自転車で見つけた今の色 |
午前中は冨田さん主催の練習会に2時間だけ参加して
午後からは単独でポタリング・・・
朝起きた時、車のフロントガラスは凍っていたのに
練習会から離脱する頃には
インナーに長袖ジャージを重ね着した事を後悔するくらい暑かったです。
曇り空なのに気温は13度。
節分を過ぎると、寒暖の差が激しくてなってウエアー選びには苦労します。
この日、私が単独でポタリングするのには訳がありました。
翌週、チームびわこぐまを案内するコースを試走するためです。
走り慣れたコースといえども
拠点から拠点への移動時間や距離感を確かめておきたかった。
彼等を案内する道は
はりまシーサイドロード・・・
瀬戸内の冬の味覚を堪能してもらう魂胆です。
まずは揖保川沿いを南下して海に向かいます。
気温が13度を超えると
さすがに風が優しく感じますね。
国道250号線の東釜屋交差点を更に海へ向かって南下します。
集落を抜けて、ちょい坂を越えると
風に潮の香りが漂い始めます。
コンクリート舗装の道を進むとパッと視界が広くなる。
「引き潮か・・・」
潮が引いて広くなった浜辺を見ながら
新舞子の浜を端から端までゆっくりと走る。
瀬戸内海の波は女性的です。
やわらかで、優しく、穏やか・・・
人は、暖かくなると水辺へ向かう習性があるのでしょうか?
冬の間、寒くて誰もいなかった浜辺に人が歩いていました。
誰かが浜を歩き始めると
つられて誰かが浜に入る。
新舞子から北上して菜の花畑に入る。
御津の菜の花は1月ごろから花を咲かせます。
さすが温暖な瀬戸内海性気候。
私が見つけたのは菜の花ではありません。
菜の花畑の畦(あぜ)に咲く小さな青い花・・・
気を付けなければ踏みつぶしてしまいそうなほど小さな花です。
その花が私の古い記憶を蘇らせるスイッチとなりました。
1996年3月、私は赴任先で人生初となる雪国の春を迎えていました。
兵庫県の北西に位置する温泉町(現、新温泉町、湯村温泉を有する)は
県下でも知られた豪雪地帯です。
冬の間に降り積もった雪は1mを越え、
棚田は緩やかな丘陵の様になっていました。
日本海側気候では
2週間も太陽を見ない日が続く事さえありました。
瀬戸内育ちの私は気が滅入りそうでした。
集落は白い雪に覆われ
まるで眠っているかのように音がしませんでした。
灰色の空から降り続ける雪に
山も家も眠るしか無かったのかもしれません。
ところがある日、春は突然にやって来る。
灰色の雲が退いて太陽が顔を出すと
日差しは既に力強く、気温がぐっと上がる。
すると方々で屋根の雪が落ちる。
落雪(らくせつ)は音を伴います。
ドサドサドサッもあれば
ドスンもあります。
水たまりに落ちればドシャンもある。
屋根からは、ひっきりなしに雪解けの水が落ちる。
雨だれどころの騒ぎではありません。
ボトボトボトもあれば
ぽとぽとぽともあり、チョロチョロもあります。
冬の眠りから目覚めるため
雪国の春は音を伴って騒々しくやって来るのかもしれません。
水量の増した用水路の水がキラキラと春の日差しを反射していました。
青い空と白い雪が眩しい。
田んぼの畦では雪が解けた傍(そば)から緑色の雑草が芽吹く。
何とエネルギッシュな事でしょう。
その芽吹いたばかりの雑草の緑の中に
あの小さな青い花が咲いていたのです。
私が見つけた小さな春は
自転車でなければ見つけられなかったでしょう。
遮るものが何も無い、むき出しの五感、
そして歩く速さから鳥の速さまで網羅する幅広い速度・・・
何処にでも入っていける気楽さ、
立ち止まりたい時に立ち止まれる自由・・・
車では、この小さな花を見つける事は到底出来なかったでしょう。
そして、幸せな気分になる事も無かった。
季節の移ろいを真っ先に感じられるのは
自転車乗りの特権と言えるかもしれません。
私は更に移動して
室津港で牡蠣の試食に一人で並びました。
山が豊かな所でないと、いい牡蠣は育たないと言います。
なぜなら山の栄養が川によって海に運ばれるから・・・
揖保川や千種川の上流には
幸いなことに豊かな自然が残っています。
播磨灘の牡蠣は、ちょうど食べごろの大きさに育っていました。
最後に万葉岬を上ってみました。
曇り空だから、青い海も青い空も見えません。
しかし、頂上からは不思議な光景を見る事が出来ました。
夕方の日の光が雲の間から漏れ出して
灰色の海にオレンジ色の模様を描いていました。
ちょっとしたオーロラみたい・・・
光の模様も
形や大きさ、色がが変化します。
それは、一隻の船が通過する間さえも
待っていてはくれませんでした。
決して待っていてはくれない。
それは季節でも
景色でも
そして人生でも
今の色は今の色・・・
決して待っていてはくれない。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
この青い花の名前はオオイヌノフグリと言うそうです。
自転車仲間が一番に春を告げる花だと教えてくれました。
このブログは、にほんブログ村ロードバイク部門ランキングに参加しています。
下のバナーをクリックして人気投票していただけると嬉しいです。
ポチはどれでも一つでいいですよ。
読んだら忘れずポチしてね。
にほんブログ村
そう言う会話をお客様と話せるようになった事は自分にとっても大変プラスになってると思います。
予告編もよかったけれど,本編もすばらしいですね。
すぐそこまで来ている春,その感覚をあと何回味わえるのか,そんなことまで考えてしまう歳になりました。
とにかく,「今」を楽しみたい。味わいたい。
そう思います。
最近自転車に乗る暇がないくらいに忙しい日々ですが、コギコギさんの記事を見てすごーく乗りたくなりました(>_<) 今の色は今の色ですか、出会いと別れの季節である春に合ういい言葉ですね。
男が言うのも変ですが、お肌はしっとり、色は白く・・・更に、冬の幸・・・・住めば都!
二人が前に行ったり横に並んだり 仲睦まじく走っている姿をコギコギさんと二人で後ろから眺めながら…いいねぇ〜…と顔をほころばせていましたね。
今年の春のテーマ…ゆったり〜! o(^▽^)o そんな気持ちにさせてくれた文章でした。
車で走っていたころは七曲なんて面倒くさい道だと思っていた。
ところが自転車で走ると
至る所で写真を撮っている自分がいる・・・
カウンター越しに、そんな話をされていましたね。
もう立派な自転車乗りですよ。
とりあえず、写真撮っていて正解でしたわ。
そうすると、いろんなものが見えてくる・・・
オオイヌノフグリ編、執筆いたしました。
「今」を大切にする気持ち、私と同じですね。
自転車乗りとしては飛びぬけて恵まれている「今」を
大切にしていきたいと思っています。
乗りたい気持ちを忘れずに・・・
乗りたい気持ちまで忘れちゃったら
かなり心が病んでいるかもしれません。
今は乗れなくても、妄想の世界で乗りましょう。
そして、実走出来る日が来たら
思いっきり楽しみましょう!
向こうの友達とも深い絆で結ばれました。
確かに、日本海側は肌のきれいな美人が多いと思いました。
だからじゃありませんが
日本海側の人々が好きです。
基本的に純朴で温かい人ばかりですからね。