るので
「さっ、さっ!
モデル!モデル!」
と言って無理やり走らせました。
走って気持ち良さそうに見えるUFOラインは
実際走って気持ちのいい道。
その気持ちのいい道を走っているおばさんをカメラに収めたかったのです。
おばさんを撮影した後
私達も、おばさんの後を追って走りました。
そして
適当な絶景ポイントを見つけると・・・
「じゃ、ちょっと記念写真撮ろう!
百均で買った広角だけど
ハイ!チーズ!」
せっかくの景色です。
百均の広角レンズだけでは足りないだろうと
マスオさんが通りすがりのドライブのおじさんに
シャッターを押してもらう様に頼んで下さいました。
「みんな!並んで!並んで!
そうだ!丸臨は後ろ向きで撮ろう!
みんな、後ろ向き!後ろ向き!
腕組んで!腕組んで!
仁王立ち!仁王立ち!」
後ろ向きで腕組んで仁王立ちは
ヒトムさんの丸臨のイメージらしいです。
「それでは取りますよぉ~!
ハイ、チーズ!」
必要な写真は撮ったし・・・
気持ちのいい景色の中を走ったし・・・
適当なところでUターンして戻ります。
私達が最初に到着したポイントに近づくと
何故か私を呼ぶ声がします。
「コギコギさん!」
声の方に振り向くと
何と!松江のイッシーではありませんか!
イッシーは松江の自転車仲間で
もちろん、おばさんやマスオさんの自転車仲間でもあります。
「あっ!おばさん、
マスオさんも!」
イッシーもビックリですよね。
私だけでなく
松江の自転車仲間のおばさんやマスオさんに遭遇するなんて。
先ほど、播州のローディー達と遭遇したのと同じ偶然ですよ。
「イッシー!ビックリした!」
「僕もですよ」
イッシーさんは自転車じゃなくてオートバイでしたが
それにしても
日本は広いのか狭いのか・・・
やはりこの偶然は
おばさんのチャレンジを祝福するために
神様が仕組んだに違いありません。
いや、UFOラインだけに
宇宙人の仕業か?
四国のてっぺんで
神聖な何かが
私達を見ているような気がするのです。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
このブログは、にほんブログ村ロードバイク部門ランキングに参加しています。
下のバナーをクリックして人気投票していただけると嬉しいです。
ポチはどれでもひとつでいいですよ。
読んだら忘れずポチしてね。
にほんブログ村