非日常の景色 |
前回からの続きです。
「あっ!」
「来た!」
タイプRさんを先頭に6人列車がやってきた。
大部港の入口で停車。
我々と軽く挨拶を交わした後
彼らは記念写真を撮り始めた。
まさかここで記念写真とは・・・
おばさんが言った。
「私たちね、ほとんど寝てないからテンション高いのよ」
しかし考えてみれば
いつもは島根県で走るメンバーと
小豆島に一緒にいる違和感は記念写真に相当するかもしれない。
彼らは今、非日常の真っただ中にいるのだ。
夜中の12時に出発なのだから
もう、かれこれ9時間が経過している。
日帰りとはいえ日本海側からの壮大な「旅」の途中・・・
車に始まってフェリー
そして今は自転車で旅をしているのだ。
辞書を引けば「旅」とは
「定まった地を離れて、ひととき他の土地(場所)へゆくこと」とある。
しかし、私流に解釈すれば
「旅」とはただ単に別の土地へ行けばいいという事ではないだろう。
別の土地へ行くだけなら「移動」という言葉で済む。
「旅」という言葉には「移動」という言葉には無いエッセンスが含まれているのだ。
そのエッセンスこそ非日常ではないだろうか。
「旅」は日常の延長では面白くない。
日常から解き放たれて非日常の世界を楽しむのだ。
「じゃ、そろそろ行きましょうか」
私を先頭に小豆島の海岸線を時計回りに走る。
「おばさん、交通量が少ないでしょ
特に小豆島の北側から東側は車が少なくて走りやすいよ」
「いつもこんな感じなの?」
「島だからね・・・
陸続きじゃないから入って来る車の量がしれている。
ただし、上りと下りしかない。
これから結構、上りが出てくるよ」
「ええ~これまでも結構、上ってたけど?」
我々は小豆島の坂を上り始めた。
それはまるで、鳥が青い空の高みを目指して羽ばたくのと似ている。
私は後ろの気配を感じながら
出来るだけ隊列が乱れないペースで牽いた。
右に左にカーブする度に
左手に見える瀬戸内海はその表情を変える。
「ちょっと、止まってもらっていいですかぁ~」
彼らは時折、通り過ぎる事が我慢できなくなる。
もっと、じっくり見てみたい景色が次々と現れるのだ。
止まりたい時はいつでも言ってね」
鳥が羽ばたいて上昇したかと思うと
今度は羽を休めて滑空するように
我々もペダリングして坂を上ったかと思うと
今度は脚を休めて右に左に弧を描きながら滑空する。
そして殆ど海面すれすれの高さを走り抜けた後
再びペダリングして坂を上る。
一瞬、瀬戸内海が木々に隠れて見えなくなるが
引き続き上り続けるとパッと視界が開け
高台から瀬戸内海を遥か遠くまで望めるカーブに出る。
気が付くと我々の目の高さにトンビが浮かんでいた。
「もうすぐ絶景ポイントです」
小豆島出身のタイプRさんがガイドする。
「あっ!ここかぁ~
リキさんも立ち止まった所だ!」
自転車なら、気に入った景色が現れたら
気軽に停車して眺めることが出来る。
我々はロードバイクを路肩に止めた。
ちょうどいいアップダウンが続いて景色が綺麗・・・
島根半島じゃ、じっくり景色を眺められないもの」
「でも、綺麗な海なら島根半島からも見えるでしょ?」
「そうだけど・・・島が見えない」
「そうか、島根半島からは見えて遥か遠くに霞む隠岐の島だもんな」
「こんな風に島が近くに見えるのが不思議・・・」
もしかしたら宍道湖の方が波が荒いんじゃない」
私には島根半島から遥か遠くに霞んで見える隠岐の島も感動的であるし
宍道湖や中海をはじめとする島根県の水辺の景色には癒される。
いや、彼らも感動するし心を癒されるのだと思う。
違うのは彼らにとって日常の景色なのに対し
私にとっては非日常という点だ。
この瀬戸内の景色もそれと同じ理屈が当てはまる。
絶妙の不規則性をもって海に散りばめられた島々の景色は
海の向こうは水平線であるという彼らの日常には当てはまらない。
この景色こそ「旅」によって得られる彼らの非日常なのであろう。
そして彼らの非日常は次に現れる南風台によって更に高められる。
「あれが淡路島の島影ですよ」
「えっ?淡路島なの?」
「それにあれが四国・・・
徳島県ですね」
「あれが四国なんだ・・・」
日本海側ではあり得ないヤシの木が目印の南風台からは
遠く明石海峡大橋から大鳴門橋、淡路島や四国が見える。
島根県からは淡路島や四国など遠すぎて想像する事すら難しいのに
それが小豆島から島影となって見えるのだ。
海を隔てた向こうに人々の営みを感じられる景色は
彼らにとって非日常なのだろう。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
ここまで書いて今日は時間切れ・・・
続きは後日書くつもりです。
あれ?昔のコギコギ日記にもどっちゃった?
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でもやっぱりこっちの方がしっくりくるなぁww
ぼくは淡路島より変化の多い小豆島が好きです。
また,ぜひ訪れたい地になりました。
今度こそ、快晴の四方指しを案内したいです。