下りの死亡事故について考える |
トライアスロンの国内有力選手が自転車で仲間と練習中
数十メートルのがけ下に転落し死亡した事故がありました。
現場はもちろん下り坂。
緩い右カーブで道路わきのガードロープに接触し転落したようです。
享年、実に24歳・・・
余りにも若すぎる「死」でした。
当時はマスコミで報道されたこともあり
多くの自転車乗りが心を揺さぶられたことだったと思います。
あれから2か月が経過しました。
あの時の衝撃は今は幾分落ち着いてきていると思います。
このタイミングで今一度
「安全に走行する」事について考えてみたいと思います。
まず、ロードバイクというのは
「死」と隣り合わせという事を私たち思い起こさせました。
そして、またしても下り坂で尊い命が奪われたのです。
下り坂でのロードバイクのスピードは
ともすればエンジンブレーキのかかる車やオートバイより速いかもしれません。
ですから落車すれば最悪、死を招くことは
みんな分かっているはずなんですよね。
下りでの落車を防ごうと思えば十分な減速をすればいい。
簡単な事です。
しかし、ロードバイクによる下り坂の深刻な事故は後を絶ちません。
何故でしょうか?
あくまで私の推測に過ぎないんですが・・・
下りは快感だからなんです。
もう少し詳しく説明すると・・・
スピードが増すと景色が飛ぶように流れていきますよね。
それを流体刺激と言います。
この流体刺激は脳から快感物質である
ドーパミンを分泌させるんです。
ですからジェットコースターに乗ると快感だったりするんです。
車でも、スピード狂の人っているじゃないですか
あれも脳からドーパミンが出ているんだと思いますよ。
この流体刺激による快感は
ある意味ロードバイクには付きものなんですが・・・
追風の高速巡行なんて
ドーパミンが分泌されて快感を覚えながら走っていると思います。
一般の人が思う様なストイックな感じとは少し違いますよね。
下りは特に何の苦労も無く
快感物質のドーパミンを分泌させることが出来る。
しかも全身の細胞が覚醒する快感は
時として危険をも楽しみに変えてしまう。
恐怖心を麻痺さてしまうんです。
ですから下りを安全に走るには
余程強く、安全速度を意識しないと
スリルを楽しむ方向に行ってしまいますね。
人間とは愚かな生き物です・・・
少し話は違いますが
営業車の安全運転を担当する上司が
「人間、事故しないぞ!って思えば事故はしないんだ」
って言うんです。
この言葉は真理をついていると思うんですよね。
安全運転に関していえば
心理的な要素が大きく関わっているぞ!
ということなんですよ。
物理的な事故
例えばエンジントラブルや道路の異常による事故より
心理的な事故
例えば急ぎの心理による確認不足や
漫然運転、思い込みなどによる事故の方が圧倒的に多いといいます。
あるバス会社では週替わりで安全標語を決めて
朝礼で復唱するらしいんです。
・無事故で通す心意気。
・かくれた危険を見抜こう。
・かも知れない運転で。
・ベスト条件で運転しよう。
・相手の危険を予知して防衛運転を。
・油断と慢心が事故をよぶ。
・自ら安全運転を考え運行しよう。
どれも当たり前な事なんですが
それらをあらためて強く意識する事で事故を防ごうと言うのです。
人間は非常にメンタルな生き物であることを理解したうえでの
事故防止の取り組みだと思います。
当たり前のことでも
ちゃんと言葉に出して意識しなきゃ安全に走れない・・・
私たち人間はおろかな生き物なんですよ。
だから・・・
次の練習から
仲間同士で声を掛け合いませんか。
「今日、下りはゆっくり行きましょう!」
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
深刻な事故の多くが下りで発生している事を考えると
この言葉を掛け合うだけで多くの事故や落車を防げるのではないでしょうか。
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楽しむ事は大切ですがケガをしたらもともこもないですからね。
五体満足、健康な身体があってこそ楽しめるってもんですよね。(*^^*)
ちょろりゅうさんからのメッセージ…とても 重いメッセージですね!
今日は仕事で180キロ走行する間、気になる事を抱えながら「今はどうする事も出来ないのだから、いらぬ事に気を取られず集中して運転せねば!」と 必死に自分に言い聞かせていました。 事故は、 何も意識していない ふとした油断の一瞬に起こる…。
忘れてはいけませんね‼️
どうすれば防げたのかを考える事は大切だと思います。
考える事で「安全に走行する」スキルを上げる事が出来ますからね。
次は自分かもしれないと思う恐怖心を忘れない。
そういうことを大切にしたいです。
それ以上に、ブレーキング技術の未熟さの方が大きく影響しているのではないかと感じます。
自転車談義の中で、速度を上げる方法や走行距離を伸ばす方法を語られることは多くあるけれど、ブレーキングについて語られることはほとんどない。
自転車関連の本や雑誌、ネット上でもそれらが記事化されているものを見かけることもあまりない。せいぜい、レース中のコーナリング速度を上げたりライバルを交わすためのブレーキングのタイミングが議論されるくらい。それ故、どのようなブレーキングが安全かつ効率的なのか知識の蓄積や共有がないのではないでしょうか。
走行速度を上げることよりも、走行距離を伸ばすことよりも、安全のためにブレーキング技術はずっと大事なはずなのに。
ブレーキングの基本は前後同時が原則。極力、車輪をロックさせないが原則。
けれど、経験の浅い人は、子供用自転車の延長で、後→前の順か、後だけという人もいるのではないでしょうか。さらに、ダウンヒル中に速度がつきすぎた時、恐怖心のあまりブレーキを強く握りしめて車輪をロックさせてしまう人もいるのではないでしょうか。あるいは加速しないようにブレーキレバーを握りっぱなしにしている。でも、これらの操作方法はいずれも自転車の挙動を不安定にさせやすい操作法です。車輪がロックしてしまった場合は、風にたなびく旗の如く左右に振られてバランスを失うか、最悪は、慣性の法則に従って意図せぬ方向へ流されるだけです。
安全のためには、ブレーキングは前後同時かつ車輪をロックさせない、が、原則です。その上で、前後のブレーキのかけ具合を調整して速度と車体の姿勢を制御する。
長い下り坂を安全な速度で下る技術、高速走行時に車体の姿勢を安定させて減速、停止する技術、
そういう技術を一つ一つ研究し身につけていくことも安全に快適に走るために重要なことではないでしょうか。
ちゃんとブレーキングやコーナリングのテクニックを伝える事も必要ですね。
ただ、教えることが出来る人が少なかったり
学ぶ機会が少ないという問題はあるかもしれません。
ブログなんかで取り上げると
素人がいい加減な事を教えるから余計にダメになる・・・
みたいな批判を受ける事もありますし・・・
悩ましいですね。