制限時間付きロードバイクデビューで万葉岬をヒルクライムは無謀? |
前回からの続きです。
夜明け前の暗闇は静寂に包まれていました。
ロードバイクの走行音だけが聞こえる。
だるま珈琲へと続くアスファルトがLEDライトに照らされていました。
万葉岬っていうのは・・・無いよな・・・
私はマスターと一緒に走る道を考えていました。
どう考えても平坦路中心のコースがいいに決まっています。
しかし心の中に万葉岬という文字がリフレインしていました。
もともとマスターがロードバイクに乗りたいと思ったのは
あるテレビ番組がきっかけでした。
女子アナが小豆島の寒霞渓をヒルクライムするというもの。
18%もの激坂を含む長い長い上り坂を泣きながら登る・・・
頂上に辿り着いた時の感動と達成感が
テレビの画面を通じてマスターの心を打ったのです。
それ以来、私はだるま珈琲のカウンター席で
マスターに万葉岬の話しをよくする様になりました。
「マスターがロードバイク買って
開店前にトレーニングするなら万葉岬が調度いいですよ」
そしてこの万葉岬こそ播州(兵庫県南西部)のサイクリストにとって
無くてはならない景色なのです。
はりまシーサイドロードから万葉岬への上りは
驚く様な激坂も無ければ延々と長い坂道が続くという事もありません。
しかし万葉岬から見える瀬戸内の眺めは
私達の心を虜にしてしまうのです。
晴れた日には明石海峡大橋はもちろん
淡路島と四国をつなぐ大鳴門橋も見えます。
相生湾には牡蠣筏がいくつも浮かび
朝日も夕日も瀬戸内海に反射して美しい。
いつも仲間の誰かが登っている・・・
そんな坂が万葉岬。
だるま珈琲の前に差し掛かると赤いLEDライトが点滅しているのが見えました。
「おはようございます!」
近づくとヘイジさんが寒そうに立っていました。
「暗いっすねぇ~ここに来るまでに鹿にでも会うんじゃないかと思いましたよ」
「さて、どこ走ろうか?万葉岬ってどう?」
「コギコギさん、そりゃ無いでしょう。
ロードバイクデビューがいきなりビンディングデビューですし
その上、坂を登らせるのはちょっと・・・」
「と、なると・・・平坦路オンリーの龍野か?
羅漢の里は遠いかなぁ・・・」
「どちらにしても暗いですよ」
そんな話しをしていると主役のマスターがアタフタしながらやってきました。
ロードバイクは店の中に置いてあるようで
自転車の恰好をしたマスターが徒歩で参上。
初心者には冬用ウエアーを着るだけでも時間がかかります。
大急ぎで店からロードバイクを出しながら
「コギコギさん、シューズカバーってしなきゃダメですか?」
「ロードバイクのシューズは通気性が凄くいいから
しなきゃ、めっちゃ寒いよ」
「う~ん・・・でも今日は時間無いんで、いいです!」
「えぇええ!シューズカバー無しぃいいい!」
制限時間内に少しでも乗っておきたいようでした。
マスターのロードバイクのライトの角度を調整した後
早速、ビンディングデビューのためのレクチャー開始!
「まずは、右のクランクを一番下にして
右脚からビンディングをはめる・・・
はまったら右脚を引き上げて踏み込んで自転車を前に進める・・・
サドルに乗って次は左足を踏み込むと同時にビンディングをはめる・・・」
マスターは教えられと通りやろうとしますが
そう簡単にシューズがペダルにハマってくれません。
「あれ?セッティングが硬すぎるのかな?」
そうな風に心配しながら見ていると
「はぁはぁ~ん、解ってきた!」とマスター
「次は信号待ちのやり方ね、
右足はペダルにはめたまま一番下。
サドルから降りてトップチューブを跨ぐようにして左足を地面に着けます。
この姿勢が一番安定してる。
この時、サドルに乗ったまま停止しようとしない方がいい。
慣れないうちはサドルに乗ったまま歩道に足を掛けるのはしない方がいい。
クリートは滑るからね・・・
左足を滑らせて立ちゴケしちゃうよ」
「そうそう、マスター凄いね!そんな感じでOK!
あっ!もう6時過ぎてる!
時間が無い!
出発しよう!」
「行き先は・・・・」
「行き先は、万葉岬!」
もともとビンディングデビューなんて大騒ぎするほどのものでは無いのか
それともマスターの運動神経が優れているのか
ほんの何分かでマスターのビンディングデビューは終了しました。
そして私は、ほとんど直感的に行き先を万葉岬に決めました。
マスターを真ん中に3台のロードバイクが
目覚める前の街を走り始めました。
マスターのナイトライドデビューです。
「う~ん・・・そうですね・・・どうやったら切り替え出来るのか・・・・」
「右手のブレーキレバーをブレーキレバーごと回すと
後ろのギヤが大きくなって軽くなる・・・」
「今度は右手のブレーキレバーに付いている羽を押すと
ギヤが小さくなって重くなる・・・」
「左手のブレーキレバーをブレーキレバーごと回すと
前のギヤが大きくなって重くなる・・・」
「次は左手のブレーキレバーに付いている羽を押すと
ギヤが小さくなって軽くなる・・・」
「う~ん・・・コギコギさん!
どっちがどっちだか、よく分かんないっす!」
シフティングの方法がイマイチ解らないまま鰯浜を通過します。
そして・・・
「前、オッケー!後ろ、オッケー!
万葉岬、入ります!」
先導するヘイジさんが安全確認の声を出してから右折。
私達は万葉岬の坂を登り始めました。
シフティングを教えながら万葉岬の坂を登ります。
空は日の出を前に徐々に明るくなってきました。
万葉岬、登ってるよ!」
元プロ選手の冨田さんのアドバイスでスプロケを28Tにしておいて良かった。
フロント34T、リヤ28Tなら初心者でもかなりの坂を登れる・・・
しかし、いきなり万葉岬は甘かったか・・・
マスターは次々にギヤを軽くして遂に使い切ってしまいました。
「このままじゃダメだ・・・」
マスターが、そう呟いてとった行動は
道路幅をいっぱいに使った蛇行。
「おっと、と、と!」
道路の端に寄り過ぎて側溝に落ちそうになりギリギリで回避!
万葉岬の坂は更に勾配を増していきます。
今度はガードレールギリギリまで道路の端に寄りました。
右方向へ蛇行していたロードバイクを反転して左方向へ蛇行しようとした時です。
一瞬、ロードバイクが坂に対して真っすぐになる。
その時、マスターが発生するパワーでは足りなくてロードバイクは推進力を失いました。
殆ど前へ進まないロードバイクにバランスを崩してふらつくマスター・・・
「危ない!」
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
本当は今日で終わらせたかったなぁ~
今日はここまで書くのが精一杯でした。
やはり、最初に万葉岬を登るのは無謀だったのか?
この続きは後日、書くつもりです。
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初めてのビンディングで坂を上るだけでも 想像しただけで 背筋が寒くなります!
外せなかったら コケる〜〜〜((((;゚Д゚)))))))
乞うご期待!