ダイズさんに見せたかったもの |
前回からの続きです。
コンビニで補給中、住友輪業さんから次のルートについて提案がありました。
「次は木漏れ日ロードを走りましょうよ」
普通なら、国道2号線と並走する農道を使って相生に帰ります。
木漏れ日ロードを通ると、少し遠回りになります。
脚が売り切れ状態の私が少し考えるそぶりを見せると
続けて住友輪業さんが話します。
「コギコギさん、農道から帰ると
だるま珈琲に到着する時間は調度、込み合う時間になりますよ。
少し、遠回りして帰りましょうよ」
だるま珈琲でゆったりしたいと思っている私の心を見透かした様な提案に
私は遠回りする決心をしました。
「そうだな、そうしよう!
ダイズさんは名古屋からせっかく来てくれたんだから・・・」
するとバスク輪さんが情報をくれました。
「木漏れ日ロードですが
今、落石防止の工事中で通行止めになってると思いますけど・・・」
「いや、そうかもしれないが今日は日曜日、工事はやってない。
通行止めは解除になっているかもしれないよ」
「途中まででいいから、木漏れ日ロードを走りましょうよ!」
住友輪業さんは、どうしてもダイズさんに木漏れ日ロードを見せたいようでした。
私たちは住友輪業さんの要望に応えるべく木漏れ日ロードへ向かいました。
「今日の千種川は、河川改修工事で、ちょっと濁っているけど
いつもはもっと鮮やかなエメラルドグリーンなんですよ」
私は前を向いたまま、ダイズさんに話しかけます。
「いつもは、もっと、綺麗なんですね」
「そう、そして、
この先に行くと西日が川面に反射してキラキラ光る。
横からの木漏れ日と・・・
上からの木漏れ日と・・・」
「まさか、木漏れ日ロードを走れるとは思いませんでした」
「ダイズさん、調度いい時間帯だったかもしれませんよ。
ほら、木漏れ日が綺麗・・・」

野球やサッカーで他チームの人と友達になるのとは少し違います。
同じ方向に、一緒に走るだけ・・・
同じ景色を見ながら
そこに会話が生まれます。
道幅が狭く、速度を上げられないこの道は
必ず、会話が生まれます。
同じ方向を向いて話す会話こそ、
心の垣根を低くする。
私は木漏れ日ロードの事を別名、語らいの道とも呼んでいるのです。
「ここは、いい道だぁ~」
「そうでしょ!
こういうのなかなか無いですよ」
「コギコギさん、アワイチは雨で流れてしまいましたが
こうして、コギコギさんと一緒に木漏れ日ロード走れるんだから
良かったのかもしれませんね」

正式には赤穂鉄道廃線跡と言います。
その昔、ここは軽鉄道というカテゴリーの鉄道があったんです。
だから、道幅も狭い。
ガンガン飛ばせる道がいいとは限りません。
結局は通行止めは解除されていました。
そして見通しの良い千種川の堤防を行くと、ちょっとしたサプライズが・・・
「ダイズさん、ほら、あれ見て!」
「?なんですかね?」
「ポニーですよ、馬の・・・」
「マジっすか!」

多分、あそこにある牛舎で飼ってるポニーだと思います」
普通の川土手にポニーが草を食んでいるなんて
都会なら、ちょっとありえませんが
私たちの仲間内じゃ有名なんですね。
暫しポニーと遊んだ私たちは瀬戸内の漁村、坂越へ入ります。
奥藤酒造の酒蔵をはじめ古い建物が並びます。


「コギコギさん、妙見寺の観音堂へ行きましょうよ!」
「えっ、あの坂上るの?」
住友輪業さんはニコニコしながらダイズさんに続けて話します。
「ダイズさん、観音堂から見る瀬戸内の景色が、、またいいんですよ」
15%の勾配を含む観音堂への上りは
私の脚には堪えますが、こうなると上らざるを得ません。
最後尾でのっしのっしと上っていきました。
そして靴を脱いで観音堂へあがります。

心までもリラックスする・・・
視線の向こうに穏やかな海に浮かぶ生島・・・

しばらく沈黙した後、ダイズさんは言葉を続けました。
「私、昔、波乗りやってたんで海は見慣れてるんですが・・・」
「波乗りなら、波の無い瀬戸内海はダメなんじゃないんですか?」
「いや、違うんですよ。
波乗りやってたからこそ、こういう海は初めてなんです。
島が見えて波が無い・・・
こうい景色、いいなぁ~」
ここは沈黙が苦にならない場所・・・
みんな同じ方向を向いて沈黙します。
生島の浮かぶ瀬戸内の景色を
決して退屈する事なく
いつまでも眺めていられそう・・・
「この景色は、あの激坂を越えてくる価値がありますね」
ダイズさんはそう褒めてくれました。
「そろそろ行きますか・・・」
私がそう言わないと、日が暮れるまでボーっと眺めていそうでした。
私たちがだるま珈琲に到着したの午後5時半くらいだったでしょうか。
やっぱり、最後はだるま珈琲・・・
セーテンさんとディーさんも来ていました。
だるま珈琲に行くと約束もしていないのに誰かがいるんですよね。
もちろん話題の主役はタイプRさんでした。
タイプRさんが走力を上げて、すっかり別人になってしまったと
私がしきりに言うと、
タイプRさんは全身全霊を掛けて、そんなことは無いと謙遜します。
それがまた、話を盛り上げる。

タイプRさんの奥さんであるうずしおさんがお友達を連れてご来店!
そのうちにフクちゃんの奥さんもご来店!
フクちゃんの奥さんは、どうも、うずしおさんのお古のサドルをもらいに来たようです。

いつの間にか、だるま珈琲の店内は関係者だらけになっていました。
いつの間にか仲間の輪が広がって
いつの間にか店の中は笑いが絶えない状態になって
いつの間にか窓の外は真っ暗になって
なんて幸せなんだろうと思う・・・

ダイズさんに見せたかった景色・・・
走行距離…157.15km
時間…6:31:06
平均速度…24.10km/h
最高速度…53.48km/h
平均CAD…85
積算距離…39777km
消費㌍…3836kcal
補給食…###kcal
心拍…Ave.145 Max.###
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

人は経験を共有する事で繋がれます。
そして会話は更に絆を深めます。
結局は、ダイズさんに故郷自慢のサイクリングになりました。
人に自慢する度に、自分は恵まれている自転車乗りだと思うこの頃です。
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当然一緒に走っていただいた皆様のことも。
本当にありがとうございました。
きっと日本全国にも素晴らしい景色は広がっていることと思いますが、魅力溢れる語り部が西播磨には複数名いらっしゃることが人を惹き付ける大きな要因だと思います。
そしてその語り部の方々とご一緒出来て最高でした!
なーんて言いながら実は最後のコンビニで住友さんにご提案いただくまで「木漏れ日ロード」も「観音堂」もスッカリ忘れてました(笑)
何故なら「新さよ」「だるま珈琲」「牡蠣」と食べるコトしかアタマになかったので\(^o^)/
前日も翌日も雨でした。
神様が、私たちを引きあわせてくれたのかもしれません。
自分が走っているコースを褒めていただく事は
自分の故郷を褒めていただく事に等しい。
そして故郷を褒めていただく事は
自分を褒めていただく事に等しいのです。
ダイズさんには沢山褒めていただきました。
有難うございました。

バリエーションに富んだサイクリングコースを楽しめます♪
でも、〆のだるま珈琲がない(⌒-⌒; )
ライドの後のおいしいコーヒーやケーキ、
自転車仲間との談笑・・・
うらやましいです(*^^*)

我々が同じ方向を向いて走り、仲間意識が高まるのもそんな動物が持つ本能と関係があるかもしれませんね。
その真相はさておき、この連帯感、一体感、まさに青春です。
年齢と無関係にできるこの体験、結構貴重ですよね。
最近、だるま珈琲で〆ないとスッキリしないです。
なるほど・・・なんだか深いですね。
自転車で一緒に走るだけで友達になれるのは
お互いに同じ方向を向くからなのかもしれませんね。
いい事聞きました。
またどっかで使うかも・・・