心の中で小豆島がリフレイン |
前回からの続きです。
県道252号線の坂を上り続けると、ぱっと視界が開けて見事な棚田が現れて来ます。
そこが中山の千枚田。
山の斜面に忠実な等高線を描くような棚田の曲線は
自然と人間の営みが調和した形といえるでしょう。
だから棚田を見ると、どこか懐かしく感じるのかもしれません。
この風景が瀬戸内の小さな島の風景だなんて・・・
村の精米所を改装した店は昭和の香りがする小さなお店でした。
この棚田で作られた米を食べるためです。
「湯船の名水」で育てられた稲が
どれほどのポテンシャルを有しているのか?
確かめてみたい・・・
注文は、もうとっくの昔に決めていました・
「おにぎり定食をお願いします」
田舎にある小さな店なのに店内は混んでいました。
小豆島の観光地から離れた場所に
これだけのお客さんが呼べるのは
それなりの何かがあるからに違いありません。
そして運ばれてきたおにぎり定食・・・
しかし、おにぎりを一口食べると
この棚田の米だからこその味わいが口いっぱいに広がりました。
「このおにぎり、すごいわ・・・」
「冷めてもおいしいのは、本当に美味い米だからだぞ」
「おにぎりで勝負するって、相当コメが美味くないと出来ないよな」
米の一粒一粒が、ちゃんと主張するような・・・
一粒だけ食べても、しっかり美味しさが口に広がる・・・
念願のおにぎり定食を食べる事が出来て
私は大満足です。
店の外に出て出発の準備・・・
「しまった!なんにも決めてない。
おにぎりが目的のサイクリングだったんで
それ以外の事、なぁ~んも考えて無かったよ」
「マジっすか!」
「う~ん・・・タイプRさん達、土庄から帰る?」
「僕たちは、どこからでも・・・」
「じゃあ、とにかく、土庄まで走ろう!」
地元を走るのと違って距離感覚がつかめません。
中山の千枚田から坂を下ってしまえば土庄はあっという間でした。
「土庄港の・・・小豆島のベタベタの観光地行こうか
あの、ほら、小豆島の観光パンフに必ず出ている写真、あるでしょ
なんて言ったっけ?二十四の瞳・・・平和の群像だ!」
「コギコギさん、喫茶店にでも入ってゆっくりしましょうよ!」
冨田さんの提案で喫茶店を探しますが
めぼしい店が見当たりません。
「あっ、あそこ、喫茶店かも」
アパッチさんの息子さんに店を偵察してもらいました。
しかし、なんだか閉まっている雰囲気。
「ダメか・・・」
そう思っていたらOKのサイン!
なんと店の方が私たちのために店を開けてくれるというのです。
毎回思いますが、小豆島の人ってホントに親切ですよね。
「今は珈琲しか出来ませんが・・・」
「あっ、それでいいです!有難うございます」
喫茶店で、また自転車談義が始りました。
アパッチさんが中山の坂で息が切れて出来なかった話をして下さいました。
1日目は鹿児島市から宮崎県の延岡市まで約200km走り、そこで1泊、
2日目は大分県の臼杵市から愛媛県の八幡浜までフェリーに乗り、八幡浜で野宿。
この日の走行距離は約130km。
3日目は高松まで約220km自走です」
「うわぁ~連日、長距離じゃないですかぁ~」
「ところがね、補給をした記憶が殆どないんですよねぇ~
コギコギさんのブログを読んでると
しっかり補給しないとハンガーノックになって動けなくなるって書いてありましたよね。
でも、補給した記憶が無いんです。
そんな事ってありますかね?」
「う~ん・・・それだけの距離を走ったんですからねぇ~
物凄いエネルギーを消費してると思うんで・・・」
私が返答に窮していると冨田さんから助け舟・・・
「アパッチさん、それはね、若かったってことですよ」
「ハハハハハハハハッ!」
そんな話を息子さんが尊敬の眼差しを持って聞いていたんですよね。
「お父さん、そんな事してたの?」
「ああ、若い時にな・・・
今は、無理だぞ」
一休みしてから店を出ても、まだ時間があったので、少し走る事にしました。
小豆島を牛の形に例えると
ちょうど牛の頭にあたる部分を走りました。
そして再び土庄港に戻って来て、四国側の自転車乗りとお別れしました。
「冨田・・・さっきの中学生と走った距離って何キロだろう?
15kmか20kmかな・・・」
「そんな・・・もんですかね?」
「なんだか、もっと長く走った気がするよな?」
「そうですね」
「短いけども、会話して、坂があって、ご飯食べて・・・
内容が濃かったのかな・・・
不思議だよな」
私たちは四国側の自転車乗りと分かれて大部港を目指しました。
県道26号線は走らずに
あくまで沿岸部を走り続けます。
慣れていない道なので
大部港までの距離感が掴めません。
5時10分のフェリーに余裕で間に合うのか?
それともギリギリなのか?
それまでの、のんびりサイクリングと違って少し速度を上げました。
ところが・・・
「げんそくぅ~!」
「ストップぅ~!」
「ごめん!ちょっと止まっていい?
小豆島の夕暮れの景色が、あんまりにも綺麗だったので・・・
写真、撮っていいかな?」
「いいですよ」
先頭を引いていた私のわがままで列車を止めました。
そして名も知らぬ場所から小豆島の夕暮れの景色を眺めました。
島々が浮かぶ海が絶妙の色を見せていたのです。
スポットライトが当たったように明るく光る場所があれば
いぶし銀のように少し暗く光る場所もある。
ほんの少し、時間が過ぎれば雲が流れて太陽が顔を出し
また違うバランスの景色となってしまう。
ほんの一瞬のシャッターチャンスでした。
「じゃ、スタートします」
ところが・・・
「げんそくぅ~!」
「ストップぅ~!」
「ごめん!また、ちょっとだけ止まっていい?
干潟と空が綺麗だったんで・・・」
「ホント、綺麗ですね」
冨田さんのポーズ指導による一枚
もう止まらないで行きましょうよ・・・
誰かがパンクするかもしれないでしょ」
冨田さんの指摘で
ここから先は止まらないで行く事に・・・・
ところが・・・
「ああああああああっ!
めっちゃええ景色!」
「コギコギさん!
止まっちゃダメ!」
「うわっ!空!めっちゃええ感じ!」
「ダメダメダメ!
船に乗れなくなっちゃう!」
冬の日暮れは早い。
それが功を奏したのか
私たちは小豆島の最も美しい時間帯に海沿いを走る事が出来たのかもしれません。
次々と第一級のシャッターチャンスの景色が通り過ぎていきます。
後ろ髪をひかれる思いで
心のデジタルカメラに収めるのみにとどめました。
ところが・・・
「ごめぇ~ん!
一か所だけ!
一か所だけ、写真撮らせて!
小豆島に来たら
毎回写真撮ってるところがあるねん!」
「ホントに一回だけですよ」
段々畑があって、畑の中で子供が遊んでいて猫が居る・・・
そんな景色が私には最も小豆島らしいと感じた場所でした。
そんな景色を想像するだけで
島の人の生活が少し垣間見られたような気がしました。
結果的に私たち帰りの船の時間に間に合いました。
誰かがパンクしても間に合っていたくらいです。
小豆島はやっぱり小さいんですね。
私たちを乗せたフェリーは瀬戸の日暮れの景色の中を進みました。
日生港までの約1時間
行きのフェリーに比べれば、みんな口数が少ない。
しかし、心の中で小豆島の景色がリフレイン・・・
時間…3:37:43
平均速度…21.66km/h
最高速度…53.09km/h
平均CAD…84
積算距離…38893km
消費㌍…1877kcal
補給食…###kcal
心拍…Ave.136 Max.179
(小豆島島内のみの走行記録)
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
小豆島は小さい島ですが何度でも行きたくなるような魅力的な島です。
あなたもフェリーに乗ってサイクリングしませんか?
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あれ?もう1周?って感じで走れてしまいます。
しかし、走り方によっては色んなシチュエーションを楽しめます。
寒霞渓の様な本格的なヒルクライムもあり
海岸線を走るワインディングロードあり
中山の千枚田の様な棚田あり、
醤の郷(ひしおのさと)の様なポタコースあり・・・
おばさんがいらっしゃるなら
喜んでご案内しますよ。
小豆島、また、いろんなパターンのサイクリングしましょう!
定番コース以外にもこまごまと色々ありますから試走もして、いくつかのモデルコースも考えときますね。
この日は距離は短かったですが、とても充実した1日を過ごすことができました。みなさんありがとうございました。
本当におコメが美味しかったです。
凄く綺麗な景色で後ろ髪引かれながら走ってました。
ただ大の男があんな格好で撮影会やってたら、周りから見れば不審者丸出しだなと(^_^;)
この島には、独特のゆったりした時間の流れがありますね。
タイムスリップしたような、夢のような…
今回の小豆島サイクリングは、私にとっても、息子にとってもいろんな意味で思い出深いものになりました。
私は55歳になりますが、13歳の息子とサイクリングをするために、まだまだ老いぼれるわけにはいかなくなりました(笑)
コギコギさん、同行していただいた皆さん、本当にありがとうございました。
記憶に残るサイクリングになりましたね。
自転車乗りのお父さん達にとって
親子でサイクリングは永遠の憧れかもしれませんね。
その憧れを手に入れているアパッチさんですから
これからも息子さんと一緒に永く永く乗り続けて欲しいです。
いつ来るんでしょうか?
息子さんに千切られる日・・・・
あと、臨時漕会の方と小豆島ライドをご一緒させて貰える事になりました!!初めての複数ライドです!めっちゃ楽しみです!これもコギコギさんのブログに出会えたお陰です。
コギコギさんにもお会いしたいです!
日記に出てきた数々の名所をご一緒出来るのを楽しみにしています。
良かったです。
うちのメンバーと小豆島へ行く事が決まったとか・・・
いい所ですから楽しんでくださいね。
複数でサイクリングするとね
経験を共有化出来るから思い出深くなるんです。
またお会いできる日を楽しみにしております。