去年の自分に勝ったのか?それとも負けたのか? |
前回からの続きです。
私が8分台を連発していた周回の平均心拍は144・・・
前半戦に160を優に超える心拍で周回していたのが嘘の様です。
何せMAXの心拍でさえ155でしたから・・・
しかし8分台まで落とした事で
朦朧とした意識が正気に戻って来ました。
33周目のラップタイムは7分57秒・・・
ようやく7分台を回復。
経過時間は3時間47分18秒・・・
4時間終了まで残り約13分・・・
昨年の成績を越える事は不可能と判断せざるを得ませんでした。
しかし、昨年と同じ36周を確保する望みはまだ残りました。
3時間59分59秒までにコントロールラインを通過せれば良い。
そのためには13分間で2周・・・
つまり1周あたり6分30秒以下で走れば昨年と同一周回が見えて来ます。
春のエンデューロで31周目からラスト36周目の平均ラップタイムは
集団に乗れたため平均6分25秒で走り切っています。
私は一縷(いちる)の望みに賭けるため出力を上げました。
3時間50分を経過すると
明らかに全体のペースが上がりました。
4時間を走るソロもチームも最後の力を振り絞ってスパートを掛けているのです。
もうとっくにペースを上げることなど出来ないと思っていても
人間は終わりが見えると頑張る事が出来る・・・
アクセルを踏んでも進まないポンコツが
モスエスを通り過ぎようとした時です。
背後から声をかけられました。
「コギコギさん!ラストっすよ!」
私をダンシングでオーバーテイクして行ったのは
ラップしたはずのCAAD10さんでした。
「うぉおおおお!」
私は返事とも気合いとも取れない声を上げました。
颯爽とスパートを掛けているCAAD10さんの後ろ姿が
まるで去年の自分の後ろ姿の様に思えました。
去年の自分の背中は遥か前・・・
もう、追い付けないのか・・・
「コギコギちゃあ~ん!
ラストぉおおおおお!」
阪神の応援に使う鳴り物を鳴らしながら
フクちゃんの私への掛け声もラストスパートしていました。
34周目、コントロールラインを通過した時間は3時間54分38秒・・・
「無理だ!残り5分22秒で、もう1周出来ない!」
私の周回数は去年より1週少ない35周とほぼ確定しました。
ラップタイムは7分20秒・・・
積極的に列車に乗る作戦は愚かだったのか・・・
「あとは、一人でも多く抜いて順位を上げるのみ・・・」
約5分後、私は4時間終了のアナウンスを聞いただろうか?
不思議な事に、その記憶はありません。
去年の周回を上回れない事が確定してから
バックストレートの闇は一層深く
そして静かになった様に思います。
心の中にあった喧騒がぷっつりと切れた気がしました。
ただ本能だけで前を行く選手達を追っていたように思います。
ただ本能だけで苦しむ事を止めなかった様に思います。
ウイリアムズコーナーから見えるホームストレートは
いくつもの照明に照らされて
暗闇の砂漠に浮かぶオアシスの様でした。
第1コーナーを回るとチェッカーフラッグが振られているのが見えました。
コントロールラインを通過すると計測タグが反応する電子音がしました。
「ピッ!」
最後のラップタイムが記録され全てが終わりました。
私は心拍計のスイッチをオフにする・・・
闘争心も筋肉も全てオフにして苦しみから解放されました。
こんなにも大勢の人に応援されて
ボトルまで運んでもらったのに・・・
去年の自分に負けるなんて・・・
ジワジワと悔しさがこみ上げて来ました。
ピットに戻るとマスターがゴールして皆興奮状態でした。
「みんな!ゴメン!去年の自分に負けました。
去年より1周少なかったです!」
私がいきなり謝るもんだから
みんなキョトンとしていましたね。
「さあさあ、コギコギさん、まずは座んなさいよ」
ママチャリダーさんに言われてアウトドア用の椅子に腰掛けました。
「冷たいお水、どう?」
「ありがとう」
私はママチャリダーさんから差し出されたキンキンに冷えた水を
ごくごくと喉を鳴らして飲みました。
「うめぇ~!もう一杯!」
あの水のうまさは忘れられません。
私は何度もお代わりして結局1リットル以上飲みました。
暫くすると住友輪業さんがリザルトを見て帰って来ました。
「臨時漕会チームは(62チーム中)24位!
コギコギさんは4時間ソロで23位でしたよ」
「エッ?23位?ホント?それ確定?」
「ホントですよ、確定です」
「23位って去年より、上なんだけど・・・
そんな筈では・・・」
私は本部まで行って確かめました。
周回数・・・35周
時間・・・・・4:02:03.866
トップ差・・・▲8Laps
Ave.・・・・・32.12km
順位・・・・・23位
「あれぇ~ホントやぁ~
去年と同じトップ差って事は全体的にペースが遅かったってことか・・・」
ちなみに去年の成績です。
周回数・・・36周
時間・・・・・4:05:58
トップ差・・・▲8Laps
Ave.・・・・・32.51km
順位・・・・・25位
周回数は去年を下回りましたが
順位は去年を上回りました。
これって・・・
去年の自分に勝ったの?
それとも負けたの?
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
備忘録としてサイコンデータです。
走行距離…126.56km
時間…4:03:11
平均速度…31.21km
最高速度…82.83km
平均CAD…86
積算距離…35739km
消費㌍…2796kcal
補給食…###kcal
心拍…Avg.161 Max.###
今年はみんな、暑さにやられた様ですね。
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生で一部始終見れたのは良い刺激になりました♪
その日の状況や他の選手と協調体制を取れるかどうかによってTimeに大きく影響が出るエンデューロですから何とも言えないところではないでしょうかo(´^`)o
然し乍ら今回前半から積極的に仕掛けた師匠の姿勢は、今後のブレイクスルーのキッカケになるかもしれませんね!
積極的に仕掛けるというのは難しく怖い事ですがチャレンジにはそれだけの価値があると思います
割と高い心拍でも、ある程度、持つ事が判りました。
次のレースでは、今回の経験を生かして
最も速いマイペースで走れるような気がします。
この経験を必ず次に生かしたいです。
やはり素晴らしいです。この時コギコギさんがどれほどの気持ちで臨まれていたか、それを直接的には書かれておられませんがヒシヒシと伝わってきます。
およそ競争として見た場合、順位を上げたことは勝ちです。マラソンで記憶されるのはトップの人の時間だけです。
コギコギさんが今回のチャレンジにおいてその疑問を持たれるということは、昨年の記録を上回ろうという気持ちをもって挑まれたからだと思います。
しかしマラソンもそうですが、時間を争う協議はコンディションに影響されます。そして参加者の気持ちにも影響を受けます。タイムを同等に考えるのは難しい。出来るのであれば、昨年も参加された人たちと比べてみて傾向をさぐるしかないでしょう。
今回素晴らしいと思ったのはチームのチャレンジ精神とそれをやったことでしょう。私も影響をうけましたよ。これから初の100kmライドにチャレンジしてこようと思います。時間をかけて最後まで走り切るつもりです。
これからの記事も楽しみにしてます。
去年のレースは気温が低く走りやすかった事を覚えています。
まとわりつくような熱帯夜のレースは大変過酷なものとなりました。
しかし、過酷だからこそ見えたものがあったのも確かです。
前を向く事さえつらくなった時、
それでも顔をあげて戦おうとした自分は、まだまだ捨てたもんじゃないと思いました。
私のブログから、みゃあさんの心に何かが伝わって
100kmオーバーライドに向かわせたのなら
それは私にとって無条件にうれしい事です。
もし良ければ、100kmオーバーライドに挑戦した結果をコメントしてくださいませんでしょうか?
その時に書かれている記事と関係なくてもかまいません。
お待ちしております。