200kmオーバーライドの信号インターバル |
前回からの続きです。
住友輪業さんは信号待ちで引っかかっていた4人の逃げ集団に追い付いて
私とリキさんが合流するのを待っていました。
「コギコギさん、容疑者のぴよぴよさんを確保しました。
彼の証言によると
列車の後ろにくっついているとトレーニングにならないので
ちょっと負荷を上げただけだそうです」
容疑者を確保した住友輪業さんが私に報告。
そしてもう一人の容疑者、バイソンさんは・・・
「コギコギさん、めっちゃ楽しかったっす!
コレなんすよね!
千切り合い!
あ~!めっちゃおもろいっす!」
興奮冷めやらぬ様子で目をキラキラと輝かせていました。
リキさんは・・・
「そろそろお腹が空きましたね・・・」
そう言えば私達は補給していません。
補給はロングライドをする上で非情に重要な要素です。
莫大なエネルギーを消費するサイクリングは
ちゃんと補給し続けないとハンガーノックになってしまうからです。
腹が減る前に補給するのが原則。
そろそろ補給しなくてはならないのですが
この辺はコンビニ砂漠だったようで
とりあえず手持ちの補給食を摂ってコンビニが見つかるまで走りました。
その後JR高島駅前のコンビニで補給して
私達は一路、白髭神社へ・・・
「近江の厳島(いつくしま)」とも呼ばれている白髭神社は
その名の通り延命長寿・長生きの神様として知られているそうです。
国道161号線を走っていると神社そのものよりも
琵琶湖の湖上に立つ朱塗りの大鳥居の方が目立ちます。
ここも琵琶湖の絶景ポイントのひとつなのです。
そして我々もこの大鳥居を見物します。
「あれが琵琶湖大橋で・・・あの辺が大津かな・・・
俺達はもっと向こうの石山寺、茶丈藤村へ行く」
「茶丈藤村?」
「そ、女将さんが美人で自転車乗りの和菓子屋さん」
「へぇ~」
右手に比良山地の山並みを見ながら
左手には琵琶湖の水辺が続きます。
畑の向こうはもう湖なんです。
瀬戸内の水辺と違い潮の香りがしません。
ここは真水の湖なんだと感じました。
そこかしこに釣りを楽しんでいる人達がいます。
琵琶湖沿岸の住人にとって釣りが如何に身近なものなのか
よく解りました。
順調に大津に向かっていたその時です。
「僕が前を引きます!」
「?」
住友輪業さんの後ろに付いていたバイソンさんが加速!
列車の先頭を引き始めました。
頼むし!脚つかう事せんといてぇえええ!」
いったい何がバイソンさんのテンションを上げさせたのか?
その答えはバイソンさんの後をついていけば解りました。
「ストップぅ~!」
別に何もないところで停車・・・
「ここが聖地なんです」
「ここが聖地?」
「そう、ここは釣りをする者にとっての聖地なんです」
バイソンさんはロードバイク以外に釣りも趣味なんですね。
それでここがJACKALLとう有名な釣り具メーカーらしいんです。
特にバスフィッシングのルアーが有名らしいんですが・・・
「ここ!この水路で製品のテストやったりしてるんすよ!」
なるほど・・・
それでバイソンさんが前を引いた訳ね・・・
しかし順調だったのは聖地まで・・・
ここからが200kmオーバーサイクリングで最も過酷な区間となったのです。
大津市内に入ると交通量が一気に増加!
路肩は狭く車との距離が近いため神経を使います。
信号の度にストップ&ゴーを繰り返さなければなりませんでした。
このストップ&ゴーが曲者だったのです。
先頭を引く住友輪業さんは
日頃から信号のストップ&ゴーを利用した
インターバルトレーニングをやっているんですよね。
その癖が出たようです。
ゼロ発進から必ず時速30km以上に上げるのです。
これはちょっとヤバいかなと思って後ろを振り返ると
バイソンさんの顔にもリキさんの顔にもかなりキツイですと書いてありました。
「お昼ごはんは、美味しいハンバーガーを食べますよぉ~」
笑顔で振り返る住友輪業さんの顔が実は鬼に見えたりして・・・
過酷なインターバルトレーニングは
都会の排気ガスに包まれながら長く長く続いた様な気がします。
時間は調度12時過ぎ・・・
私達は美味しいハンバーガーを食べられるはずでした。
しかし・・・
「凄いね、なんか行列が出来てるけど」
「長い事、待たないとあかんのかな?」
「ハンバーガーっていうのはファストフードって言うくらいだから
割とすぐに出来るんじゃないの?」
私達の会話を聞いていた住友輪業さんは深刻な表情で説明を始めました。
「普通はハンバーガーって言うのはファストフードですぐ出来るんですけど
ここはファストフードじゃないハンバーガーが売りなんですよ・・・
ちょっと聞いて来ます」
昼飯はどうするのかなという不安を抱えつつ待っていると
「さっきお客さんがどっと来て
1時間以上待ってもらわないとダメだそうです」
それならと
私はみんなに提案しました。
「じゃあハンバーガーは諦めて
そこのコンビニで普通に補給しよう。
それで茶丈藤村でゆっくりすればいい」
住友輪業さんは、とても残念そうにしていましたが
実は私は逆に喜んでいたんです。
バイソンさんもリキさんも信号インターバルでかなり消耗していました。
ゆっくりハンバーガーを食べるより
サッサと補給して少しでも進んでおいた方がいいと思ったからです。
バイソンさんの脚に溜まった乳酸が
もうそろそろ暴れ出すんじゃないかと不安でした。
初めての200kmオーバーライドは何が起こるか分りません。
脚が攣るならまだしも体のどこかに痛みが出たり
最悪、ロードバイクに乗れない状態になる事もありますから・・・
私達はコンビニで補給を済ませ
都会砂漠の信号インターバルが再び始まりました。
茶丈藤村は琵琶湖の最南端に位置し
今回の200kmオーバーサイクリングの調度中間地点に当たります。
そこまで行けば・・・
そこまで行けば美人の女将が待っている・・・
あれ?
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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親の心子知らず、といった感じですかね?笑
ストップ&ゴーはほんとに疲れるんですよねぇ
距離は稼げないのにすごく疲れるので嫌いだったのですが…
トレーニングと考えればうまく活用できそうですね!
いいこと聞きました(・∀・)
その後のインターバル区間は 縁石と車に気をとられスピードメーター見てませんでしたが キツイなぁと感じた理由がわかりました(笑) 止まって 30キロ の繰り返しは きついです(笑)
ゼロ発進からですからエネルギー使いますもん!
絶対そっちの方がいいですよ。
信号インターバルの区間はテンションの高かったバイソンさんでさえ
疲れた表情を見せていましたよ。
凄いかどうかは別にして確実に脚は使ってました。