坂の終わりは蜃気楼 |
前回からの続きです。
上った苦労が報われるハチ高原が終わると
もう、やり終えた感が充分にある。
しかし、実は、ここからが本番なのである。
このコースには加保坂、若杉峠と
第一線級の坂を二つも越えなければならない。
二つとも上り切った先に絶景は無い。
特に加保坂は、上り切ったところで
更に若杉峠を上るという現実が待っている。
道幅が狭く九十九折れの坂が続く。
九十九折れの坂の勾配が見えると九十九折れならぬ心が折れる。
木々が茂って空さえも狭いのに
どれだけ標高があがったかなど分かるはずもない。
だから、坂の終わりを予感させる
ほんの小さな発見によって
なけなしの力を振り絞るのだ。
勾配が緩くなっているコーナーの先・・・
あれが坂の終わりか?
カーブミラーに映し出された坂の空が明るい・・・
今度こそ坂の終わりか?
大きな期待とは裏腹に
坂の終わりは蜃気楼のように遠のいて行く。
もしかしたら
坂の終わりを期待する事自体
脚が無い事の証拠なのかもしれない。
加保坂では
この小さな標識だけが
正確に、そして時に冷酷に
坂の終わりを告げていた。
こんなに長かったっけ?」
加保坂の頂上には
お世辞にも賑わっているとは言えないミズバショウ公園と
グリーンロッヂ加保坂があるだけだ。
マッスルさんはロッヂの階段に座り込んでしまった。
「もう・・・無理!」
「無理」という言葉だけ力があった。
加保坂の下りから土地勘のある私が前を牽いた。
マッスルさんの消耗具合を考えて
上り基調をかなり抑えたペース。
そして、このペースで行こうというメッセージを込めて先頭交代の合図。
後ろに下がっていくと列車が短い。
「あれ?」
振り向くとマッスルさんが中切れしていた。
私はそう言い残して列車から離脱、
そのままマッスルさんの風除けになった。
最早、LSDより遅いペースでないとマッスルさんの風除けになれない。
マッスルさんの消耗の激しさは
塩の吹いたジャージを見れば明らかだった。
腫れ物に触る様に前を牽く。
そして、コーナーの先に
奴がいよいよ姿を現した。
壁の様に立ちはだかるのは「ラスボス」・・・若杉峠だ。
スキー場を抱える若杉峠を越えなければ
私たちは日本海側から瀬戸内海側へ帰ることが出来ません。
果たしてマッスルさんは、どうなってしまうのでしょうかぁあああ!
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