次にピットインするのか?それとも再び奇跡を起こすのか? |
前回からの続きです。
CAAD10さんの10か月ぶりの恩返しによって
少し休む事が出来た私は
苦しいながらもギリギリ6分台のペースを維持して走り続けていました。
目の前にはバックストレートの闇を背景に赤い点滅が点在している。
明らかに失速して暗闇に埋没してしまう者が多くいる中で
私はまだ、推進力を失わず攻め続けていました。
カン!カン!カン!
このコース最大の下りコーナーを前にギヤを最大限重くしました。
アトウッドカーブは、まさに暗闇へのダイビング!
前面投影面積を最小限にしつつ重力を最大限味方に付ける!
外脚荷重してコーナーをクリアした後
下りの勢いに更に輪を掛ける様にダンシングで踏む!踏む!踏む!
まだ一番重いギヤで踏める!
その時、右前方に丸臨ジャージ発見!
喘ぐように口呼吸する丸臨は
2回目の出走中のkonoさんでした。
彼の受け持ちの最終局面、最も苦しい時間帯と思われます。
自然とハンドルがkonoさんの方へ向きました。
そして私は追い越しざまに声を掛けました。
「ガンバルぞぉおおお!」
その声にkonoさんが反応、すぐさま加速して私の後ろにつきました。
私という風除けを手に入れる事は
今のkonoさんにとって逃してはならないチャンスだったのです。
私はCAAD10さんから受け取った勇気というバトンを
konoさんにも受け渡した気がしました。
ウイリアムズコーナーは2両編成の臨時漕会列車で駆け抜けました。
暗闇の中、丸臨を利用しようと、すぐさま後続が続き
私とkonoさんは小集団をコントロールする形でホームストレートに突入!
ピットの声援もひときわ大きくなったに違いありません。
しかし私にはピットからの声援に応える余裕はありませんでした。
それどころかピットの声援を遮る様に
ピットに向けて訴えかけました。
「3時間でボトルが空になる!」
昼間、猛暑日地点数が今年最多を記録したほどの暑さは
夜は熱帯夜となって私達を苦しめていました。
湿度が高く、汗が蒸発しにくい。
チームジャージはぐっしょりと濡れたままで
気化熱が体温を下げる事もままなりませんでした。
体温を下げるため
より多くの汗をかき
より多くの水分を消費しました。
住友輪業さんに運んでもらった一本だけでは足りない事はもちろん
当初、予測していた4時間で4本の消費さえ危ないくらいです。
3時間まで残り20分・・・
ボトルは殆どエンプティー状態でした。
バックストレートでkonoさんが千切れた後
私は単独で不安の闇をさ迷います。
最初の作戦は2時間でピットインして2本のボトルを満タンにする予定でした。
つまり1ストップ作戦です。
ここでドリンクを補給するためにピットインすれば
何のためにボトルを運んで来てもらったのか分らなくなります。
ボトルを運んでもらう作戦を意味あるものにするには
私はピットインすること無く走り続けなければなりません。
しかし、まとわりつく様な熱帯夜という条件で
殆どエンプティーのボトルで1時間以上戦う事は不可能です。
選択肢は二つです。
一つ目は住友輪業さんにボトルを運んでもらった事を「無」にしてでも
ピットインしてドリンクを補給する。
二つ目は、もう一度、住友輪業さんにボトルを運んで来てもらう事です。
しかし、この選択は、チームの選手交代のタイミングが
3時間までに私に追い付く範囲で行われるか?という問題と
この暗闇のサーキットで再び私を見つけられるか?
という二つの問題がクリアされなければなりません。
この究極の選択に許された時間は
私がコースを進む分だけ短くなっていきました。
果たして私の訴えはピットに届いただろうか?
ピットは私が3時間を前にピットインすると判断して、その準備をしているだろうか?
それとも住友輪業さんにボトルを託して私のところまで運ぶ準備をしているだろうか?
私にはピットがどう判断するかも判りませんでした。
暗闇のサーキットは不安の海と化していました。
まるで燃料が殆ど無い船で夜の海に投げ出された様な気持ちです。
殆ど空のボトルが不安を倍にしたのです。
私は再びホームストレートに戻って来て
同じ事を訴えました。
「3時間でボトルが空になる!」
次にピットインするのか?
それとも再び奇跡を起こすのか?
判断に許された猶予は、1周もありませんでした。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
今日はここまで書いて時間切れ・・・
続きは後日、書くつもりです。
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僕の中で趣味の割合がぐっと ロードに傾くきっかけになったのも きのこだけさんと一緒に行ったライドからです。
釣りの場合は周り全員 敵ですから(笑) 協調して走るのが楽しいですね(^^)
自分自身と自然を相手に遊ぶ 所は共通するんですけどね ♪
脚攣りさえ起こらなければ…>_<