吹き飛ばされた200kmオーバーサイクリストのプライド |
前回からの続きです。
消波ブロックにぶつかった波が砕けると
そのしぶきが風に乗って頬に当たりました。
走り始めると横風に車体を傾けて立ち向かわないと真っすぐに進めない。
「うわぁ~強烈ぅううう!」
少し走ると風の音が静かになった。
ペダルを漕がなくてもグングンスピードが上がる。
時速は40kmオーバー!
時には50kmオーバー!
「追い風に乗ったぁあああ!」
風と一緒に移動する事で風の音がしなくなる。
強烈な巡航速度を維持しながら静寂に包まれるのです。
まるで偏西風に乗って進む渡り鳥のように
私たちは地上で群れをなして風に乗った。
「コギコギさぁ~ん!
郡家のコンビニまでノンストップぅ~!」
列車を引き連れて慶野松原のコンビニに入ろうとする私を
住友林業さんが制止しました。
私は瞬時に住友林業さんの考えを理解しました。
せっかく追い風に乗れた。
このスピードなら一気に淡路サンセットラインを走り切れる。
補給する時間を費やすより
今、この風に乗って進めるだけ進む!
しかし、コンビニを通過して程なく状況は急変。
追い風が吹かない!
それどころか向かい風?
強烈な横風が戻って来たと同時に
ペダルを踏んでも進まなくなる。
再び風の音で会話が邪魔される。
私たちは仕方なく大声で会話しました。
「うわぁあああ!
さっきの横風、強烈だったなよな!
自転車ごと飛ばされるかと思った!」
初めての経験に目を白黒させています。
「ハンドルをしっかり持ってぇええ!」
住友輪業さんが経験の浅いメンバーに指示を出す。
「うぉっ!水たまりぃいいいい!」
強風に砕けた波が淡路サンセットラインの路面に水たまりをつくっていました。
それは一か所ではなく、至る所、何か所も・・・
「嫌だなぁ・・・塩水の水たまりだぜ・・・」
しかも砕けた波のしぶきが風に乗ってロードバイクを湿らせました。
「こりゃ、錆びるぞ!
手入れが大変だ」
追い風に乗った静寂から一変、風の音と波の音の喧騒!
先頭を引く私の頭が風を避けるために下がる。
減速する列車・・・・
それを見た住友輪業さんが最後尾から志願製の先頭交代。
向かい風から私を守るように住友輪業さんが前に出ました。
その途端、列車の速度が上がる。
住友輪業さんが先頭を引く事で列車は息を吹き返したかに見えました。
しかし・・・
「住友輪業さん!ペースダウン!
後ろ!千切れてる!」
列車は走力のある住友林業さんが前を引く事で過酷さを増しました。
それはセーテンさんとバイソンさんにとっては致命的だったのです。
しかも慶野松原のコンビニをスルーして補給しなかった付けが今頃になって回ってきました。
「腹減ったぁ~
力、出ねぇ~」
ペースダウンしてセーテンさんとバイソンさんを列車に吸収しましたが
上りに差し掛かると千切れるの繰り返しでした。
この淡路サンセットラインのちょい坂でバスク輪さんが前に出ます。
「重いギヤしか踏めませぇ~ん!」
バスク輪さんは重いギヤで力強く坂を上ります。
「元気やなぁ~」
「そうじゃなくて、重いギヤしか踏めないんですよ」
そうなのです。
もう脚がダメかなと思っても
例えばアウタートップに入れてみると
あら不思議!まだ走れるじゃない!
という現象が起こります。
理由は良く分かりませんけどね。
再び後ろを振り向くと
セーテンさんとバイソンさんが居ない!
「住友輪業さん!あの二人、千切れて姿が見えなくなった!」
「コギコギさん!前、引いてて下さい!
俺、回収しに行ってきます」
先頭が私に回ってきて列車の速度は遅くなる。
それが功を奏したのか
しばらくすると住友林業さんを先頭に
セーテンさんとバイソンさんが重いギヤを踏んで帰ってきました。
「お前ら、そんな力が残ってんなら
もっと前に出しとけよぉ~」
東海岸で風が強いと言っても、まだマシでした。
それはそうでしょう。
西風か、もしくは西北西の寒波の風を淡路島自体が遮っていたのですから・・・
しかし、淡路サンセットラインを走る我々に風をさえぎるものは無くなりました。
播磨灘を吹き抜ける寒波の風が淡路島に当たる。
その風と島が衝突する部分に私たちは居るのです。
我々は激流に翻弄される小魚と同じでした。
「コンビニに入るぞぉ~」
やっと訪れた補給ポイント、燃料タンクは既にエンプティー
少し多めに補給する。
いつもなら補給の度に
カップめんやら寿司なんかを食べてはしゃぐバイソンさんが大人しい。
既に吹き飛んでいました。
失速する仲間を尻目にグングン加速する妄想と
現実の自分との差・・・
その差の大きさに打ちひしがれているようでした。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
今日はここまで書いて時間切れ・・・
続きは後日書くつもりです。
このブログは、にほんブログ村ロードバイク部門ランキングに参加しています。
下のバナーをクリックして人気投票していただけると嬉しいです。
ポチはどれでも一つでいいですよ。
読んだら忘れずポチしてね。
にほんブログ村