15歳の少年と走るためにクリアしなければならない条件 |
前回からの続きです。
200kmオーバーの走力を持つ15歳の少年に
「安全に走行する」ことの少しで伝えるべく一緒に走るべきなのか?
それとも万が一の責任問題を回避するため断るべきなのか?
臨時漕会の中では「断るべき」の意見が大勢を占めていました。
みんな、私の事を心配してくれての事です。
万が一のことがあった場合
私のリスクが大きすぎると・・・
しかし、私の心は一緒に走る事に傾いていました。
今始まったばかりの自転車人生・・・
落車や事故でつまずいて台無しにしてほしくない。
これから先、どうせ彼は走る。
だったら、知ってて走るのと知らないで走るのとでは大きく違う。
思春期真っただ中の15歳の春に
憧れのローディーと一緒に走った経験は一生輝くに違いありません。
臨時漕会のチームスピリッツは「安全に走行する」です。
その一部でも彼に伝えることが出来たなら
少なくとも暴走ローディーにはならないでしょう。
いや、それどころか紳士的な立派なローディーに成長するはずです。
では、チームのメンバーの意見を無視して走るのか?
いや、そんな事はしません。
むしろ、チームのメンバーの意見を尊重しながら
彼らを納得させるだけの体制をつくるのです。
私は彼にご両親の事を聞きました。
ご両親が自転車乗りなら一緒に走ってもらえば問題は一気に解決します。
案の定、ご両親のうち
お母さんの方がローディーでした。
しかし、初心者でポタリング程度の速さでないと一緒に走れないとの事でした。
200kmを平気で走破する息子と一緒にサイクリングは
彼女には荷が重すぎるのです。
そりゃそうですよね。
まさか自分の息子が200kmオーバー走るようになるなんて
普通の人は思いませんから・・・
実は今回、富山から神戸に帰省する際も
彼は自転車で京都まで自走の計画を立てていました。
そのサイクリングに関して
ご両親は車でサポートするという事でした。
彼の自転車生活への協力は
そういう形でされているのです。
お母さんと一緒にサイクリングは
本人も何となく乗り気でないようでした。
もし私とアワイチをするのであれば
スタート時にお見送りに来られるとの事。
15歳の少年の親も含めて一緒にサイクリングは難しいようです。
しかし、お母さんがローディーなら色々解ってもらえるだろうと思いました。
そこで私は彼と一緒に走るにあたり誓約書を書いてもらう事にしました。
サイクルイベントやレース、走行会に未成年者が参加する場合
主催者側に責任を問わないといった内容の誓約書を提出しますが
それに倣ったものを提出てもらう事にしました。
もちろん、自筆で署名、捺印してもらいます。
しかし、これだけでは不十分です。
自転車保険への加入が未だだったの加入してもらいました。
因みに兵庫県では条例で自転車保険への加入が義務付けられています。
(ただし罰則はありません)
そして更にエマージェンシーカードです。
これもレースによっては義務付けられていますが
本人の血液型や常用している薬
緊急連絡先などの情報を記入したカードを携帯してもらいます。
エマージェンシーカードについては
既に本人が用意していました。
これで、いよいよアワイチかというと
まだ臨時漕会のメンバーを納得させるには至りません。
淡路島は我々のホームコースなのですが
どんな場所なのかを熟知しているが故
大手を振ってアワイチとはならないのです。
淡路島一周は高速巡行区間あり、山岳区間あり
そして風光明媚な景色ありで
物凄くいいコースなんですが
交通量が多く道幅が狭いところも多いんです。
しかも水仙郷あたりの下りでは事故も多い・・・
つまり、彼が一番望んでいるアワイチが
ネックなんですよね。
そこで私はアワイチの代わりに
竜野駅周辺の周回コースで練習した後
交通量が少なくて走りやすい
西はりまのコースを走る事を考えました。
この考えに至るには色々な方の助言があった事を付け加えておきます。
誓約書、自転車保険への加入、エマージェンシーカード、
そしてアワイチを断念してのコース変更・・・
ここまで準備すれば納得してもらえる可能性が高くなります。
私は彼にコース変更を受け入れるように説得しました。
思った通り、かなり楽しみにしていたらしく
はい、そうですか、とはいきませんでしたね。
しかし、淡路島は逃げないから
これからの人生、いくらでもアワイチは出来るから
それよりも、知っていて走るのと知らないで走るのとでは大きく違う事がある。
まずは、そっちを優先しようということで
彼にコース変更を受け入れてもらいました。
そして今度は私が臨時漕会のメンバーを説得する番です。
以下が実際に私がメンバーに送ったメッセージです。
(原文から一部削除してあります)
15歳の少年と走る事について
皆さんから様々な意見を頂戴し
私なりに色々と考えた事を書きたいと思います。
まず、臨時漕会がスピリッツとして掲げているのは言うまでも無く
「安全に走行する」です。
別にカッコよくも何との無い言葉ですが
これを実践するのは実に難しいです。
「安全に走行する」事は、ただ単に技術が優れているだけでは出来ません。
ドライバーや歩行者の気持ちを思いやって走れるか?
自分の気持ちをコントロールして走れるか?
愚直に安全を確認し続けることが出来るか?
私は以前、「ロードバイクに乗る者紳士たれ」と述べたことがありますが
まさに、紳士でなければ「安全に走行する」事が出来ないと考えています。
ところで、私たちが追及している「安全に走行する」事は
自分たちだけが「落車ゼロ」「事故ゼロ」を達成し
自分たちだけが「安全に走行する」事が出来ればいいというものだったでしょうか?
丸に臨の字を背負っている我々が
声を掛け合い、ハンドサインを出し
誰も見ていない田舎道の信号でも信号を守り
集落内は徐行する・・・
そういう事がカッコいいという風になる様に
我々は「安全に走行する」というスピリッツを
世間に広めて行く事も臨時漕会の役割であったはずです。
私は今回、15歳の少年と走る事は
「安全に走行する」というスピリッツを広めるべく訪れた機会であると感じています。
自転車に乗るのが大好きな彼は
中学生にしてママチャリで200kmオーバーを達成しています。
我々はロードバイクでなら
しょっちゅう200kmオーバーをやっていますが
じゃあ、あなたはママチャリで200kmオーバー出来ますか?
どれほど計画性と精神力が必要な事か。
ロードバイクを買ってもらった彼は
雪国で走れないからと
ローラー台で自らトレーニングメニューを組んで取り組んでいます。
心拍180以上を20分なんてトレーニング
あなたはこなせますか?
この春から高校生になる彼は
ロードバイクで各地を飛び回るに違いありません。
しかし、残念なことに
彼には「安全に走行する」というスキルが不足しています。
それは無理もありません。
車の免許はもちろん原付の免許すら持っていない。
彼は安全運転に関する訓練を受けていなければ知識も不足しているのです。
そして更に
彼の人生経験はたったの15年である事を付け加えておきましょう。
だから、今こそ、
彼に「安全に走行する」というスピリッツの一部分だけでも
伝える事が重要なのではないでしょうか。
それは彼が交通戦争の犠牲者にならないためにも
必要な事であると思うのです。
ご指摘の様に
未成年である彼と私がともに走れば
万が一のことが合った時、責任を追及されるリスクがあるのはその通りでしょう。
しかし、そのリスクは
保護者から責任を追及しない旨の誓約書を取ることで軽減されるものと考えています。
そして、自転車保険、及び賠償責任保険に加入させることにより
加害事故が発生した場合でも私のリスクは軽減されるでしょう。
そして私は
更にリスクを軽減させるべく
彼に淡路島一周の希望を断念してもらいました。
その代わり、竜野駅周辺の周回コース
及び揖西の周回コースで安全に走る練習をしたうえで
淡路島よりも安全と思われる西はりまのコースを走ってもらう事にしました。
ロードバイクが大好きな15歳の思春期に
憧れのローディー達と共に練習できる時間を過ごせることは
彼の人生において、きっと輝かしい歴史となるに違いないのです。
彼が暴走ローディーにならず
立派な紳士的なローディーに成長するために
今回の出会いは絶妙であると思うのです。
リスクは・・・
人生において常にあります。
例えば、交通事故に会うリスクがあるからと言って
家の中に閉じこもっている人生が豊かであると言えるでしょうか?
私たちローディーも
落車や事故のリスクをある事を承知の上で
豊かなロードバイクライフを送っているのです。
見ず知らずに人と出会う事にもリスクがあります。
だから出会わないのではなく
スキルを身に着けて身を守るんですよね。
今回、誓約書、自転車保険、コース変更など
最大限リスクを少なくすることに努めました。
このリスクと比べ
彼が「安全に走行する」という我々のスピリッツに触れる事の方が
圧倒的に意味のある事であると思います。
もう結論はお判りだと思いますが
私は20日(日)に彼と走ろうと思います。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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私なら、最低限車で併走しますし、同時に一族郎党呼び寄せて、20キロごとに立ち番させます。または前後をハイヤーで囲い護送する方法もあります。当然前もってご挨拶やお包みを致します。つまりそこまでする覚悟と経済力があるからこそ、何か問題があっても、こちらが謝りこそすれ、漕ぎ漕ぎさんを責めることは100パーセント致しません・・・となるのだろうと思います。もちろんそこまでせず、自分で連れて行きますし、そんなことをネットを介して頼む非常識について、強く叱ります。中学生であれ小学生であれ、子供として「していいこととと悪いこと」を教えるのは親と社会の責任です。
漕ぎ漕ぎさんの心意気は見事ですし、書かれている方法も悪くありません。引率されるというのもまた大人の決断として分かります。
問題が起こる可能性は0.05パーセントくらいだと思いますので、読者としては、無事を祈るだけです。
それにしても、・・・文面を読むにつけ、グズ親というかダラ親というか、保護放棄も甚だしいと思います。本当に挨拶にこないのですか?・・・すごいですね。その親の親の顔が見たいです。
それと、やはり直接は、200キロの引率を頼む、つける薬のない中学生ですね。
なんでそういうことをダメだと誰も言わないのでしょうか?
まさに、この親にしてこの子あり・・・だと思います。
それとも、そういう非常識さが社会に風穴をあけるのでしょうか?
漕ぎ漕ぎさんの無事を祈るのみです。
この子は後に日本や世界に羽ばたいて行く子なのかも((( ;゚Д゚)))
安全に自転車に乗る事は『格好いい』
ここが中学生に安全を教える上でのポイントな気がしますねー♪
格好いいと思わせられるかみたいな笑
コギコギさんに教わった後友達にもじゃんじゃん広めてもらえると良いですね!
ただ、ママチャリでもそうですがロードバイクは更に凶器にもなりうる乗り物で一歩間違えば人を殺めてしまう、自分も死んでしまう可能性もある乗り物なので中学生にその自覚がもてるか、スピードを出して楽しい方が勝ってしまわないか、自制がきくのか、は気になる所ではあります。
まぁでも大人でも色んな人がいますし、早くから安全な乗り方を知っておくほうがいいのかな( ゚Д゚)b
もう乗っていて楽しみを知ってしまったわけですしね!
まとまりの無いコメントで失礼致しました汗
やっぱりコギコギさんって凄い人思いですねっ(o゚∀゚o)
若い人に安全に走行するってのを伝授することは大切なことです!
師匠は必要ですもん(笑)
私も働いてる会社のオジさんが師匠で色々教わってますし♪
私は何とも申し上げられませんが
もしかしたら15歳という年齢が影響しているのかもしれません。
もちろん、大人ではありませんが
かと言って、まるっきり子供でもありません。
まさに思春期、まっただ中です。
本人は、親の目から離れたところで
冒険してみたいという気持ちがあったのかもしれません。
まあ、私にアワイチ同行をお願いする事にしても
ママチャリで200km走ってみたりも
根性あるのかもしれませんね。
一応、富山県の木目羊羹?を
彼を通していただきました。
富山から自走で帰省するサイクリングも
車で伴走されているようなので
まったく、ほったらかしでも無いようです。
安全に走る事がカッコいいって思われなきゃ
広まらないと思うんです。
声を出したりハンドサインがカッコよくないと
面倒臭いだけですからね。
とにかく、もう既に彼は200kmオーバーの走力を身に付けっちゃってるので
少しでも事故らない技術を覚えてもらった方がいいと思ったんです。
誰かを傷つけてしまったら賠償の責任を負います。
自転車に乗っている者が
その賠償能力を持っていなければ
被害者は救われませんからね。
そして、保険に入っていなければ
一生、高額の損害賠償を背負う事にもなりかねませんからね。
自転車保険、賠償責任保険は入っておくべきでしょう。