あんなのに付いて行ったらアカン! |
前回からの続きです。
目標は36周・・・
そのために1周6分40秒で走り続ける。
過去2回、36周は達成しています。
直近のトリガタワTTで最高記録を更新しています。
調整はうまくいっている・・・
しかし、不安要素が無いわけではありませんでした。
「フクちゃん、実はね、いつものレースなら心拍計は2台体制なんよね。
一台はサイコン、もう一台は腕時計タイプのもの・・・
混信で計測できない場合に備えるためなんだけど・・・
腕時計タイプのトランスミッターを無くしちゃって
心拍計はサイコンの一台だけになった・・・
ラップタイムは分かるから大丈夫だとは思うんだけど・・・」
私にとって心拍計はレースを組み立てる上で最大の情報源です。
船でいう羅針盤みたいなものでしょうか。
ペース配分が最重要のエンデューロレースにおいて
心拍計が使えない事態は深刻です。
「今は正常に心拍拾ってるから大丈夫・・・」
日差しがあるところはそうでもなさそうでしたが
私とフクちゃんとバスク輪さんが陣取った場所は日陰で寒い。
「心拍は・・・76・・・
いい感じの心拍・・・・
今日は、いける!」
スタート直前の心拍としては低い。
前に目をやると先頭集団で戦う作戦のボーンズさんが手を上げて合図しています。
4時間組みが静かになりました。
スタートのカウントダウンがアナウンスされ
クリートをはめる音が集団を包みます。
「スタート!」
マスドスタートなら集団がパニック状態になってもおかしくないところを
マトリックスをはじめとする実業団の選手が集団をうまくコントロールしています。
しかし・・・
「心拍計が混信してる・・・」
1周目はローリングスタートだったので目標から40秒オーバーの7分20秒。
2周目からが本当のレースの始まりです。
「コギコギちゃん、ペース速くない?」
「う~ん・・・心拍計が無いから何とも言えないけれど・・・
とにかく6分40秒を感覚で走るしかない」
先頭集団に乗らない3人は、私を先頭にフクちゃん、バスク輪さんと列車を形成。
レース序盤は私が先頭で列車のペースをつくります。
2周目6分26秒・・・
3周目6分44秒・・・
「コギコギちゃん、さすがに、いいとこ持っていくねぇ~」
フクちゃんが褒めると
今回がデビュー戦のバスク輪さんは不安そうです。
「こんなにペース速いんっすか?」
レースはサイクリングとは違う。
余裕のペースじゃ走れない。
ギリギリのところを狙う。
心拍計の情報は無くともラップタイムは36周のタイムです。
私たちは6分23秒から6分47秒の範囲で順調にラップを重ねました。
「コギコギちゃん、うしろ、見てみろよ・・・
けっこう連なってるぜ」
フクちゃんが言うので後ろをチラ見・・・
「うわっ!ホンマや!
けっこうな人数を助けてる!」
あんまり大規模な人数に利用されると順位が下がる・・・
かつては集団をコントロールしてカッコよく走る事に喜びを感じていた時もありましたが
真剣に順位を上げようと思うと、喜んでばかりもいられません。
どこかで、
ふるいにかけて人数を減らす・・・
普通はペースアップする事で付いてこれない奴をふるいにかけるのですが、
残念ながら、私にはペースアップする余裕はありません。
しかし、そんな私でも唯一、集団の人数を減らせる場所があります。
それは
アトウッドカーブからの立ち上がりです。
アトウッドカーブは、このコースで最もスピードが出る下りの高速コーナー。
ここから上り基調のモスエスへの立ち上がりは
下りの加速度を最大限生かして重いギヤを踏んで加速します。
まず、下りの高速コーナーを
減速させる事無く安定してクリア出来るスキルが無ければなりません。
それが出来ないと下りの加速度を上りに生かせない。
下り基調のバックストレートから
まるでダイビングするようにアトウッドコーナーの下りに突入します。
外脚荷重でバイクを安定させて
コーナーからの立ち上がりは重いギヤに入れて下ハンダンシングで踏む踏む踏む!
すると、下りの加速度を生かせない奴は
重いギヤで下ハンダンシングされる度に脚を使わなければなりません。
だから、アトウッドカーブの立ち上がりで千切れる奴を何人か出せる。
フクちゃんは、何度も一緒に列車組んで走ってるから慣れたものです。
ここでハンドサイン無しの先頭交代も行いました。
しかし、デビュー戦のバスク輪さんにとっては
もしかしたら、キツイ区間だったかもしれません。
フクちゃんを先頭に走っていると後ろから声がしました。
7時間ソロのモーニングさんです。
「どのくらいのペースで走ってますか?」
「6分40秒です・・・
モーニングさんは?」
「今のところ、6分以下・・・」
「速い!」
「乗りますか?」
フクちゃんはモーニングさんに引いてもらう気満々です。
「フクちゃん、アカンてぇ~
あんなのに付いて行ったら
乳酸が一気に溜まる!」
「分かってる!分かってる!
ホームストレートまでやって!」
フクちゃんが何をしたいのか想像に難くありませんでした。
ホームストレートには臨時漕会の応援団が待っています。
その応援団の前で4人編成の臨時漕会列車を走らせたかったのです。
自分達の雄姿を仲間に見てもらいたかった・・・
「アカンてぇ~」
フクちゃんはモーニングさんの背中に向けて加速し始めました。
私は仕方なく下ハンダンシングで加速します。
結局は、これが切っ掛けでレースは動いたのでした。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
今日はここまで書いて時間切れ・・・
続きは後日書くつもりです。
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よく聞くんですけど、僕はまだ経験したことがないです。
ちなみに僕のサイコン歴は初代がキャットアイ、2代目がガーミンです。どちらもレース中大丈夫でした。
ただ、肝心のエンジンの方がね、毎回準備ができてなかったみたいですね(>_<)
苦戦を強いられるのは80%走る前から決まってたんでしょうね。ブログ読んでると反省させられることだらけです。
たぶん・・・安物ほど・・・
私のサイコンは、混信すると
Too many signal とかなんとか表示されて
心拍が分からなくなります。
また、そうでなくても他人の信号を拾ったりします。
レースの80%は走る前に決まりますが
あとの20%はレース中に決まると思ってます。
その20%を確かなものにしていくには
やはり経験値を上げる事かもしれませんね。