独りぼっちの墓参りライド |
「うわぁ~寝過ごしたぁ・・・」
寝過ごしたのも無理はありません。
前日は高校の同窓会で午後2時から10時まで飲んでましたからね。
それだけ飲んだらボロボロになりますわ・・・
30年前の青春の記憶は
友と再会したからといって
すぐに紐解かれるものではありませんでした。
30年の年月が大きく風貌を変化させてしまっているからです。
その同窓生の中で
私は変わらない方に属していました。
体形を維持している事はもちろん
体を鍛えているので
筋肉の付き方が年齢より若いのだと思います。
それもこれも
自転車のお蔭だと言えるでしょう。
実はこの日、お墓参りをする予定だったのですが
寝過ごしたおかげで予定が狂ってしまいました。
私は少し枯れた声で
おじさんの家へ遅れると電話しました。
そのおじさんも、今年の夏に亡くなったんですけどね・・・
私の家は毎年お盆には、
父方の墓と母方の墓の両方、お参りしていました。
父方の墓が佐用、母方の墓が岡山県の美作で比較的近かったからです。
子供の頃は夏休みのちょっとした家族旅行でしたね。
ところが今年は
例年と大きく違う墓参りとなります。
私、一人で行くのです。
私の両親は高齢なので
遂に、今年は墓参りを断念せざるを得なくなったのです。
田舎の墓場っていうのは急傾斜地にあって
ヨボヨボの体では、もう無理なんですよね。
どうせ一人で行くのなら
自転車で墓参りしようと思いました。
距離にして約100km・・・
二日酔いの体でも無理をしなければ大丈夫でしょう。
実は自転車で墓参りに行くのは
今年が初めてではありませんでした。
もう20年前くらい前になりますかね・・・
私がまだ駆け出しのローディーだった頃です。
「今年の墓参りは俺、自転車で行くから!」
それまでの最長航続距離は約70kmでした。
ちょうど佐用に行って帰るくらいです。
それに美作を加えて約100km・・・
当時の私にとって
その距離を走るというのは冒険でしたし憧れでした。
しかし、70km走っていましたから
自信はありました。
随分と自信ありげに両親に大丈夫だと断言したのを覚えています。
実際に美作の家には予定通り
なんの問題も無く到着しました。
おじちゃんも、おばちゃんも、目を丸くしてビックリしていました。
出してもらったスイカが美味かったのを覚えています。
「万能(まんのう)峠を自転車で越えたんかい?」
「うん、越えた・・・
あれはね、大した坂じゃないよ」
おじちゃんやおばちゃんの驚く顔を見て得意になって
よせばいいのに山の上にある蓮花寺というお寺にもお参りしました。
それでも80kmくらいまでは順調だったんです。
しかし、国道2号線から相生市内の農道に入って状況が一変しました。
それまで順調に動いてくれていた脚が
とたんに動かなくなったのです。
今考えればハンガーノックなんですが
当時はそんな知識有りませんから
自分の体に何が起こっているのか分かりませんでした。
「俺って弱い奴だったんだ・・・」
ペダルに体重を載せて
やっと自転車を進めました。
あと少しの所で
これほど動けなくなるなんて・・・
農道を進んだ先のT字路に工場があるんですけど
その工場の前に自販機があったんです。
今では珍しい不二家の自販機でした。
私はその自販機に辿り着くと
ピーチネクターを立て続けに2本飲み干しました。
敢えて一番甘そうなのを選んだんですよね。
知識は無いくせに本能がそうさせたのかもしれません。
道路わきの側溝に腰かけて長い時間、動けずにいました。
ハンガーノックになってしまったら
そう簡単には回復なんてしませんよね。
予定時間を大幅にオーバーして家に到着すると
私は不機嫌に自分の部屋へ戻っていきました。
あれだけ自信ありげに大丈夫といった手前
ばつが悪かったんですよね。
母は心配したでしょうが
大幅に遅れた理由を聞きませんでした。
これが私の初めての100kmオーバーライドです。
ほろ苦いでしょ・・・
20年後の今、同じコースを走りました。
美作のおばちゃんは
すっかり腰が曲がってしまいましたが
20年前と同じく美味いスイカを振舞ってくれました。
そして、これもまた20年前と同じ会話をしました。
「万能(まんのう)峠を自転車で越えたんかい?」
「うん、越えた・・・
あれはね、大した坂じゃないよ」
20年後の今は
もうハンガーノックにはなりません。
当時、憧れだった100kmオーバーライドは
今では午前中に走り切れる距離になりました。
20年前も今も
私はロードバイクに乗っています。
MTB時代からだと私の自転車歴は26年にもなります。
しかし、私の中で、私自身、
そんなに変化はしていない。
ずっと好き勝手に自転車に乗ってるんです。
しかし、今振り返って見ると
私は自転車に逃げていた気がします。
生きていく上で
本来立ち向かわなくてはならないものや
煩わしものから逃げていたんですよね。
ずっと自転車の快楽の中にいたのです。
私が自転車の快楽に逃げ込んでいる間
自分の周りの状況は大きく変わりました。
私の同窓生の多くは様々な人生経験を積んで人間的な成長を遂げているのに
私は変わらない・・・
私は佐用と美作の墓の前で手を合わせて呟きました。
「今年は遂に・・・
一人で来ることになりました・・・」
この独りぼっちの墓参りライドが
私が好き勝手に生きてきた結果でもあるんですよね。
走行距離…103.03km
時間…4:15:16
平均速度…24.21km/h
最高速度…58.19km/h
平均CAD…75
積算距離…49509km
消費㌍…###kcal
補給食…###kcal
心拍…Ave.### Max.###
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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またお会いした時にお話ししましょう( ノД`)…
いや、聞いて下さい、お願いします泣笑
お酒でも飲みながら……(T^T)
そちらに伺った時に、じっくりとお話ししましょう。