片鉄サイクリング・・・実はこれがやりたかった |
前回からの続きです。
吉井川沿いの堤防から少し入ると
片鉄ロマン街道のゴール地点です。
いつもは閑散とした吉ヶ原駅が何やら活気づいています。
駐車場にいっぱいの車。
多くの人。
そして・・・
ファ~!
「おおっ!
ディーゼル機関車の汽笛や!」
駅に入ってみるとディーゼル機関車から排気された煙が見えます。
そして遮断機のカンカンカンという警告音。
機関車が後退してホームに入ってきました。
まるで片鉄が動いていた24年前にタイムスリップしたみたいです。
これで一応、片鉄が実際に動いているのを見るという目的は達成されました。
しかし、動いているのを見ると乗ってみたくなりますよね。
「どうする?乗る?」
「コギコギさん、乗るなら300円要りますよ」
「乗ってみたいけど時間がなぁ・・・」
私たちは、のんびりし過ぎていました。
時間は午後1時58分、走行距離は90キロを超えていました。
12月は1年で最も日が暮れるのが早いです。
安全のためには出来るだけナイトライドは避けたいところ・・・
今すぐに帰途に就いたとしても遅いくらいです。
「滅多に来れないのなら乗ったらどうでしょう?」
(和気まで車で来ているバイソンさんに言われてもなぁ・・・)
私が迷っていると構内放送が流れました。
「次の発車予定時刻は14時8分となっております。
ご乗車の方は向かい側のホームでお待ちください」
私はこの放送を聞いて決断しました。
「発車まであと10分ほどなら乗ろう!」
私たちは急いで切符(一日会員券)を買いに行きました。
「その制服は支給ですか?」
「いえいえ、全部持ち出しですよ。
私たちが趣味でやっている事ですから・・・
一日会員券の収入だけではとてもやっていけません」
そうなのです。
ここで働いているように見える関係者は全て本物ではありません。
彼らは本物の施設を利用して
大掛かりな鉄道ごっこをしているのです。
駅員さん役、車掌さん役、運転士役、保線作業員役
全てが言わばコスプレです。
そして切符(一日会員券)を買った私たちは乗客役になるのです。
なんだか不思議な気持ちです。
私たちが切符(一日会員券)を買うと
片鉄について、ちょっとした説明をしてくれます。
しかし、10分後に発車ですから
そんなにのんびりもしてられないなと思っていると
再び構内放送が流れました。
「先ほど、発車時刻を14時8分とご案内申し上げましたが
それは間違いでした。
お詫びして訂正いたします。
正しい発車時刻は14時30分、14時30分となっております」
「ええっ!
マジですかぁああああ!
30分以上、待たなアカンやん!」
私はこの時腹を決めました。
片鉄に乗る事を引き換えに
ナイトライドを決行する!
さて、私たちが乗車するのはこの車両です。
キハ702というらしいです。
座席は4人が座ると膝が触れ合ってしまいます。
「昔はこんなだったよなぁ~」
「この匂い・・・どこかで嗅いだことあるな・・・」
「ディーゼルエンジンの音がなんとも懐かしい感じがするね」
「あっ!思い出した!
この匂い、フェリーに乗った時に嗅いだ匂いと同じだ!」
「軽油の燃えた匂いですね。
ちょっと不完全燃焼気味の・・・」
バイソンさんによると車内放送は山陽電車に似てるとか・・・
ガタン・・・
ゴトン・・・
いよいよ片鉄が動きます。
乗客は窓の外を見ます。
営業運転してた頃の片鉄の光景その物に見えます。
乗客が一斉にホームに降り立ちます。
お子さん二人の様子がどうも・・・
「お父さん、眠い!」
つまらなさそうな表情でした。
子供は正直ですね。
「コギコギさん、片鉄は子供には理解出来なかったようです。
懐かしいとか、そういうの、全然無いですから・・・」
なるほど、子供たちにとっては、
普通に電車に乗るのと何ら変わらなかったのかもしれませんね。
ディーさんの思惑は大外れだったようです。
しかし私にとって、このタイムスリップは
遥か遠くで霧がかかったような記憶を
生き生きと蘇らせるのに充分でした。
私もいつの間にか昔を懐かしむようになったんですね。
それだけ歳を取ったって事か・・・
片鉄に乗ったら後は帰るだけです。
最初はサイクリングロードを走っていましたが
サイクリングロードではスピードが出ません。
先頭を牽くバスク輪さんが私に尋ねます。
「コギコギさん、急ぐなら
この先から車道を走りますか?」
「うん、車道、行こう!」
車道に降りると私たちの列車はスピードアップ!
まるで片鉄がのんびり走っていた時代から現実に戻って来たようです。
スピードが上がると列車全体に緊張感がみなぎります。
そして安全に走行するため頻繁に声を掛け合います。
「段差ぁあああ!」
「グレーチングぅうううう!」
「減速ぅううううう!」
「後ろ、トラックぅうううう!」
メンバー全員が情報を伝達することで
列車は一つの生き物のように疾走することが出来る。
そしてメンバーは空気の塊の中に入る事で空気抵抗から解放されるのです。
私たちは吉井川沿いを一陣の風となって走り抜ける・・・
後ろをチラ見してヒロさんの様子を見ました。
単独で走る事が多いと聞いていましたが
しっかり列車の一因となって声を出していました。
そして、とても生き生きしているように感じました。
多分、ヒロさんはこれがやりたかったんでしょうね。
仲間で空間を共有して走る事で得られる一体感
そして単独では成し得ないスピード・・・
全身の細胞が覚醒する快感・・・
ヒロさんは、また一つ、自転車の世界の扉を開いたようです。
走行距離…156.72km
時間…6:22:44
平均速度…24.56km/h
最高速度…54.85km/h
平均CAD…79
積算距離…44743km
消費㌍…3124kcal
補給食…###kcal
心拍…Ave.130 Max.184
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昼食と和気ドームのカートは楽しそうでした(^^;;
大掛かりな鉄道ごっこをしているのです。
こんばんは。
確かに大掛かりな鉄道ごっこですね。
そして切符を買った私たちは乗客役。
これは面白い。言われるまで気づきませんでしたwww。
おっしゃる通り後半の列車は今回是非やってみたかった事です。
いつも一人で走っているので自分の走力は人並みなのか、劣っているのかを判断する機会がないので百戦錬磨の人たちと走ることで確かめたかったのです。
どうでしょう?まあまあいけますかねぇ?(^_^;)
思ってました。
ところが片鉄ですから
そういう場面がなかなか現れなかったんですよね。
結果論でいくと
のんびりしたからこそ高速列車が実現できたのかも・・・
私たちは百戦錬磨ではありませんが
ヒロさんの走力は私と一緒くらいじゃないですか?