その土地に適応して進化した景色 |
前回からの続きです。
新井の棚田を見終えた後
細い生活道路を進むと
私たちは程なく伊根湾に出ました。
取りあえず左折して亀島地区の中を進みます。
海を見ると小型の観光船が湾内を周遊していました。
ガイドの声が私たちの所まで少し聞こえるくらい沿岸に近づいています。
特徴的な舟屋の姿は遠くに小さく見えるだけです。
もっと近くで見たいと思うのが人情です。
そこで地区内の細い道を進みますが
舟屋って裏から見れば普通なんですよね。
全然分かんねぇ~」
「もしかして、俺達・・・ツボ踏んだ?」
「たぶん、観光船から見るのイイんだろうけど・・・」
しかし、私たちは自転車ですから
家と家の間や路地の向こうから海が見えたり
舟屋の一階の入り口が開いているところから海が見えたり
そういうちょっとした景色を見逃しませんでした。
「あっ!この場所から見える景色
なんだかテレビで見たような気がする!」
ようやく、舟屋が途切れたところから
如何にも伊根湾らしい景色を見ることが出来ました。
この景色!この景色!
良かったね、それらしい写真撮れて・・・」
「しかし・・・何が綺麗って
やっぱり海・・・海水だよなぁ
民家に隣接した海がこんなに透明だなんて・・・」
この期に及んでまだ海が綺麗なのです。
私たちは反転して「道の駅 舟屋の里伊根」に向かいました。
ソフトクリームや缶ジュースなどで
ちょっとした補給を済ませます。
展望所から私たちが先ほどまで居た亀島地区が一望出来ました。
今ふと気づいたんですが・・・
今、もう3時20分なんですよ」
「えっ?もうそんな時間」
「そうなんですよ・・・
思った以上に時間かかってますよね。
そこで問題なのが
市営駐車場の時間が5時までって事なんです。
あと1時間半しかありません」
「距離は?」
「あと27kmってとこでしょうか」
「う~ん・・・
微妙・・・」
「そうゆっくりもしてられませんよ」
「よし!じゃあ出発!
国道178号線までは
舟屋群の中を抜けていこう!」
道の駅から坂を下って
今度は右折して平田地区を進みます。
「なんや!こっちの方が見やすいやん」
観光駐車場も整備されており
そこからは如何にも伊根湾らしい舟屋群の風景が見えました。
急いでいたのですが
せっかくですから写真撮影。
ちょっと逆光やなぁ~」
その時撮影したのがこちらの写真です。
私たちは国道178号線までの間
伊根湾を名残惜しむように速度を落として走り抜けました。
国道178号線に出るとウサギさんチームが牽引する列車は速度を上げました。
前方に視界を集中しなければいけませんが
チラチラ目に入って来る景色は海が近くて美しい・・・
立ち止まれるものなら立ち止まって眺めていたい・・・
そんな景色が続きました。
そりゃそうですよね。
私たちは日本三景のひとつ
天橋立に向かっているのですから・・・
水田で田植えをしている人々の向こうに海が見える景色も
どれだけ写真に収めたかった事か。
しかし、市営天橋立駐車場の営業時間は午後5時まで・・・
それに間に合わなければ元も子もありません。
先頭を牽くオンチさんが更にスピードを上げました。
「ううっ!」
私は千切れそうになり
思わず下ハンダンシングで喰らい付きます。
「ごめんな!
うしろ、付きにくいやろ!」
安定して付いて行けなので
私の後ろのバスク輪さんに詫びを淹れながら走りました。
何だかんだ言って
最後はピリリと刺激的な臨時漕会列車。
ウサギさんチームのフラストレーションも
いくらか発散できたのではないでしょうか。
4時45分、
気分爽快の顔で市営天橋立駐車場に到着しました。
「今回の丹後半島一周・・・良かったよね」
「いやぁ~100kmほどでしたが充実してました」
「今度はもっと、ちゃんと調べて来たいよな」
丹後半島は絶景だらけ・・・
大変満足なサイクリングでした。
特に同じ日本海側でありながら
ステレオタイプ化された日本海側の景色とは異なった景色だったことが
丹後半島一周サイクリングを印象深いものにしたことは言うまでもありません。
それは丹後半島が日本海側にありながら
独自の気候や地形を持っている証であると思うのです。
海岸線の断崖の上に田んぼや畑がある風景や
伊根湾の舟屋群の風景も
丹後半島の地形や気候に適応する事で形作られたのだと思います。
ある意味、その土地にあった進化を遂げる事は
当然と言えば当然でしょう。
徳島県の吉野川に見られる大きな中洲(善入寺島)もそうでしたし
小豆島のオリーブ畑もそうでしょう。
揖保川沿いの田植えと小麦の収穫が同時に見られる景色もそうでしょう。
違う土地の景色の中に自分を埋没させることで
日常から容易に離脱出来る・・・
言い換えれば容易に現実逃避が出来るのです。
恐らく・・・
「旅」とはそういう事では無いでしょうか。
特に自転車は
五感全てを使ってその土地の風景を感じる事が出来ます。
潮の香り、風、海の色、空の色、坂の勾配
へしこの味、砂の温度・・・
例えば道幅の狭い舟屋群の中に車で来たとして
どれだけのものを感じられるでしょうか?
ただ車で走り抜けるだけでは
自転車で走り抜ける何分の一しか得られない。
「旅」をするツールとして
自転車は最高なのだと思います。
さあ、あなたも違う土地を自転車で走ってみませんか?
走行距離…104.40km
時間…04:33:43
平均速度…22.88km/h
最高速度…52.40km/h
平均CAD…75
積算距離…3183km
消費㌍…2305kcal
補給食…###kcal
心拍…Ave.133Max.176
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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