ここまで来れば走る事をやめるわけにはいかない |
またまた前回からの続きです。
トリガタワの坂を下りきったところにあるコンビニで
私はドラフティングのテクニックをヨッシーさんに伝えていました。
車間距離は約30cm・・・
前走者の見え方を憶えておく・・・
ハスった時は慌てずに前走者の後輪に押しつけるようにして慌てずに後退する・・・
ハンドサインで先頭交代を催促されたら頑張って加速しないで交代する・・・
等々・・・
大勢でローテーションの練習をした時とほぼ同じ内容です。
下り基調で交通量の少ない千種川沿いを高速で巡航して
そのスピードの魅力をヨッシーさんに体験させてあげたいと思っていました。
「じゃあ、僕が引くからヨッシーさんついて来てね」
もちろん臨時漕会のメンバーで走る時と比べて
スピードは控えめにしたつもりです。
心拍は130前後・・・
下り基調の県道72号線はペダルをひと踏みするごとに気持ち良く加速していきます。
下り基調というアシストが働いて
ライダーの予想以上に進む感覚が快感となります。
アスファルトが後方へ流れていく速度が増して
時速は35kmに迫ろうとしていました。
私はこのタイミングでヨッシーさんに先頭交代を催促しました。
ハンドサインで交代の合図をすると
私はヨッシーさんの視界から外れるように進路を左側へ移動して減速します。
ヨッシーさんが私を追い越す形となって前へ出る。
私がヨッシーさんの背後に回って交代完了です。
次はヨッシーさんが先頭交代の合図をすると
ヨッシーさんが左側によって私が前へ出る。
初めてにしてはなかなか上出来じゃないかと思っていましたが
ヨッシーさんの表情が思わしくありません。
本当なら高速で空間を移動する快感に酔い痴れて
目を輝かせている筈だったのですが・・・
なんだか暗い目をしていました。
何回か先頭交代を繰り返しましたが
ヨッシーさんの目は暗いままでした。
私はヨッシーさんが疲れていると思って言いました。
「この先、先頭は私が引こうか・・・」
私はペースを上げすぎないように心拍計をチェックして先頭を引きました。
スタートした時の心拍と同じ130・・・
後方の気配に気を配りながら千種川沿いを高速巡航・・・
暫くして後方の気配が小さくなったのに気付いて後ろを振り返ると
ヨッシーさんが千切れかかっていました。
「あれ?どうしてだろう・・・」
減速してヨッシーさんが私の背後に着いた事を確認して
再び私の後ろに付いてドラフティングしてもらいました。
しかし、暫くするとまた私との距離が開いてしまいました。
ヨッシーさんは私のペースについて行くのが精一杯だったのです。
千切れるという事は限界で走っていた事を意味します。
ヨッシーさの目が暗かったのはそのためです。
彼は私について行くのがやっとの状態で
空間を高速で移動する快感など味わっていられなかったのです。
私の配慮が足りなかったせいで
ヨッシーさんに相当脚を使わせる結果となってしまいました。
「次の信号を左に曲ったところにスーパーがある。
そこで休憩しよう」
県道53号線が終わる太田井橋のスーパーで少し長めの休憩をとる事にしました。
殆ど使い切ってしまった様にヨッシーさんは深刻な顔をしていました。
オニギリと飲み物を買ってベンチに腰掛けて話しをしました。
「ペース、速かった?」
「コギコギさんみたいに走れればいいんですけど・・・」
「脚の筋肉は大丈夫?」
「前側の筋肉が張っているのと右膝が痛いです」
私が考慮しなければならなかった事に
ペダリングスキルの差がありました。
私にとって下り基調というのはペダリングをアシストしてくれるものですが
ペダリングスキルが未熟なヨッシーさんにとって
下り基調はそれほどメリットは発生しなかったのです。
筋肉の前側、つまり大腿四頭筋が張るというのは
まだまだ縦踏みになっていた可能性があります。
当たり前ですが、まだ回すペダリングは出来ていないのでしょう。
膝が痛むというのは
もともと登山で膝を痛めていたという事ですが
正しく真っすぐなペダリングが出来ていれば
膝への負担は少ないのが自転車です。
下り基調の千種川沿いの県道は
私達の走力の差を増幅する装置として働いてしまったのです。
「ヨッシーさんね、コギコギレッスンの時にUさんっていう人がいたの憶えてる?
その人とフクちゃんで一緒に走った事があるんだけどね・・・
小犬丸からたつの市街へ抜ける県道5号線あるよね。
あそこも下り基調なんだけど、先頭を引いていたらUさんをブッ千切っちゃってね・・・
それこそ姿が見えなくなるくらい
気付いたら後ろにいなかった。
下り基調って案外差が出るんだなぁ~」
「へぇ~Uさんと、そんな事があったんですかぁ・・・」
「膝の痛みはね、大勢の人が経験するんだよ。
膝の外側が痛い時は、ガニ股ペダリング
膝の内側が痛い時は、内股ペダリング
膝の裏側が痛い時は、サドルが高すぎるかもしれない・・・
他にも色々あるけど、まあ、パターンっていうのがある。
板に釘を打つ時、真っすぐに打たないと釘の頭が曲がって上手く打てないよね。
ペダリングもそれと同じで
太ももの骨で膝下の骨を真っすぐに踏み降ろさないと膝を傷めてしまうんだ」
オニギリを食べ終わってヨッシーさんがストレッチをやっている間
私は傍らで、そんな話をしていました。
しかし、いつまでも休んでいるわけにはいきません。
ひと漕ぎでも前に進まなくては終わらないのです。
「ヨッシーさん、そろそろ行きますか・・・」
私は最悪の事を考えていました。
どうにもならなくなったらタクシーで帰るか?
こんな田舎にタクシー居るのか?
自分が全速で家に帰って車で回収するか?
卯ノ山峠と相坂峠を越えて、たつの方面へ帰る方が距離は短いですが
この状態でヨッシーさんに峠を登らせるわけにはいきません。
少々距離は長いが予定通り千種川沿いを南下する事にしました。
ヨッシーさんの脚がどこまで持つか・・・
私はペース配分に細心の注意を払いながら前を引きました。
自然と会話は少なく、ただ黙々とロードバイクを走らせます。
どうか千種川沿いの南風よ吹かないでくれ!
この時期、午後から海風が千種川を遡ってくる。
その向かい風はボディーブローのようにローディー達の体力を奪っていきます。
私が風除けになっているとはいえ
ヨッシーさんも向かい風の影響を受けるはずです。
しかし千種川沿いの向かい風は無情にも時間が経つにつれて
その強さを増して行きました。
道路脇の木の枝が揺れる音がする
ガソリンスタンドの登り旗が元気にはためいている・・・
それは耳や目からも向かい風であるという事を感じさせました。
そういった情報が更に精神的ダメージを与えるのです。
「ヨッシーさん、上郡のコンビニまで頑張ろう!」
いきなり家まで頑張ろうというより
まずは近い場所を目標に頑張る。
それを繰り返している内に家に辿り着けるはず・・・
上郡のコンビニで再び休憩します。
この時点で走行距離はちょうど100kmほどになっていました。
「ヨッシーさん、脚はどう?」
「そうですねぇ~結構グロッキーですねぇ~」
ストレッチや伸脚をして、動かない脚をなんとか動かそうとしていました。
ヨッシーさんにとって走り続ける事は苦痛である事に変わりありません。
しかし、ここまで来れば走る事をやめるわけにはいかない・・・
そう思っていたはずです。
「この先、千種川沿いから離れて農道を通って帰ろう。
その方が千種川沿いの向かい風から逃れられる」
私達は向かい風から逃げるように国道373号線から離脱しました。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
ここまで書いて、本日の執筆活動は時間切れとなってしまいました。
続きは後日、書くつもりです。
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そして私の場合、左膝の上が痛くなります。
コギコギさん、これはなぜでしょう?
ランニングでも、長く走るとダメージは左足にきます。
ひだりが特に内側を向いています。
膝上の筋肉不足です。
ヨッシーさん、頑張って〜!
はじめは内股ペダリングで 膝の内側が痛くなり 、手作りシムを親指側に入れて 防いでいましたf^_^;) 良い様な気がしていたら 親指の爪が変形し 黒くなってしまい 却下!
その後 サドルを上げたら 膝裏が痛くなりました(T . T) 往復125キロのコースに出かけて80キロ過ぎたあたりから 痛み出しました。
強風注意報の向かい風の中 ストレッチしながらの一人旅…
サドルを下げる様に師匠から言われ 慌てて下げましたね~f^_^;)
サドル高を決めるまで、膝裏の痛みと2ヶ月は付き合った様に思います。
無謀な事をやらかすおばさん、師匠にはいつも心配ばかり掛けてましたねf^_^;)決して お世辞では無く 師匠の助言が無かったら とっくに身体を壊していたと思います!
ヨッシーさん…ここから 何かを学んで 階段を一段上がられる事でしょう! p(^_^)q
ケースバイケースで個人差が大きいです。
例えば膝の裏が痛いからサドルの高さが高すぎると思いきや
実はペダリングの時に足首を硬くして引き上げる事が原因だったりとか
ホントに千差万別です。
ただ痛みは正しいフォームやペダリングを手に入れる
大きな手掛かりとなります。
膝に痛みを克服する事でスキルアップが出来るかもしれません。
膝の上が痛い・・・お皿の上かな?
ここは大腿四頭筋と繋がるところなので
大腿四頭筋の筋力不足か柔軟性の不足が考えられます。
ペダリングの場合、踏み込む時の筋肉です。
対策としては軽いギヤをくるくる回すようなペダリングの方がいいでしょう。
その方が脚が細くなりますしね。
ただ気になるのが左膝が内側を向いているという点です。
もしかしたらそこに原因があるかもしれません。
コメントを読んでのお答えですので一般論ですよ。
精度は低いのでその程度に受け取ってくださいね。
おばさんの内股ペダリング可愛かったなぁ~
どこのお譲ちゃん?って感じでした。
その後、膝の軌道を改善して
カッコイイペダリングを手に入れましたね。
いろいろ自分で考えてやってみて
その上で相談して、また考える・・・
とっても早い成長でしたねぇ~