この再会に感じた神様の存在 |
前回からの続きです。
瀬戸内海側から遠く離れた日本海側で
対向車線から声を掛けられた私ですが
誰だか全く見当がつきません。
私は停車して問いかけました。
「すみませぇ~ん!
どなたでしょうかぁあああ?」
「ハンセルです!
ほら、コギコギさんに自転車を教えてもらった・・・」
「ああっ!ハンセル君か!」
ハンセルさんは昨年の11月上旬に私に手紙をくれた人です。
ブログの鍵コメでなく
自筆の手紙をだるま珈琲のマスターを通じてくださった方です。
どう乗っていいのか分からない初心者の苦悩が滲み出ていました。
ちゃんと自転車の事を勉強したいのだけれど
本やネットの情報だけでは今ひとつ分からない。
だから実際に誰かに直接教わりたいと思ったようです。
教えて欲しいと言われても
私は自転車競技部出身でもなければプロでも何でもありません。
しかも私より速い人は素人にもごまんといます。
彼が速くなりたいがために私に自転車を教えて欲しいというのなら
私は彼の期待に応える事が出来ません。
私は彼の申し出を断ったでしょう。
しかし、結果として断りませんでした。
彼の手紙の中に私の心を動かす文言が含まれていたからです。
それは
「何よりマナーを守り、安全な走行に努める必要があると実感している」
という部分でした。
ちょうどその頃、今では臨時漕会の会員になっている
ディーさんやバスク輪さん、セーテンさんにコージ君といったメンバーと
だるま珈琲を通じて交流を持ち
一緒に走るようになっていた時期でした。
当時、彼等も初心者でしたから
ハンセルさんも加えて何度か練習会の様なものを開いたりしました。
しかし、本格的な冬を迎えるとハンセルさんと走る事が無くなります。
実は彼は二足のわらじを履く人だったのです。
オリンピック選手の橋本聖子さんが
自転車とスケートの二足のわらじを履いていたように
ハンセルさんにとってのそれは
自転車とスノーボードだったのです。
「スノーボードやってるっていうと
チャラい奴だと思われるかもしれませんが
僕は真面目にやってるんですよね・・・」
ハンセルさんとLSDトレーニングを行った時の彼の言葉です。
本格的なスノーボードシーズンを迎えると
ハンセルさんはボードが活動の中心になり
やがて、ほとんど音信不通状態になっていきました。
ところが、まさか、日本海側で彼と出会うとは・・・
「うわぁ~久しぶりだねぇ~
自転車、乗ってたんだ・・・」
「春になって自転車に乗る時間が出来ましたから・・・」
「それで、今日は、なんでココ走ってるの?」
「実は、今、初めての200kmオーバーサイクリングで
ハチ高原上ろうと思ってるんです」
「ひゃ~!初めてでハチ高原!?」
「去年、ハチ高原ヒルクライムレース出たじゃないですか・・・
その時の記録と比べて今、どれくらい走れるかと思って・・・」
「へぇ~そりゃ凄い意気込みじゃないか」
「コギコギさんはどちらへ?」
「今日は、出石に蕎麦を食べに・・・」
「そうなんですかぁ・・・」
「ハチ高原への道は分かるかい?」
「もちろん、スノーボードやってますから」
「あっ、そうか」
「ハハハハハハハハ!」
私たちにとって言わば異国の地である日本海側で
まさかハンセルさんと出会うとは・・・
この偶然は本当に偶然なのでしょうか?
もし、神様が存在するのであれば
私たちを再会させるのに絶好のシチュエーションを与えて下さったものだと思いました。
「じゃあ、気を付けて!」
そして私は出石へ
それぞれの道を進んで行きました。
遠くから自転車でやって来るお客さんとして
店の人も私の事を憶えてくれています。
そしていつもの女性店員さんが応対してくれました。
「いつもいつも、有難うございます。
今日も、お蕎麦食べたら、すぐ帰るん?」
「ハハハハ、すぐ帰る
だって自転車やもん・・・
あっ、そうそう、来週、大勢で来るから」
「本当?有難うございます」
「晴れればね・・・」
「そうねぇ~お天気の事があるからねぇ~
晴れればいいねぇ~」
そんな何気ない会話が楽しめるのも同じ店に通っているから・・・
そういうのが楽しかったりするんですよね。
そして店を出て1~2kmでしょうか。
音も無く、アスファルトに大きな黒い影がサッと移動しました。
私は反射的に空を見上げます。
「あっ!コウノトリや!」
翼を広げると2mにもなる巨大な鳥が私のすぐ上を羽ばたいて行ったのです。
ほんの一瞬でしたが私はコウノトリの顔を見ました。
黙ったままで無表情な目をしていました。
その無表情な目は、何故か何もかもお見通しの様な気がしました。
古代の人たちがコウノトリを霊鳥として大切にしていたのが分かる気がします。
鳴きもせず、大きな翼を広げて悠然と飛ぶ姿は神々しささえ感じます。
再び野生のコウノトリが大空を舞う奇跡・・・
この地でハンセルさんと再会したのは
やはり、神が存在するということか・・・
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
今日は、ここまで書いて力尽きました。
続きは後日書くつもりです。
ちなみにコウノトリは生まれて初めて見ました。
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