グロッキーのまま前を引かせろ! |
またまた前回からの続きです。
淡路島最後のコンビニ休憩を終わって先頭に立ったのは私でした。
さて、最後の千切り合いを有利に進めるにはどうしたらいいか?
まずは列車がどういう順番で形成されているかを確かめたいと思いました。
何か思いつくかもしれません。
しかし、道幅が狭く交通量が多い事と
千切り合いを前にした列車は高速で移動している事で
後ろを振り返る余裕がありません。
西日に照らされてアスファルトに映った影を頼りにメンバーを確認します。
ヘルメットにサングラスをひっかけてる影・・・
クライム君か?それともフクちゃんか?
影はヘルメットの部分しか見えない。
一瞬、影が車道側へ出た時、チラ見すると顔の一部が見えた。
「フクちゃんだ!」
私の背後にはフクちゃんがピッタリついている。
フクちゃん以降のメンバーの順序は把握できなかったが
少なくとも私の後ろはフクちゃんだ!
「よし、フクちゃんを利用しよう・・・」
メンバーの中で体力の消耗が一番激しいのは誰か?
それは暑さにやられているフクちゃんでしょう。
フクちゃんが先頭を引けば列車の速度が落ちるんじゃないか?
もし、ゴール直前でフクちゃんが先頭に立てば
私は遅い列車の最後尾を陣取る事が出来る。
誰が仕掛けても反応できるベストポジション!
脚を休めながら戦況を観察して
誰かが仕掛ければ確実にスプリントに絡める・・・
クライム君が列車の速度を上げて振るいにかけようとしたのとは逆の発想です。
走力の劣る私が
最後のスプリントでヘイジさんやクライム君と絡めるのはこの方法しか無いと思えました。
私の中で千切り合いを制する可能性が高いのは
クライム君かヘイジさんだったのです。
では、どうやってフクちゃんをゴール手前5km前後で先頭に立たせるか?
コンビニを出発して先頭に立っているのは私です。
先頭は風の抵抗を全面に受けますが
その事と引き換えにイニシアチブを握る事が出来ます。
どんな速度で列車を走らせるか
どのタイミングで先頭交代するか
それは先頭を引く者の意志で決める事が出来ます。
一番確実な方法は
私がこのままゴール手前5km前後まで引いてフクちゃんに先頭交代を要求する事です。
しかし、私はそれだけ脚を使う事になる・・・・
フクちゃんを休ませながら前を引いたんでは
フクちゃんもゴールスプリントに絡んでくるでしょう。
フクちゃんにはグロッキー状態のまま先頭に立ってもらわなければならないのです。
私がこのままハイペースを維持してフクちゃんを消耗させるには
私も相当脚を使う事を覚悟しなければなりません。
残り約20kmを長いと見るか短いと見るか・・・
私はこのまま先頭を引き続ける事を選択しました。
後続のメンバーは思ったに違いありません。
「それにしても長く引くな・・・
コギコギさんは何を考えているんだ?」
私は前を引きながら自分の脚が消耗していくのを感じました。
早く先頭交代して脚を休ませたい衝動にかられます。
目標はゴール手前5kmまで引く事でしたが
消耗が大きくなりすぎる事を嫌って
ゴール手前6~7kmでフクちゃんに先頭交代を要求しました。
「ここでかよぉ~」
フクちゃんが一番嫌がるタイミングで先頭を交代しました。
私は作戦通り列車の最後尾に着きました。
そして、ここで初めて列車の並びを確認したのです。
先頭がフクちゃんになって列車は失速する筈でしたが速度が衰えない。
フクちゃんの背中がペダリングの度に揺れている・・・
必死に速度を維持しているのが分かりました。
「この速度じゃ休めねぇ~」
私は列車の最後尾で脚を休めるつもりでしたが
フクちゃんの引きは、それを許しませんでした。
私の引きが甘かったのか
それともフクちゃんの男の意地か・・・
しかし、このままフクちゃんが先頭でゴールまでもつれ込むとは思えない・・・
きっと誰かが動くはず・・・
それはクライム君か、それともヘイジさんか・・・
クライム君がシューズのラチェットを締めたのが見えた。
勝負を前に静かに準備しているのです。
ジリジリと明石大橋が近づいてきます。
まだ始まらないのか・・・
そして・・・動いた!
ヘイジさんが前に出た!
明らかに普通の先頭交代じゃない。
このままゴールまで逃げるつもりなのです。
それが証拠に列車の速度が大幅にアップしました。
しかし、ヘイジさんと我々の間の車間距離は開くどころか逆に狭まっていきました。
誰もがドラフティングの恩恵を最大限利用しようとするからです。
そうやすやすと逃げられはしません。
こうなってしまえばヘイジさんの選択肢は一つだけ。
このまま先頭を維持してゴール前に突っ込むしか無い。
前を引いて、なおかつ、スプリントも制するしかないのです。
逆にヘイジさんの後ろにピッタリとついたクライム君は
ヘイジさんの喉元にナイフを突き付けたも同然です。
いつでも刺せる。
私とフクちゃんはクライム君がヘイジさんを刺しにかかった時に備え
必死に車間を詰めて走ります。
クライム君は確実にゴールを制するためにギリギリまでヘイジさんを先頭で走らせます。
ヘイジさんの脚を潰して自分はゴールスプリントに備えて脚を温存しておくのです。
明石大橋が更に大きく見えて来ました。
もう距離は残っていない・・・
そして・・・
ついにその時が来た!
クライム君がダンシングに切り替えてヘイジさんをオーバーテイク!
「行った!」
私もすかさず下ハンダンシングでクライム君を追走します。
そして恐らくフクちゃんも!
ヘイジさんがついに沈んだ!
私はクライム君を捉えるべく大腿四頭筋をフルスロットル!
「痛っ!」
なんと最後の最後で私の脚が攣った。
背後についていたフクちゃんが失速した私をオーバーテイク!
「くっそぉ~フクちゃん脚、残ってるやん!」
クライム君の背中はどんどん小さくなって行き
クライム君の計算通り、誰に脅かされる事も無くゴール!
2位はフクちゃんに持って行かれました。
ほろ苦い経験となってしまったかもしれません。
しかし、またやりたくなるんですよ。
今度は俺が一番獲ってやる!ってね。
走行距離…155.36km
時間…6:06:02
平均速度…25.46km
最高速度…60.61km
平均CAD…78
積算距離…28580km
消費㌍…3510kcal
補給食…###kcal
心拍…Avg.143 Max.184
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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心拍185超えで踏み倒したのが夏のいい思い出になりましたよ!
次も馬鹿正直のヘイジで逝きます。
千切り合いは やはり 男の子の世界だなぁ…皆さん 純粋に楽しんでいるのが 心地良いです*\(^o^)/*
私もいつか‼
「イヒヒ」と笑いながら,ちょっと意地の悪い作戦を立てている姿が浮かんで,思わず笑ってしまいました。フクちゃん,よくやった!(笑)
ピュアな走りが眩しいです。
毎回面白いしドラマがありますねぇ~
正々堂々走力で勝負とはなりませんねぇ~
千切り合いの時は利用できるもんは
何でも利用しようとするんですよねぇ~
ドリンクの入っていないボトルに手をかけて飲む演技をして
後続にアタックさせたメンバーもいるんですよぉ~
一番純朴そうな人なんですけどね。