小豆島の香りと緑の素麺 |
前回からの続きです。
二十四の瞳映画村で醤油サイダーを補給して元来た道を戻ります。
古江から、また醤油屋さんが軒を連ねる道を走ります。
播州の龍野は播州小麦や大豆、赤穂の塩、揖保川の水、瀬戸内の気候が
良質の醤油を醸造するのに適しているそうです。
有名どころとしてはヒガシマル醤油かな。
龍野は自転車でもよく通ります。
白壁の土蔵や煙突は龍野の街並みを思い出させますね。
そして町並みだけではありません。
醤油工場のある街に住んだ事のある方なら分かると思いますが
醤油工場の周辺は独特の香りが漂います。
醤油の醸造工程で麹菌や酵母菌など様々な微生物が影響して発酵、熟成するのですが
その時の香りが独特なのです。
まだ醤油になり切れていない香りがします。
醤油工場の板壁やレンガにもきっと微生物が生きていて
周辺の空気にも漂っているんじゃないかと思います。
私は心の中で呟きます。
「あっ、龍野とおんなじだ!」
記憶を呼び起させるものは何も視覚だけではありません。
嗅覚によっても人の記憶は形づくられているのです。
小豆島の香りの中で
この香りも故郷を思い起こさせる香りに違いないのです。
ひしおの郷を過ぎて国道436号線を西へ向かいます。
小豆島の形を牛に例えるとして、ちょうどお腹のあたりが平坦路になります。
小豆島はアップダウンしかないと言いましたが
この部分だけは平坦路が続きます。
ここは瀬戸内の島の景色というよりも
どこか地中海を意識した演出がしてあって
道路沿いのヤシの木が異国情緒を醸し出します。
道端に自転車乗り3人が止まっていました。
クロスが2台にロードが1台。
多分、コースの確認か何かでしょう。
私が、「こんにちわぁ~!」と挨拶をすると
気持ち良く「こんにちは!」と挨拶を返してくれました。
彼らを追い越して、しばらく手信号やハンドサインを出しながら走っていました。
すると後ろから声を掛けられました。
「うしろ、付かせてもらってもいいですか?」
見ると、さっき追い越した自転車3人組のなかでロードを乗っていた青年でした。
「あっ、いいですよぉ~」
「ありがとうございます!
いやぁ~誰かの後ろに付くっていうのをやってみたかったんですよねぇ~」
話しぶりから、ドラフティング初心者かな?
もの凄い爽やかな笑顔で話しかけてきました。
「どこから来られたんですか?」
「兵庫県です。
相生といって兵庫県の西ですが・・・分かんないですよね・・・
え~っと・・・今日は日生港からフェリーでやってきました」
「日生港だと大部ですね。
僕は玉野市からフェリーでやってきたんですけど結構時間かかるんですよねぇ~」
そして大峠に差し掛かり・・・
「今日はこれからどこへ行くんですか?」
「単独なんで、別にこれって決めて無いんですけど
小豆島ふるさと村で昼飯にしようかなと思ってます。
大部発のフェリーの時間が2時半なんですよ」
「2時半なら余裕じゃないですか・・・
僕はね・・・
あっ!後ろ付いて来てない!
ごめんなさい!引き返します!」
彼は大峠を途中で引き返し、私は引き続き峠を登って行きます。
さっきのお兄ちゃん、なんやったんやろ?
ここで私の妄想が始まります。
私が自転車3人組を追い越した時、時速35kmくらい出ていたように思います。
その後、信号で止まったかもしれません。
高速で走り去った私を見てロードの青年が他のクロスの仲間に提案します。
「追いついてあの人の後ろに付かせてもらおうよ!
ドラフティングと言って、空気抵抗が減るから楽に進めるはずなんだ」
輝く彼の目にクロスバイクの二人は同意しました。
「そんなにドラフティングしたいなら・・・」
彼は私を追ってペダルを踏み続けました。
私の背中が徐々に近づいてきます。
後ろについた時点で声を掛けた。
「うしろ、付かせてもらっていいですか?」
私の後ろに付いている間、ドラフティングを体験出来て嬉しかったんでしょうね。
もの凄い爽やかな笑顔でしたから・・・
しばらくの間、仲間の事はすっかり忘れて時速35kmの高速巡航を楽しんでいました。
大峠を登り始めて、ふと後ろを見ると誰も付いて来ていない。
完全に後続をぶっちぎってしまったのです。
そりゃそうです。
どう見ても自転車初心者のクロスバイクですから・・・
この私の妄想もいい線いってるんじゃないかと思うんですけどねぇ~
私は大峠を左折して小豆島ふるさと村へ向けてダウンヒル!
レストランへは11時過ぎに到着しましたが、すでにお客さんは沢山来られていました。
私、一人なんで、どこに座るか迷っていました。
相席すれば座れるんですけど、
どう見たって自転車の恰好でなじめるはずもない・・・
困っていると店のお姉さんが一番奥に誘導してくれました。
ここに来たら、そうめんを食べようと決めていました。
小豆島の素麺も有名なんです。
ちなみに私の住んでいる播州にも揖保の糸というそうめんがございます。
小豆島と播州は共通点が多いですね。
私が昼飯に選んだメニューはコレ!
緑色に見えるのはオリーブを練り込んであるからでしょうか?
普通のそうめんと違う味がするのかな?
さっそく頂いてみます。
いい味のダシが麺に絡むと一層美味しくなります。
緑色の麺ですが味は普通のそうめんでした。
どこか讃岐うどんを思わせるコシがありましたね。
やっぱり旅はグルメがなきゃね!
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
まだここまでしか進んでいないのは自分でも遅筆だなぁと思います。
このあと、二十四の瞳映画村への道で出会った御夫婦に再会します。
追い越したはずなのにね。
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ドラフティングも楽しいですし、旅先でロードの人と仲良くなるのもまた楽しみですしね(^^)
ドラフティングは自転車仲間があってこそ練習出来ます。
日頃は単独走しか出来ない人にとって
ドラフティングってどんな感じなんだろうって思うんでしょうね。
自転車仲間が増えてくるとしょっちゅう使うテクニックですけどね。
めんつゆに入れる薬味も所変わればで、色々流派があるようです。
ぶっちぎられたクロスバイクの2人の気持ちはよく分かるような気がします。これも妄想ですけどね。私が今乗っているロードバイクを入手する前、自転車を持っていない空白期間があったんですけど、その時期にしまなみ海道をレンタサイクルのクロスバイクで一生懸命走っていたらロードバイクにいとも簡単に抜き去られました。もう、追ってみようという気も起こらないくらいの圧倒的な速度の差でした。その体験が今のロードバイク生活のそもそもの始まりなんです。かつてはランドナーに乗っていたので、そこそこ速いスピードは出ましたが、やはりロードバイクのスピードは自転車の中では別格ですね。
自分にとってはそうめんはなんといっても揖保の糸、しょうゆはヒガシマルです。
後ろにつかれた方、コギコギ先輩から離れたくなかったでしょうね。ドラフティングした方が、絶対的に楽だし、楽しいですもん。
小豆島を思い出される事でしょう。
瀬戸内の景色はどこか共通点がありますね。
タイプRさんのロードバイクの最初ですね。
やはり、そのスピードに魅せられましたか・・・
ロードバイクに乗れば、どんな速さで走れるんだろう?
私のロードバイクの最初もそんな気持ちからでした。
そうめんと言えば揖保の糸という感覚は一生ものでしょうね。
もちろん醤油はヒガシマルです。
うどんスープとかよく使ってました。
私の後ろについた青年ですが
このあとも一緒にドラフティングで進めば
友達になっていたかもしれません。
そんな感じしました。