策士策に溺れるサイクリング |
またまた前回からの続きです。
hiroさんが時折ペースアップする度に私は振るいにかけられそうになりました。
いや、hiroさんは、千切ってしまうギリギリのところで
ペースを抑えていたのかもしれません。
「次の信号で止まって下さぁ~い!」
私は前を行くhiroさんと冨田さんに声を掛けました。
信号を左折しないと戻れなくなります。
道を知っているのは私だけ・・・
千切れたら終わりのサバイバル列車は
美作(みまさか)の江見まで行ってやっと停車・・・
「つるや」で休憩と補給をしました。
「コギコギさん、今、どの辺?」
「今、この辺で・・・
このあと、国道179号線で、たつの市へ向かうか
国道373号線を千種川沿いに南下して赤穂方面に向かうか・・・
南西からの風が強いので久崎から県道に逸れて東へ向かうか
それとも素直に向かい風でも下り基調で走りやすい千種川沿いを選ぶか・・・」
と、一応説明しましたが
所詮、京都の人ですから土地勘がありません。
分った様な分って無いような・・・
いや、分って無いですね。
説明したところで、イメージ出来っこありません。
「あと何キロくらいっすか?」
「う~ん・・・あと50~60kmくらいかなぁ~」
「まだそんなにあるの!
あと、坂は?」
「このあとに万能峠があって
それ以降はそんなに坂は無かったはず・・・」
スマホの地図を見ようが見まいが
要は、あと何キロくらいあって坂がどれくらいあるのかが分ればいいんです。
だって道、知らないんですから・・・
このメンバーの中で道が分る奴は一番走力の無い私・・・
その私が必然的に先頭を引かなけりゃならない事になります。
南西の風に対してどのルートをとれば
最も向かい風の影響が少ないかなんてことは
私以外のメンバーにはそれほど重要な問題ではないかもしれません。
最も風の影響を受けるのは、この私なんですから・・・
休憩から再スタートしてすぐは
一度止まった筋肉はすぐには動いてくれません。
乳酸が邪魔をして、まるで油の切れたロボットようです。
「うわっ!脚、おもっ!」
その声が聞こえたのか?
後ろからMAKOTOさんが前に出て前を引いて下さいました。
さすがロードバイク歴20年以上のベテランです。
暫く空気抵抗との戦いの最前線から退いて
ダメージを受けた筋肉の回復に努めました。
軽いギヤでクルクル回す・・・
負荷が軽い状態でクルクル回すと
筋肉のポンプ作用で乳酸の代謝が幾分進みます。
しかし、「つるや」から万能峠は近かった・・・
「あれが万能峠です!
先に行ってください!」
そう言わなくても分ってましたとばかりに
みんな先へ行きました。
万能峠は兵庫県と岡山県の県境にあります。
岡山県側から兵庫県に戻ってくるのですが
みなさん大阪府や京都府、神戸市等から来ているので
岡山県と兵庫県の県境を走るというのは
それなりに感慨深いものがあったようです。
「コギコギさん、美作と書いて(みまさか)と読むんですよね・・・
絶対、(みさく)と読んじゃうよなぁ~」
「万能峠の兵庫県側への下りは急カーブがありますから注意して下さい!」
上りで待たせておきながら
下りは真っ先に先頭を行きます。
今回のコースの中で万能峠の兵庫県側への下りが
最も長くスピードの出る下りです。
元プロ選手の冨田さんがバイクを倒してヘアピンカーブをクリアしていきました。
私もそれに続いてヘアピンをクリアしていきます。
5台のロードバイクが次々にコーナーをトレースしていく様は
まるで戯れて飛ぶ鳥の群れでした。
一旦、空高く上昇してから旋回しながら下降して
今度は真っすぐに一気に滑空する・・・
地面すれすれを飛ぶツバメの様に踏切のところまで進みました。
乱れた隊列を整えた後上月から国道373号線を南下します。
「久崎から左折して県道へ入ったほうが
向かい風を避ける事が出来ると思うので
次、左折しまぁ~す!」
そう言って久崎から県道に入った瞬間向かい風!
「な、なんで向かい風やねん!」
「そう言うもんなんですよねぇ・・・
策士策に溺れるって・・・」
千種川を一旦遡る事になるので
理屈の上からは南西の風に乗れるはずです。
しかし、理屈どおりにならないのが自然なんですね・・・
向かい風の中、私が先頭を引く羽目になってしまいました。
列車の速度が一気にダウンします。
その時です。
後ろの元プロ選手の冨田さんから檄が飛びました。
「コギコギさん!もっと肘曲げて!
サドルの前に乗って!
差し込む様なペダリング!」
言われた通り、
肘を曲げてサドルの前寄りに着座してエアロポジションの体制をとりました。
大腿四頭筋の出力を上げるとケイデンスもアップしていきます。
12時から3時方向へ
斜め前へ
つま先から差し込むようにペダリング・・・
「ぅおおおおお!」
必死に前を引いていたら右折して卯ノ山峠を迂回する道に入るのを忘れていました。
「しまった!右折するのを忘れてました。
この先、卯ノ山峠を上らなきゃいけません!」
「えぇええええ~
コギコギさん、もう坂、無いって言ってたじゃないっすかぁ~」
冨田さんが不服そうですが
一番残念なのはこの私ですよ。
上らなくてもいい峠を上らなくてはならなくなったのですから・・・
「先行って!先行って!」
もう、みんな、私が坂ではついて行けない事は重々承知していますから
遠慮することなく、私をオーバーテイクして先へ行きます。
そして卯ノ山峠を越えて国道179号線を東へ向かって移動中
私は大変な事を思い出しました。
「冨田・・・万能峠越えたら坂は無いって言ってたけど・・・
まだ、相坂峠があるのを忘れてた・・・」
「エエッ!まだ坂、あるんっすか!」
「ちょっとした坂やけど・・・」
策士策に溺れる・・・
向かい風を避けるべく
国道373号線からそれた事がそもそも間違いだったのでしょうか?
相坂峠の手前で
私はハンドルから右手を離して「先に行け」のハンドサインを出しました。
「コギコギさん、坂、ついて行く気無いでしょ!」
冨田さんに厳しい事を言われます。
しかし、ついて行こうとして付いて行けないのが分っているならば
正直に最初から付いて行けませんと意志表示するのみ・・・
私って策士ですか?
相坂峠をクリアした後、コンビニで補給します。
自転車歴20年以上のMAKOTOさんにとっても
厳しいサイクリングだった事をうかがわせました。
再スタートしてからも引き続き私が先頭を引きます。
もちろん、私しか道を知らないからなんですけどね・・・
先頭を引かなければなりませんが
私しか道を知らないというシチュエーションは絶対に千切られないメリットがあります。
そして私のペース以上に速くなる事もありません。
自分のペースで走る事が出来る・・・
他の人が物足りないと思うかもしれませんが、
自分のペースで走れるメリットは大きいですね。
今回のサイクリングで得た格言は・・・
「自分より速い人ばかりと走る時は
敢えて先頭を引く方が楽」
私って策士?
走行距離…135.08km
時間…5:13:13
平均速度…25.87km
最高速度…61.18km
平均CAD…90
積算距離…33037km
消費㌍…3065kcal
補給食…0kcal
心拍…Avg.146 Max.184
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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