トリガタワに思う・・・何を持って一人前のローディーなのか? |
この前終われずに、またまた前回からの続きです。
太陽が高度を増して海よりも陸の方が温められると
風は海から陸へ吹く・・・
その海風の通り道が千種川なのです。
下り基調とは言ってもロードバイクの走行抵抗の殆どは空気抵抗です。
千種川沿いを走っている限り
海風と対峙し続けなければなりません。
ヨッシーさんの状況を考えると
これ以上、向かい風との戦いに体力を使うわけにはいきませんでした。
私達は千種川沿いを遡ってくる海風から逃げるように
上郡から農道を走る事にしました。
海風の影響は明らかに小さくなっていきました。
田植えを終えたばかりの水田の上を吹く風は
水面に晴れた空を映すほど穏やかでした。
田園風景の中を進む私達の姿は
晴れた空と一緒に水面に映っていたはずです。
道路幅が狭いので、スピードを出すわけにはいきません。
スピードが遅くなると私達が受け取る情報の質も変化していきます。
千種川沿いの向かい風の中を走っていた時は
耳からは風切り音がひっきりなしに聞こえていました。
ところが農道へ移ると耳からは農業用水の流れる音やカエルの声が聞こえ始めます。
ほのかに感じる水の匂い・・・
そして土の匂い・・・
草の匂い・・・
受け取る情報の質が変化すると
脳が戦闘態勢を徐々に解除していく様に思えました。
心と体がリラックスして筋肉が弛緩する・・・
車が離合するには不十分な道幅の農道を
ロードバイクはストレス無く走っていきます。
暫くするとヨッシーさんに変化が起こりました。
「コギコギさん、
体が回復してきた様に思います!」
殆ど回復する事は困難なように思えても
ペースを落としてペダルを漕ぎ続けていれば回復する事だってあるのです。
耐久レースで、どんなに脚が痙攣しようとも
ロードバイクを降りてはいけない。
降りたら最後、コース脇で天を仰ぐしか無くなってしまう・・・
私は耐久レースでコース脇に散った選手を多く見て来ました。
ロングライドでも、ペースを落として漕ぎ続ければ
乳酸が貯まった脚を復活させる事が出来るのです。
体力が回復してくれば走り続けるモチベーションもアップします。
そして国道2号線が近づいて
見慣れた景色が見えてくると更に雰囲気は明るくなりました。
途絶えていた会話が多くなってくる・・・
ゴールが近い、すなわち、終わりが見えてきた時、元気になる・・・
人間はメンタルな生き物だと思いました。
国道2号線と並走する生活道路を走りながら
ヨッシーさんの自宅近くまで御一緒しようと考えていました。
途中、国道2号線を走らなければならないし
国道をくぐるように地下道を走らなければならない所もあります。
そして何より最後まで見届けようと思っていました。
相生を過ぎて、たつの市に差し掛かった時です。
「コギコギさん、もう大丈夫です。
ここから先は一人で帰ります」
「そう、じゃあ見送りはここまでにするよ。
ここからヨッシーさんの家までの距離を考えると・・・
走行距離は130kmくらいになるな・・・
凄いなぁ~130kmだよ!」
ヨッシーさんは少し嬉しそうにして
「今日は楽しかったです!
では・・・ありがとうございました!」
私のもとを去って行くヨッシーさんの後ろ姿が
なんだかたくましく感じました。
帰宅後、暫くしてネットを通じてやり取りがありました。
「トリガタワを行って帰って
130kmオーバーライド・・・もう一人前のローディーと認めてもいいな」
「コギコギさん、有難うございました!
トリガタワを含む130km、正直キツかったですが、楽しかったです。
また、今後の課題も見えた気もします。
自分では、まだ一人前と認めることは到底できません・・・
来年あたりには、皆さんと御一緒しても差し支えない体力をつけられるよう頑張ります!
今後とも宜しくお願いします」
自分では、まだ一人前と認める事は到底出来ません・・・か・・・
私はこの言葉を目を細めながら読んでいました。
何を持って一人前のローディーなのか?
その定義は定かではありませんが
トリガタワを行って帰って来れるようになると、
その距離感がローディーになる様な気がします。
一般の人が抱く自転車で行ける距離というのは
近所のスーパーまでだったり
あるいは自宅から最寄りの駅だったり
遠くても、せいぜい隣町までと言ったところでしょう。
ところがトリガタワに行くと信号機が縦長になる事からも分る様に
自転車で気候や風土の違う地域にまで行ける事を身をもって知る。
人の距離感をダイナミックに変化させるのがトリガタワなんだと思う・・・
人の筋肉だけで行ける距離は
空を飛ぶ鳥の行動半径に重なる・・・
その事に気付かせてくれるのが
はじめてのトリガタワではないでしょうか。
羽ばたき始めた幼鳥が
もっと速く、もっと遠くへ飛べる翼を欲しがるように
ヨッシーさんも、
もっと速く、もっと遠くへ走れるようになりたいと思ったに違いありません。
その心が一人前のローディーなんだと思います。
ローディーにとってロードバイクは
まさに翼なのです。
走行距離…123.06km
時間…5:47:28
平均速度…21.24km
最高速度…58.14km
平均CAD…73
積算距離…28105km
消費㌍…2573kcal
補給食…###kcal
心拍…Avg.121 Max.154
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
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僕はまだロードバイクに乗って2年足らずですが、初めて100㎞を超えたときは結構な達成感がありました。
このブログを読んでレースにも出てみたくなり、今月のミッドナイトエンデューロにソロで参加する予定です。
耐久レースといえどレース自体に初参加なので不安も大きいですが、楽しんでこようと思います。
自転車の乗り方だけではなく
一緒の仲間の事はもちろん、周辺への配慮など
言葉で教えてもらう他、
コギコギさんの背中を見て感じとれた事でしょう
きっとコギコギさんのようになりたいと思った事でしょうね
再度、ヨッシーさんが羨ましいです。
この1年、とても大きな変化があり、充実していました。
これもコギコギさんをはじめ、多くのローディーの方との出会いがあったりしたからこそです。
仲間がいるのといないのとでは大違いですからね。
ヨッシーさんにもこれから変化に満ちた時期が訪れるのでしょうね。
今回もカッコイイ台詞が満載ですね!
なにか,自分にも小さいながら翼があるような気がしてきて,誇らしい気分になりました。
もう「翼をください」なんていう歌を歌う必要はありませんね。
今週末もはばたきに行ってきます!
本当に嬉しいですねぇ~
ミッドナイトエンデューロは私も出場する予定です。
ともに出し切りましょう!
レースは結局のところ自分との戦い・・・
そして自分が主役・・・
初レースで上手くいくほど甘くは無いと思いますが
得る物は大きいと思います。
楽しみですね!
少しは自転車の事を解ってはいると思いますが
私がアドバイス出来るのは初心者だけですね。
普通の自転車好きの中年です。
ヨッシーさんに
私が自転車が大好きな事は伝わった様に思います。
自転車に限らず、どんなスポーツでも起こり得る事ですね。
ちょっとした事でフォームが良くなったり
逆にペダリングが狂ったり
微妙なんですよね。
ヨッシーさんも無駄な力が抜けたのかもしれません。