残念な事なんですが
最近、私の近しい人が骨折を伴う落車を経験する事となりました。
今日は本人の同意を得たうえで
彼の貴重な落車経験を読者の皆様と一緒に分析したいと思います。
それは仲間3人で向かったヒルクライムレースの下見で起こりました。
完走すれば自走200kmオーバーの下見サイクリングでした。
しかし、結局は救援に駆けつけた仲間の車で帰る羽目になったのです。
落車当時、彼は、先頭を走行中でした。
お世辞にも広いとは言えない道幅・・・
その下りの左コーナーに差し掛かった時です。
対向車が、かなりこちら側に切り込んで来ました。
危険を感じた彼は咄嗟に「対向車ぁああああ!」と叫びながら
後続を振り返ったのです。
その直後、続く緩やかな右コーナーを曲がり切れず左肩から山肌に激突・・・
目立った外傷は無いように思われましたが
すぐに左腕が上がらない事に気付きました。
彼は最初、打撲だろうと思っていたそうです。
ところがレントゲンやMRIで検査すると
左上腕骨頭粉砕骨折及び左上腕骨折という重症でした。
覆水盆に返らず・・・
ほんの一瞬で彼は多くのものを失ったのです。
それでは早速、今回の落車の分析に取り掛かりましょう。
まずは「対向車が、かなりこちら側に切り込んで来ました。」という部分ですが
道幅の狭いコーナーは常にその危険性があります。
カーブミラーをしつこい程確認し充分な減速をしてコーナーに進入。
つまり対向車が向かって来ても回避できる準備をしながらカーブをクリアしなければなりません。
常に対向車の恐怖を念頭に置いて行動しなければならないのです。
それが出来ていたかどうか・・・
実際は分かりせん。
そして今回の落車の最も悔やまれるのが
下りのコーナーの途中で後続を振り返った事です。
後続に危険を確実に知らせたかったのかもしれませんが
後続を振り返るという事は様々な危険性を孕んでいます。
まずは前方不注視になるという事。
前方の変化に対して当然、対応出来なくなります。
この場合、続く右コーナーに対応できませんでした。
更に自転車は視線を向けた方向に進む傾向があります。
左に視線を向けたまま、右方向に曲がるのは難しいのです。
もちろん、走行中に目視で後方確認の必要な場面はあります。
例えば路上駐車を避けるために後方を確認して進路変更する場合。
前方の遅い自転車等をオーバーテイクする場合も後方確認します。
しかし、この場合、後方確認するために前方の対象物に対して
充分手前から動作に入るはずです。
下りのコーナーが連続するようなシチュエーションで
果たして振り返る動作に正当性はあるのでしょうか?
もちろん、振り返る動作は無用だったと断言できます。
逆に振り返りさえしなければ落車は防げたでしょう。
前をしっかり見ていれば落車しなかったのです。
じゃあなぜ振り返ったんだ?
もしかしたら
そこが最も共有しなけらばならない事かもしれません。
下りの落車と言うと
最も多いのがオーバースピードでコーナーに進入する事が原因の落車です。
しかし、今回の落車はそれとは少し違う気がします。
臨時漕会の過去の落車事例で
振り返った事が原因の落車は2件あります。
1件は殆ど車の通らない道幅の狭い平坦路で発生しています。
みんなと談笑しながらリラックスして走っている時
片手運転で振り返って写真を撮ろうとした時
前輪が落石に乗り上げてバランスを失って落車しました。
2件目は、リアのテールライトが点灯しているかどうか
乗ったまま確認しようとして振り返りバランスを失って落車しました。
どちらも速度がそれほど出ていなかったので
今回ほど重症な怪我にはなりませんでした。
しかし、それでも大きな怪我にはなりました。
この両方に共通していることは
不用意なところ、つまり、注意や用心が足りないところなんです。
落車っていうのいは多かれ少なかれ不用意なんですが
この2件は特に落車への恐怖心がその瞬間、欠如していたんです。
私は今回の下りコーナーで振り返った落車も
この不用意な落車に分類出来るのではないかと考えています。
なぜなら、下りが怖い人は下りの途中で決して振り返らないからです。
だって怖いんですからね。
今回、彼は後続を振り返った瞬間、
いやもっと前から、
下りで落車したら死ぬかもしれないっていう恐怖心が欠如していたんだと思います。
みんなね、頭では分かっているんですよ。
振り返って写真撮ろうとして落車したメンバーも
振り返ってテールライトの点灯を確認しようとして落車したメンバーも
その行為は危険だと分かっちゃいるんです。
しかし、心の底からそうは思っていなかったんです。
今回の下りコーナーで振り返った落車も同じです。
下りコーナーで振り返れば危険だと分かってますよ・・・
しかし、そもそも心の底から下りは危険だと思っていたら
振り返る事は無かったのだと思います。
心の底で大丈夫だと思っていたから振り返ったんです。
折しも、今回落車した人は、またしても上り調子だったんですよね。
走力もレースでの成績もうなぎ上り・・・
超ロングライドをいくつもこなし経験値も上がっていたはず・・・
そんな時に限って
悪魔はちょっとした心の隙を狙ってやって来るのです。
油断とか過信とか言葉はありますが
具体的には心の底から怖いと思わなくなる事から始まるんだと思います。
車の運転でもそうですよね。
若葉マークの初心者より
重大事故は2年目3年目に多い・・・
「事故るかもしれない」から「事故らないだろう」に変わる時が危ない。
私たちはヘルメット以外
身を守るものは殆ど身に付けていません。
何かあればただでは済まない・・・
大袈裟でなく命を失ってしまうかもしれません。
朝、元気にサイクリングに出かけたお父さんが夕方には帰らぬ人となる事が
実際に起こっているんです。
その事を心の底から恐れているかどうか?
コンビニに入ろうとして道路と歩道の落差で落車した。
信号停止する時、歩道に足をのせたらクリートが滑って落車した。
池で魚が跳ねたのを見ながら走っていたら
路肩のアスファルトの境でタイヤを取られて落車した。
こういう不用意な落車でも車に轢かれたら終わりです。
この記事を読んでいるあなたの心の底はどうですか?
あなたの心の底には
「落車するかもしれない」がありますか?
それとも
「落車しないだろう」がありますか?
今一度、落車の恐ろしさを
リアリティーをもって想像してみて下さい。
それでは明日からは安全運転で・・・
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
まずは貴重な落車体験を報告していただいた事に感謝ですね。
今回の落車は防げたと思われるだけに悔やまれます。
もちろん防げない不運な落車もありますが
落車っていうのは心理的な要素で防げるものが少なくないと思います。
まずはグループライドで
「下りはゆっくり下りましょう」と声を掛け合う事から始めませんか?
読者の皆様におかれましても
私達、臨時漕会メンバーと同様に
「落車ゼロ、事故ゼロ」を目指していただきたいと願っております。
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