坂の上に風が吹いていた |
こんなにゆっくりのペースじゃ物足りないと思ったのでしょうか?
ヘイジさんは由良の峠で最初に飛び出して行きました。
「さすが・・・調子が悪いと言いながら
坂を見ると飛び出すんやね・・・」
私はヘイジさんを追いたくても
とてもあんなペースでは登れません。
「クライム君も行きたいんじゃないの?」
「いやぁ・・・僕はボチボチ行きますよ」
クライム君もヘイジさんに負けず劣らず坂は強い。
でも私のペースに合わせて伴走してくれました。
先行しているヘイジさんが大きな声で呼びかけて来ました。
「コギコギさぁ~ん!
この先、待ち合わせ出来る場所ありますかぁ~?」
「あっ、ヘイジさんアワイチ初めてだったんだ」
「上に行けば、謎のパラダイスがあるよぉ~」
謎のパラダイスとは朝日放送の探偵ナイトスクープで紹介された有名場所。
アワイチを走った事がある人なら思い浮かぶはずです。
私はクライム君と一緒にヘイジさんの後を行きます。
心なしか前回のアワイチの時よりも軽く登れる気がする・・・
思えば5月の比叡山ヒルクライムに向けて
ウエイトを約2kg落とし、坂の練習も少しはやったので効果があったのかもしれません。
フクちゃんの呼吸の音がだんだん遠くになり
かなり千切る事に成功!
結局、謎のパラダイスには停車せず
峠のピークで合流して立川水仙郷の由良の峠は終わりました。
そして九十九折れの急カーブをいくつか下って行くと
目の前にサファイヤの様な青の海が見えて来ました。
峠を越える事で
見える海が大阪湾から紀伊水道に変わっていました。
ウエットスーツを着て潜っている人もいます。
平日の昼間、私達が見ている景色が淡路島の日常の景色なのかもしれません。
県道を走っているのは我々だけ・・・
まるで貸し切り状態でした。
みんなのヘルメットが時折海の方向へ向く。
相生湾から見える播磨灘とも大阪湾とも違う
太平洋につながる海の青・・・
誰もが見とれて走っていました。
峠を一つ越えた達成感も手伝って会話が生まれます。
クライム君が聞くと
「坂を登ってから調子良くなってきたみたい」
「それはヘイジさんがクライマーだからっすよ」
由良の峠で苦戦したフクちゃんが
「コギコギさん、暑いね!」
「梅雨明けして真夏になったみたい。
暑いけど写真には暑さは写らない。
青い空と青い海が写って爽やかに見えるよ」
確かに梅雨明け宣言をした途端に気温の上昇が激しく
夏の暑さに慣れていない人にとっては厳しいようでした。
私は何故だか案外平気だったんですけどね。
モンキーセンターが近づくとフクちゃんが休憩しようと言うので暫く休憩。
ぬるくなったドリンクよりキンキンに冷えた自販機のジュースが欲しくなるんですよね。
夏のアワイチは小銭をたっぷり用意した方が良さそうです。
しかし今にして思えば
休憩を提案したフクちゃんの体温は
この頃からみんなよりも上昇していたのかもしれません。
玉のような汗をかいていましたからね。
実はこの玉の様な汗、体温を下げるにはあまり役に立っていません。
玉の様な汗は体温と同じ温度である上に
気化するのに時間がかかるため
体から熱を奪いにくいので無効発汗と呼ばれています。
いい汗のかき方は皮膚が、ジトッと湿っている感じなのです。
玉の様な汗をかいた時は
汗をぬぐった方が体温を下げられます。
ここでも、やっぱり飛び出したのはヘイジさんでした。
坂と見ると徹底的に前へ出る・・・
坂をゆっくり走っているヘイジさんを見た記憶が無い・・・
ダンシングの使用頻度が多くなります。
しかし登り切ると100mの高さからのパノラマが広がります。
「あんなに登って来たんや・・・」
ヘイジさんやクライム君の足元にも及びませんが
私の登坂力はアップしたように思いました。
あとからフクちゃんが必死に登ってきました。
「ふぅ~おまたせぇ~
ちょっと、写真だけ撮らせてね」
去年はこの坂、フクちゃんと一緒に登った気がする。
灘大川の坂を登れば福良港へ向けてダウンヒルが始まります。
そしてダウンヒルのあと私達は県道25号線から外れて
ホテルニューアワジがある峠を目指します。
この場所こそ、自転車乗りだけの景色が見える場所なのです。
吹上浜に向かっていると
収穫された玉ねぎが
玉ねぎを乾燥させるための小屋に沢山吊るされていました。
フクちゃんが笑いながら
「血液がサラサラになりそうな香りやね」
この香りが淡路島なんだ・・・・
そしてまた登りが始まります。
坂好きのヘイジさんが
「坂、多いっすね!
しんどくなってきましたよ」
なんて言っていましたが結局クライム君を伴って
どんどん登って行きました。
「うん・・・」
「でも今年は・・・先に行くよ!」
私はフクちゃんを置いて先行するヘイジさんとクライム君を追いました。
しかし、やっぱり二人の背中を捉える事は出来ませんでしたね。
まだまだ修行が足りないようです。
遅れて登って来たフクちゃんと合流して
ホテルニューアワジからの絶景ポイントに行きました。
今回はいい写真が撮れませんでした。
そしてホテルニューアワジの前を通り過ぎる時
巨大な風車が見えて来ます。
海から吹きぬけてくる風を受けて大きな羽が回っていました。
風車が回る迫力を近くで見たくて
風車の根元まで行ってみました。
この巨大建造物の雰囲気が
どことなくジブリ作品に出てきそう・・・
そしてこの風車を回している風が吹き抜ける場所へ行きました。
車を止める事が出来ない道からの景色です。
あの畑の中の道を走っていました。
海から吹いてきた風は田んぼの水面に小さな波をつくり
畦道の草を揺らし
玉ねぎの香りを運びながら
あの巨大な風車を回していたのです。
ここからは風が見えそうな気がする・・・
しばらく何も言わずに景色を見ていました。
するとフクちゃんが
「コギコギさん!どっか影ない?暑い!」
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
フクちゃんは顔が赤くなっていました。
皮膚表面の血管を拡張させる事で体温を下げようとしているのですが
如何せんヒルクライムは風を受けにくいため体温が上昇しやすい。
しかも無効発汗ときています。
熱中症の危険がありますよね。
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暑過ぎて記憶が曖昧としてます。 ロングも苦手ですしね。
やっぱり坂が速い人は坂が好きなんですかね?
屋内で玉の様な汗は要注意ですね。
だから足を着いた敗北感と、千切られた敗北感を味わいたくないから頑張ってる気がしますf(^_^;