抜けられない快感 |
前回からの続きです。
「コージ君、高速巡航の列車で
先頭交代の練習やってみようか?」
千種のコンビニで、そう切り出したのは私の方でした。
コージ君はニコニコしながら、練習したいと思いつつ
ロードバイク歴2ヶ月の自分がそんな事をやってもいいのかと
少し戸惑っている風にも見えました。
しかし、ここまでの彼の走りを見る限り
私たちが思うようなロードバイク歴2ヶ月の初心者ではありません。
ロードバイクを買って最初の月は1000km
次の月は高梁市ヒルクライムレースに向けて坂、中心に700km・・・
もうこれは初心者の乗り方じゃありませんよね。
コージ君のロードバイクのすり減ったサドルが
丸臨列車に乗って先頭交代の練習をしてもいい証でした。
「コージ君、先頭交代する時に
まずはハンドサインで合図する。
そしたら2~3回踏みこんで左に寄る。
そして脚を止めて減速する・・・」
私が話し始めるとコージ君の目が輝き始めました。
「踏み込んでから交代するのはハスり防止のため。
左に寄ってから、再加速して
最後尾の後輪と自分の前輪が重なるくらいで速度が同じになるようにして
じわっと最後尾に付く・・・
高速列車で最後尾に付くのは案外難しいよ。
加速のタイミングが遅れると
そのまま千切れちゃうからね」
コージ君は真剣なまなざしで、うんうんと頷きます。
「自分が先頭になったら
よし!俺の番だと思って張り切らない。
頑張って加速しちゃうと、後続もいちいち脚使って加速しなきゃならないでしょ
だから、それまでのペースを守る事に徹するんだ。
一定ペースというのはスピードじゃなくて負荷の事。
一定ペース、一定負荷を守る。
先頭に立つと風の抵抗が増して苦しいけど我慢してギヤを調整する。
そして力尽きるまで頑張らない!
頑張って力尽きると失速するでしょ。
すると後続が追突して落車しちゃう。
そうでなくても後続が失速した先頭を避けるために右へ左へ右往左往
列車は消滅しちゃうからね」
そんな話をしているとフクちゃんがやってきました。
「ごめんねぇ~時間読み違えて・・・
殆ど、遡らせちゃったね・・・」
「別に、いいよ・・・
ローテーションは俺もしたいし・・・」
「今回はコージ君、初参加ね」
千種川沿いの県道は下り基調・・・
しかも追い風が吹いてる・・・
高速列車、間違いなしの条件です。
「コージ君、先頭交代のポイントは見通しの良い直線、
これは解るよね。
あとね、右カーブなんだ。
公道では先頭を交代した後は左へ寄るでしょ
右カーブの方がオーバーテイクしやすいからね」
「じゃ、あとは走りながらということで・・・」
丸臨列車はゆっくりと県道を走り始めました。
先頭はコギコギ、続いてコージ君、住友林業さん、最後尾はフクちゃんの順です。
後続がついてきている事を確認しつつ
徐々に速度を上げていきます。
巡航速度が30km/hを越えたあたりから
脳内に快感物質のドーパミンが分泌されはじめます。
35km/hを越えると全身の細胞が覚醒し緊張感と快感が錯綜します。
アスファルトに流れが速くなる!
よし、次の直線で先頭交代だ!
私は肘で合図しました。
2~3回、踏み込んで左に寄る。
脚を止めると私の横を空気の塊が移動していく様に列車が進む。
コージ君は少し短めで先頭交代。
列車の左側を下がっていきますが再加速のタイミングが遅い。
「コージ君、加速!加速!加速!
そんなんじゃ、最後尾につけないぞ!」
疾走する列車の中で様々な声が飛ぶ。
「コージ君、もっと重いギヤ使って!」
「一定ペース!一定ペース!」
「列車は一直線!一直線!」
「もう少し、車道寄り走らないと」
「膨らまない!膨らまない!」
やがて列車の速度が40kmを越えるゾーンに突入します。
すると・・・
私の後ろに居る筈のコージ君の気配がありません。
「千切れたか?」
後ろを振り向くとコージ君が千切れて
住友輪業さんが回収していました。
「コギコギさん、コージ君は重いギヤ踏めずに千切れる感じです!」
コージ君は軽いギヤでケイデンスを上げて走るスタイルです。
まさに弱虫ペダル・・・
しかし、速度が上がるにつれ回転数を上げるだけではついてこれなくなる。
めいいっぱいケイデンスを上げても時速40kmあたりが限界なのでしょう。
何回か千切れていましたが
決して苦しそうな表情は見せません。
むしろ喜んでいます。
「うわぁああああ!
ヤバいっすぅううううう!
ヤバいっすぅうううう!」
徳久から佐用坂を上がって「新さよ」へ到着!
もちろん上ホル別焼きは外せません。
コージ君、記念撮影?
「新さよ」を出てから千種川沿いの高速巡航で
フクちゃんは「ゲー出そう」だったそうです。
千種川沿いの国道373号線は下り基調の追い風でぶっ飛ばせますが
それなりに交通量があるので、そんなに先頭交代は出来なくなります。
コージ君は後続限定、丸臨列車に乗ってもらいます。
もちろん、下り基調の追い風ですから、
そうですね、時速35km/hくらいは頻繁に出ていたと思います。
快感物質であるドーパミンが大量に分泌されていました。
自分の筋力に輪を掛けて重力と風力が味方します。
コージ君を乗せた丸臨列車は
ひと固まりの密集した集団になって千種川沿いを滑空しました。
追い風に乗ると言うより
この密集した一団こそが
まさに一陣の風・・・
その風は上郡まで吹き止みませんでした。
コンビニで最後の補給に入るとコージ君の様子がおかしい!
わなわなと震えているように見えました。
「コージ君、どうかした?」
「めっちゃ・・・めっちゃ気持ちいいっす・・・」
「そりゃ良かった」
「ヤバいっすよ・・・・」
「?」
「ヤバいっすよ、俺・・・」
「何がヤバいの?」
「だって俺、丸臨列車に乗ったんすよ!」
「ハハハハハハハハ!
コージ君、今晩は快感がリフレインして寝れないな」
ブログで想像していた丸臨列車の疾走感を
実際に体験したのだから、彼にとって強烈な体験だったのでしょう。
もう放心状態?
相生に戻って、だるま珈琲でも
快感がリフレインして含み笑いが止まらないコージ君!
たぶん、ずっと続くのだと思います。
そして彼は、その快感を追い求めて自転車に乗る・・・
その繰り返し・・・
もう、抜けられないな・・・
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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金城先輩が小野田坂道に 『今泉や鳴子に追い付きたいか?ケイデンスをもう30あげろ』 と言ったように
住友輪業さんもアドバイスしながら合流したんですかね( v^-゜)♪
コギコギさんやフクちゃんに追い付きたいか? よしケイデンスを40あげろ ! はい!ケイデンスあげます!
弱虫ペダル はまりますよ~♪
コージさん オリラジ藤森に似てますね♪
自分も学生の時にマトリックス、シマノの選手と走る機会があり走らせてもらいましたが速度域が圧倒的に高いので楽しかったですwx
( ̄^ ̄)ゞ
コギコギさんの声が無かったら、最初から列車に乗れていませんでした
(つД`)ノ
こんな体験出来るなんて幸せです
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
高速列車による先頭交代練習、コージさん、とても楽しそうですね。いいな~、でも僕も40km/h越えたら千切れるし、先頭の速度とペースを維持できないな(笑)
すぐに走りが変わったコージ君は凄いですよ。
私がロードバイク乗りたての頃って
ケイデンス70くらいで乗ってましたから・・・
ハマりましたねぇ~
私は臨時漕会のメンバーと走るときは金魚のフン状態です。
私、自分より速い人たちと走らなければならない時
敢えて先頭を引く事があるんです。
先頭はペースをコントロール出来ますから
置いて行かれることはありませんからね。
単独ではなし得ない速さを得られますから…