大串半島のいい風 |
もう攻める気がしない・・・」
「コギコギさん、
汗がポタポタポタリング
脚がツルツルツーリングですから・・・」
バスクリンさんに言われても
納得して攻めて上れるほど脚も精神力も残っていなかった。
少なくとも大串半島からの絶景を知らない私にとって
モチベーションを維持するのは不可能だったのだ。
次々と先に行く丸臨を見送って私はシンガリを務める。
やっと空が広くなって
重力の呪縛から解放されると
そこには知った笑顔が待っていた。
「おおっ!
アパッチさんじゃないですか!」
小豆島サイクリングの折りに中学生の息子さんに坂で千切られかけたお父さんだ。
「うわぁ~久しぶりですねぇ~
来てくれたんだ・・・
ちょっと待って、
喉渇いてて・・・
先に自販機行って来る」
午前中の曇り空が
うってかわって夕方から蒸し暑い梅雨の晴れ間になった。
上に行けば自販機があると聞かされて喉の渇きを我慢していたのである。
するとアパッチさんは自販機へ行こうとする私を引き止める。
「ちょっと待って下さい!」
「冷たいアイスコーヒーを用意してるんです」
「えっ?
アイスコーヒー?」
私は事態を直ぐに飲み込めない。
そんな私の反応を見ながら
アパッチさんが大きなリュックサックを引っ張り出して
中から大きなステンレスボトル2本と簡易カップ
更にタッパーに詰めたプチケーキを取り出し始めたのだ。
いったい何リットルのアイスコーヒーを用意したのだろう…
「こんなに大きくて重いリュックを背負って上ってきたんですか?」
「ええ、ロードバイクじゃ前傾がキツイんで
クロスバイクで来ました」
「アパッチさん、いただきます」
「うわぁ~美味しい!
いいコーヒー持ってきてくれたんですね。
今日は、だるま珈琲、無理だなって話してたとこなんです」
「だるま珈琲ほどいいコーヒーじゃありませんけどね」
アパッチさんは、そう謙遜するが、
キンキンに冷えたアイスコーヒーは私の喉を潤し、そして心に沁みた。
そして、アパッチさんのアイスコーヒーを飲むと
不思議と心のざわめきが静かになった気がした。
だからだろうか?
蒸し暑いと感じていた皮膚が涼しさを感じる。
「ここ、いい風が吹いてる」
「コギコギさん、ここはね、
ラジコングライダーの聖地なんですよ」
なるほど言われてみれば
トンビがいい風を受けて目線の高さを飛んでいた。
そしてその目線の先に瀬戸内海の絶景が広がっていたのである。
「あれが小豆島か・・・
あの白いのが三都半島の灯台・・・
そして、あれが淡路島・・・
その間に播磨灘・・・
するとあの向こう側が万葉岬か・・・」
いつもは南に見える瀬戸内海が北に見える。
私は確かにこの海の向こう側からやってきたのだ。
瀬戸内海を挟んでの交流もロードバイクは可能にした。
この日、瀬戸内海には
確かにいい風が吹いていた。
時間…4:21:17
平均速度…23.84km/h
最高速度…59.56km/h
平均CAD…77
積算距離…42387km
消費㌍…2135kcal
補給食…###kcal
心拍…Ave.131 Max.182
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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