奇跡を見る事が出来た奇跡 |
前回からの続きです。
列車はいよいよ豊岡市内に入ります。
私は減速のハンドサインを出してスピードを落としました。
豊岡の街を走ると昔を思い出します。
体育館でバレーボールをした事、公園にSLが展示してあった事
昔の豊岡病院は円形の建物だったこと・・・
「前方の立野橋の交差点を右折しまぁ~す!
ここは2段階(二段階右折)!
右折した先は道幅の狭い橋を渡ります。
ここは、いくつかに分かれて進んでください!」
戸牧川を渡った後、円山川を渡る橋が狭い。
そして円山川の東側に出ると
いよいよ田んぼが多くなって
コウノトリが飛んでいそうな景色が広がってきます。
私はコウノトリが飛んでいるかもしれない空を
時々、チラ見しながら先頭を牽きました。
やがて案内標識に従って右折したところが目的地の
兵庫県立コウノトリの郷公園です。
ここまで、ほぼ私が先頭を牽きました。
走行距離は約130km・・・
アベレージは24km/hちょっと・・・
私としては、ほぼ予定通りです。
このくらいで通すことが出来れば帰りも大丈夫です。
到着時間は12時過ぎ・・・
「予定より、約1時間ほど遅れています。
トイレ休憩やコンビニ休憩が多かったかな・・・
出石でそばを食べるのは止めにして
ここで昼食をとります」
私はそう言いながら空を見ました。
(飛んでない・・・)
公園内には2か所、食事が出来る場所があります。
私たちは、コウノトリ本舗で食事をすることにしました。
「腹減ったぁ~」
思い思いのものを注文して昼食をとります。
私は窓の外が気になって仕方ありません。
(飛んでない・・・)
ここでちょっとした問題が発生。
私たちは130kmの道程を走ってきたわけですが
ここで出された食事の量では
私たちの空腹を満たすことが出来ませんでした。
そこでもう一か所
コウノトリの郷直売所でも食事をすることにしました。
軽食を頂ながら私は窓の外を見ます。
(やっぱり、飛んでない・・・)
「コウノトリ、飛んでないねぇ・・・
せっかく来たのに1羽も飛んでないなんて・・・
一応、西側に公開ゲージがあって
羽を切って飛べなくしてるコウノトリを見る事は出来るんだけど・・・
やっぱり、野生のコウノトリが大空を飛んでいる姿を見てもらいたいですねぇ・・・」
食事を終えて外に出ても
やはり、コウノトリを見る事は出来ませんでした。
私は仕方なく
メンバーを施設内から西側の公開ゲージを見る事が出来る場所へ案内しました。
「へぇ~これがコウノトリですか・・・
思ったより沢山いますね」
それなりに喜んでくれているようにも見えます。
しかし、野生のコウノトリが大空を舞う姿を知っている私には
決して満足できるものではありませんでした。
「せっかくここまで来てもらったのになぁ~」
自転車に乗ってやって来たからと言って
コウノトリが飛んでくれるわけではありません。
それが野生・・・
コウノトリを見れないかもしれない事は
最初から分かっていたはず・・・
私たちが諦めて施設の外に出た時です。
一人の男性職員が空を見ていました。
「コウノトリ、飛んでますよ」
「えっ?」
「おおっ!あれだ!」
確かにコウノトリだ!」
私たちが諦めたのを見計らったように
最も感動を誘う登場の仕方でした。
彼らは音も無く羽ばたいては滑空します。
そしてもう一羽が姿を現すと
彼らは対になって
上空で弧を描くように旋回します。
暫くすると、どこからともなく、また別のコウノトリが姿を見せ
正確には分かりませんが6羽くらいのコウノトリを見る事が出来ました。
中には我々の頭上を低空で飛行する個体も現れました。
2mほどの大きな翼広げて音も無く我々の目の前を通過して
建物の影に消えていきます。
「うわぁ~大きいなぁ~」
公開ゲージの中で飼われているコウノトリとは違い
彼らは、まるで世の中のこと全てを悟っているような目をしていました。
建物の影に隠れたコウノトリを追って移動すると
彼らは研究棟の屋根の上に鎮座していました。
その数、3羽!
彼らが古代、霊鳥と思われていたのも
この姿を見れば頷けます。
1971年、野生のコウノトリが豊岡の地を最後に
日本の空から姿を消して45年・・・
普通にコウノトリが田んぼや屋根にいる光景は
実は物凄いことなのだと思います。
我々が今、目の前にしている光景はまさに奇跡。
その奇跡に巡り合えたのも
また奇跡なのかもしれません。
コウノトリが空を舞っている姿を見に行くという目的は
土壇場で達成されたのです。
「さぁ、そろそろ帰りますか・・・
予定より2時間遅れています。
帰りは六方田んぼを通って出石に向かいます。
六方田んぼって四方八方の六方ってことで
だだっ広い田んぼって事です。
ここはね、遮るものが無いから向かい風だと大変なんですよね」
約130キロの殆どを牽いて来た私が
再び先頭に立って帰路に就きました。
六方田んぼを吹き渡る風は
果たして私に敵となるのか、味方となるのか?
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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んーっ、コウノトリから感じる世界は、
なぜか孤高やある種の諦観を呼び覚まし
ます。
多分、鳥にしては強い意志を感じさせる光を秘めた眼に宿る
「有史以来、すべての生を視てきた、
お前は、個であり、全だ」と言っているかのようなあの表情がそうさせるのでしょう。
鳥の姿を借りた仙人みたいな雰囲気を感じま
すね。
ナマのコウノトリを必ず見に行きます。
私も胸が熱くなりましたよ!!
やはり野生だと迫力やオーラも違うのでしょうねー♪
しかし130キロ引率なんてコギコギさんも凄いですよね(*´ー`)ゞ
私も頑張って距離走れる様になりたいです!
いんや!長距離走れる様になりますよっ!!(笑)
無言で静かに飛んでいるのが
余計に神秘性を感じさせるのかもしれません。
見に行かれたとしても
野生のコウノトリが大空を飛んでいる姿を見れるとは限りません。
それでも見に来られるというのなら
私たちがコウノトリに遭遇した時間帯の方が
確率が高いかもしれませんね。
先頭を牽いていたんですが・・・
まあ、引率みたいなものでしたけどね。
スピードを求めないのなら
ロングライドは意外と簡単かもしれませんよ。
有酸素運動の領域で走り続ければ
理論的には何時間でも走り続けられますから・・・