お遍路さんが歩く道 |
「こっちの道から行きましょう」
先頭を牽いていた私を慌てて追い越して
アパッチさんが左、左へと奥の道へ入って行きました。
幹線道路から少し外れるだけで
車の行き交う喧騒から隔てられます。
「この道が旧道なんです」
道幅は狭いのに商店が点在するのは
この道が単なる住宅街の道では無くて
その昔、メインストリートであった証かもしれません。
生活感は幹線道路よりも強く感じられます。
「僕は、こんな風な・・・
旧道の方が好きですね」
時速20kmほどで
ゆっくりと味わう様に走ると
風の中に
この土地の生活や歴史が香る気がします。
「あれが平賀源内の家です」
「へぇ~結構、立派なんですね」
「そうでしょう」
白壁に黒い瓦。
そして立派な門の格子戸の向こうに
更に玄関の格子戸が見えます。
ふと前を見ると
お遍路さんの一団が歩いていました。
地元の人には、お遍路さんが歩いている姿なんて
日常のなんでしょうね。
でも私には如何にも四国らしい眺めでした。
ちょっと得した気分・・・
四国八十八カ所巡りの86番目のお寺ですね」
平賀源内の旧邸に似た家が続く通りを
ロードバイクはゆっくりと抜けて行きます。
そして、視界が開けた先に
大きな木造の門と五重塔が見えた!
「あれが志度寺か・・・」
アパッチさんは
幹線道路より旧道を走る方が安全と考えて
私を誘導したに過ぎなかったのかもしれません。
しかし、旧道を進んで
お遍路さんが志度寺に参拝する景色に
私は甚く感動したのです。
それはアパッチさんにとって予想外だったかもしれません。
でも考えてみれば
地元の人にとって当たり前の景色が
よそ者にとって感動の対象になる事は
それ程珍しい事ではないのかもしれません。
私は、その土地に根ざした
人々の営みが感じられる景色が好きなんですよね。
どこか遠くへ行った時は
旧道を走る事をお勧めします。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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素晴らしい記事をありがとうございます。
僕も、旧道とりわけ旧街道は大好きです。車社会になる前のメインストリート。歴史を感じさせるものが、あちこちにちりばめられています。面白いです。
こういう道を楽しむコツは、アベレージを気にしないことですね(笑)
何が楽しくて自転車にハマったのか…今回の記事は 改めてそれを思い起こさせてくれました。
知らない道を冒険心いっぱいに進み 思いがけなくステキな景色に出会えたり…とんでもない坂に出くわし 心をポッキリ折られたり…σ^_^;
そんなサイクリングに 癒されたんです。
私はたまにサイコンの付いていないクロモリのトレックで走る時があります。
数字の呪縛から解き放たれて自由になれるのがいいですね。
たまに、そんな贅沢をしています。
おばさんがそんな話を楽しそうにしていたのを思い出します。
人間っていうのは多分、移動するのが好きなんですよ。
これは本能なのかもしれません。
旅が好きだからこそ
地球上でもっとも繁栄した生物になり得たのだと思います。
旅は日常と違う場所へ移動するだけでなく
日常そのものから解き放たれる事・・・
そのツールとして自転車は非常に優秀な乗り物だと言えますよね。