落車について色々考える |
前回からの続きです。
落車したバスク輪さんは道路わきに自転車ごと転がって
苦悶の表情を浮かべていました。
「ううううううううう・・・」
「た、立てる?」
「多分、大丈夫かと・・・
骨は折れてないと思います」
ロードバイクから体を離して
歩道にしゃがみ込みました。
ウエアーの至る所が破れて
皮膚が赤く擦り剥けているのが分かりました。
その様子を見ていた工事現場の警備員が駆け寄って来て
「救急車を呼びましょうか?」と言ってくれました。
するとバスク輪さん本人が
「救急車は呼ばなくて大丈夫です」と答えました。
その様子を見て
軽傷であるとホッとしました。
ただし、このまま走り続けるのは無理なので
バスク輪さんはお父さんに連絡して車で迎えに来てもらうようお願いしていました。
自宅から100kmほど離れてしまっていますけどね。
「この近くに八鹿病院がある。
少し自走が出来るなら診てもらった方がいいと思うけど・・・
大丈夫?」
「少しなら行けそうです」
八鹿病院には救急外来があるのを知っていました。
まさかそんな土地勘がこんなところで生かされるとは・・・
病院の受付で自転車の恰好をした私たちはかなり目立っていた事でしょう。
「自転車で転倒して怪我をしてしまったんですけど・・・」
「保険証は?
ありますか?」
「はい、あります」
バスク輪さんが診察室へ消えて行ったあと
残されたメンバーは落車の状況や原因を話し合いました。
落車の状況を大まかに説明すると・・・
先頭をコツネさんが牽いていて私やバスク輪さんにはオーバーペースでした。
落車した時点のアベレージは27.72km/h、
気象記録によると和田山の午前10時の気温は30.6℃
その後の気温上昇は激しく和田山の当日の最高気温は35.3℃まで上がりました
因みに私たちが向かおうとした豊岡市は38.2度まで上昇し
この日の日本国内の最高気温を記録。
前日、バスク輪さんは練習会で100kmほど走行し
当日落車した地点まで走行距離は90kmを越えていました。
そんな中、工事中の片側交互通行に引っ掛かります。
ハイペースでしたから止まることが出来てホッとしました。
この時、工事現場の向こうには次の信号が見えていました。
このペースだと脚が持たない。
どこでペースダウンを要求しようかと考えます。
その時、警備員が白い旗を振った。
また走り出さなければなりませんが
スタートするまで少し間を空けてしまいました。
先行するコツネさんと私に遅れる事、数メートルはあったでしょうか。
速度は30km/hに達しない程度の距離を走りました。
次の信号が赤だったのでハンドサインを出す為に片手運転になりました。
その瞬間、大きめの石に前輪が乗り上げ制御を失って落車。
後続のセーテン君は寸でのところで右にハンドルを切って回避しました。
石の色が地面と同化して分かりにくかったという事でした。
落車は無い方がいいのですが
落車してしまったら
今度は気を付けようね、で、終わってしまってはもったいないと思うんですよね。
なぜ落車したのか・・・
色々考える事で落車防止につながるものを見つける事が大切だと思います。
せっかく痛い目をしたんだから
何かを掴んで起き上がらなきゃ・・・
臨時漕会では落車や事故があればメンバーに報告して
その内容について色々考えるようにしています。
これは落車や事故したメンバーをつるし上げるのではなく
あくまでメンバーの経験値を上げるために行っています。
どんなことも経験を積めば見えてくるものがあるんですが
落車だけは経験したくありません。
経験せずに経験値を上げるには他人の落車を研究する事が一番いいように思います。
今回の落車も様々な要因が隠れているものと思われました。
地面の色と同化していたとしても
なぜ、石を見つけれらかったのでしょう?
身体的状況や精神的状況が
注意力や集中力にどのような影響を及ぼしたと考えられるでしょうか?
まずは気温の上昇について
当日の気温は熱中症に対する警戒が必要なレベルでありました。
暑さに対する耐性は人それぞれですが
気温が高いと一般的に集中力は低下しますよね。
それから疲労について
前日の練習会で蓄積された疲労物質が一晩で代謝されていたかどうか。
早朝4時半集合スタートでしたから
睡眠を十分にとっていたかなど考えなければなりません。
バスク輪さんは早く寝たみたいですけどね。
オーバーペースについては
私のレースでの経験が参考になるかもしれません。
レースを終えてピットに帰ってくるとテキパキと後片付けが出来ないんですよね。
私はよく、「レースの後は脳がアホになる」と言うんですが
筋肉に大量の血液が必要なため
その分、脳に回る血液が不足するからじゃないかと
あくまで素人考えですが
そんな風に思っています。
判断力が低下するんですよね。
もしかしたら放熱のために皮膚に血液が回るため
脳への血液は更に少なくなるかもしれませんね。
これも素人考えですけど・・・
精神面では
オーバーペースで苦しかったので
いつペースダウンを要求しようかと考えていた事も集中力を欠く原因だったかもしれません。
運転中に別の事を考えながら走ると見えるはずのものが見えなくなることはあります。
最後にハンドサインを出すために片手運転であった事についてです。
前方の信号が赤であったため片手運転でハンダサインを出したところ
運悪く石に乗り上げてしまった・・・
私たちは車や歩行者に対しても
自分たちがどう動くのか知らせる事が必要であると考えています。
車のドライバーから見て、あの自転車は曲がるのか
止まるのか、それともまっすぐ行くのか分かったほうが
様々な判断を早く出来るでしょう。
だから道交法上もハンドサインを出す事になっています。
ただ・・・以前、チーム内でもブログでも提案させていただいたんですが
路面状況の悪い場合、片手運転はやめて
つまりハンドサインは出さず、声をしっかり出そうと提案しました。
例えば下り坂の先が赤信号の場合
本来なら両手でブレーキングしなければならないのに
片手運転では、しっかり止まれません。
その時は声で「ストップ!」と叫べばいいと思うんですよね。
また道路工事などでアスファルトが荒れてガタガタな道を走っている時も
無理をしてハンドサインを出せば余計に危険な時もあります。
こういう場所も「声」優先でいいと思います。
今回落車した場所も道路工事をしていて
砂や砂利が路面に浮いている状態であった事を考えると
ここは声で「減速!」「ストップ!」で良かったんじゃないでしょうか。
もし、両手でハンドルを持っていれば
落車は防げていた確率は大きいでしょうね。
それじゃあ、ハンドサインは全部やめて声だけにしたら?
とおっしゃる方もあると思うんですが
私たちが車に対して意思を伝えるには声では伝わりません。
騒音が激しい所もハンドサインの方が伝わりやすいです。
またハンドサインだと遠い所からでもある程度分かるメリットがあります。
臨時漕会ではハンドサインと声を併用していますが
それを臨機応変に安全に用いる事が今の所最良だと考えています。
今回、バスク輪さんの落車で色々考えましたが
「しっかり前を見る」
「危険を探すように走る」
そういう事の大切さを改めて思い知った次第です。
臨時漕会では「安全に走行する」ということを最も重要視しているんですが
言葉では簡単でもなかなか難しいんです。
しかし「安全に走行する」ということは
私たちは特に力を入れて追求しなければならないと思います。
なぜなら私たちは
ひとたび落車や事故に遭えばとんでもなく大きな代償を払う可能性が大きいからです。
今日はバスク輪さんの落車について
色々考えました。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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いつも身にしみる書き込みありがとうございます。
もう傷はふさがり痛みもほぼ無くなりました。
色んな条件が重なった上での落車でしたが、やはり基本的な事が集中力を欠いた事で疎かになったのが大きいと思います。
夏場のロングライドは炎天下にいるだけで体力が削られるので、何時も以上に余裕を持たないといけませんね。
やはり,集中力が落ちてしまうことは危険ですね。それでも,ハアハアいいながら走るのは楽しいことですし,ふと何かに気を取られることもあります。さまざまな落車の原因を完全に封じ込めることはむずかしいですよね。
だからといって落車もやむなしというわけには行きませんから,こうしてさまざまな情報を得て,ふだんから危険探しを心がけて,声出しをして…と,自分のスキルを高めて行くことが大切なんでしょうね。コギコギさんのこうした情報発信には頭が下がります。
何時も楽しくブログを読ませて頂いてます。
今回ライドで落車された方のケガが軽傷で何よりです。
今回のように落車の状況や原因を詳しく書いて下さっているので、初心者の自分にとって今後ライドする際に注意すべき事として非常に役立ちました。
走行中のハンドサインについても、他の方のサインの出し方やコギコギさんの記事を参考にしながら出すようにしていますが、路面・交差点・走行の状況によっては、ハンドサインを出すのを躊躇う場合があるので、もっと経験値と臨機応変な対応が必要だなと思いました。
1人で走っている自分にとっては、今回のブログは大変参考になりました。
これからブログを楽しみにしています。
長文失礼しました。