時間をかければ違うものが見えてくる |
前回からの続きです。
恋人達の聖地で初々しいカップルのムードクラッシャーとなった私達は
心の中で「ごめんね」と呟きながら県道253号線へ向かいました。
ここから屋形崎で県土26号線に合流するまで
漁村が点在する、島の生活感が感じられる道が続きます。
竿に掛けられている魚網との距離が近い。
干されている魚や民家との距離が近い。
潮の香りと同時に
瀬戸内海の恵みを糧に生きる人々の気配が近い。
私も同じ瀬戸内海沿岸に住む人間なのですが
小豆島は、やはり私達の住む播磨地域とは違う空気を持っています。
そういう似ているが違う空気を吸う事で
共感や違いを楽しみながら走ります。
同じものを見つければ同じだと喜び
違うものを見つければ違うと喜ぶ・・・
似ているが故の楽しさなのです。
「冨田、リヤから変な音がしてるけど?」
「そうなんですよコギコギさん
530km走破の最終段階で
国道2号線のトンネルを避けるため脇道に逃げたんですが
その時、リヤを溝にハメちゃいましてね・・・
ホイールに振れが出てるんですが
それが酷くなってるみたいで・・・」
「雨降ってたしね・・・
なるほど、その音はブレーキシューがホイールに接触している音か・・・
そりゃ重いだろうね」
明らかに走り始めの時よりポテンシャルが高い。
アップダウンが繰り返される海沿いのワインディングロードの登りで
冨田さんがアタックをかけるんです。
まるで、アタックする時は、こんな風にするんですよと言わんばかりに・・・
すると住友輪業さんが反応して彼を追う。
逆に住友輪業さんが登りでアタックすると
冨田さんが反応するといった具合でした。
私もアタック合戦に加われば良かったのですが
残念ながら私にそんな脚はありませんでした。
530km走ったダメージを
小豆島を走りながら回復させるなんて私には到底無理!
しかも彼は現役時代よりウエイトが30kgも重くなってるメタボ体型なんですよ!
冨田さんの分厚い脂肪の下に隠された
眩(まばゆ)いばかりの素質には驚かされるばかりです。
途中、県道253号線は台風の被害で通行止めになっていて焦りましたが
復旧工事をしている区間は自転車を担いで移動する事が出来ました。
何とか帰りのフェリーには間に合いそうでした。
県道253号線をこのまま進んで行くと私の好きな景色があります。
「この坂を上り切った先に
主要道と合流する場所があるんだけど
そこで少しだけ止まってもいい?
私の好きな景色があるんで・・・」
私は冨田さんや住友輪業さんが私を置いて通り過ぎてしまわない様に
前もって声を掛けました。
私の好きな景色が待っている場所は
県道253号線が主要道に合流する屋形崎です。
別に絶景というわけではありません。
ただ、民家の屋根越しに瀬戸内海が見えるだけ・・・
「そう、ここ・・・」
集落内に段々畑があって
そこを登る子供が居て
下で呼ぶ、お婆さんが居て猫が居る・・・
そんな景色が好きなんですよね。
この屋根越しに見える海の向こうは岡山県です。
もっと言えば本州・・・
私はいつも本州側から小豆島を見ているのですが
他の島よりも大きくても小豆島は
やはり瀬戸内海に浮かぶ島に見えます。
しかし小豆島から本州を見ると
それは何処までも続く陸地見えます。
同じ様で大きく違いますよね。
きっと日が暮れると
この屋根越しに見える瀬戸内海に明かりが見えるのでしょう。
それは対岸の本州の街明かりだったり
貨物船やフェリーの明かりだったり漁船の明かりだったり・・・
もしかしたら船のエンジン音や汽笛が聞こえるかもしれません。
そんな事を
この屋根越しに見える瀬戸内海を見ながら想像するのです。
冨田さんのホイールは
何回もダンシングでアタックするもんだから
出ていた振れが、どんどん酷くなっていきました。
最後にはリヤを浮かせてホイールを手で回すと1周も出来ないくらいに振れてましたね。
それでも冨田さんはアタックかけながら走るんですから大したものです。
私達が大部港に到着したのは
出航時刻のかなり前でした。
金両醤油で出会いがあって
ひしお丼食べて、千枚田行って、こまめ食堂でかき氷食べて
エンジェルロードでムードクラッシャーになって
色んな事があったのに、まだ出航時刻に余裕で間に合うなんて・・・
朝8時半に大部港に到着してから
私達は、たった70~80kmの距離を約8時間も掛けて移動しました。
ただトレーニングで走るだけなら
3~4時間もあれば走破出来る距離です。
今回のサイクリングが楽しかったのは
帰りのフェリーを遅い便にしたからに他なりません。
同じ道でも時間をかければ違うものが見えてくるのです。
もし今回も帰りのフェリーを午後2時の便にしていたら
いつもの小豆島と大して変わらない小豆島だったかもしれませんね。
例えば同じ道でも
歩くのと自転車では見えるものが違うでしょう。
同様に同じ道でも
自転車と車では見えるものが違う。
遅けりゃいいと言うものでも
速けりゃいいと言うものでもない。
それぞれに見えるものが違うのです。
もし、あなたが3時間で走るトレーニングコースを持っているなら
そこを5時間、いや6時間かけて走ってみてはいかがでしょう?
途中、気になるお店や入った事の無いお店に入ってみたり
出会った誰かと話したり
脇道に入ってみたり・・・
いつもの走り慣れた練習コースが
全く違う一面を見せてくれるかもしれませんよ。
走行距離…136.28km
時間…5:49:01
平均速度…23.42km
最高速度…61.94km
平均CAD…78
積算距離…35229km
消費㌍…3115kcal
補給食…###kcal
心拍…Avg.137 Max.181
日生港までの自走分を含みます。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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大漁旗を揚げた漁船と瀬戸内の漁村 空気が綺麗な日は 家島がすぐ近くに 小豆島や淡路島 まで見える風景です(*´ー`*)
ちょうど止まりたくない位置にあるんですけどね(笑)
富田さんは メタボローディの神様ですね( ̄ー ̄)
脳内からドーパミンが分泌されて快感を覚えます。
これもまたロードバイクの楽しみです。
そして時間を掛けて、思わぬ発見を楽しむのもロードバイクです。
どちらも楽しめる・・・それがロードバイクですね。