ノンストップ作戦が裏目に出たミッドナイトエンデューロ |
前回からの続きです。
今回は個人別成績表を購入して記事を執筆しています。
3時間経過を前にピットの位置を確認していた。
例年ボトルのドリンクが底をついてピットインしていたのが3時間。
私の戻るべきピットには、ママチャリダーさんに渡しておいたライトが光っているはず。
ボトルのドリンクはまだ残っているとはいえ
私の視線はピットへ向かう。
迷子になった子供が母親を探す・・・
もしかしたら、そんな心理状況に似ていたかもしれない。
ギリギリまで追い込んで走るレースでは
最後の最後に精神的支えが欲しくなるのだ。
ピットにはママチャリダーさんでは無くて
美人のソナちゃんが立っていた。
もちろん私の応援ではなく、ソナちゃんが入っているクラブの応援である事は解っている。
しかし、ピットに美人はモチベーションが上がるのだ。
周回を重ねる度にピットにソナちゃんが見える。
私は自分も応援してもらっている錯覚に陥り
ソナちゃんの視線に手を上げてこたえるようになっていた。
だが、出来ればピットインは避けたかった。
ドリンクの消費を最低限に抑えていたため
ボトル一本分ほぼ満タンで残っている。
ピットインしないで走り切る事が出来ればロスタイムはゼロ。
その分確実に速く走れる。
ところが私がピットイン無しで4時間走り切るという妄想を抱いていた時、
異変が起こった。
下りのレッドマンコーナーで左足が攣った。
右にカーブに対して左足に荷重を掛けた時
おおよそペダリングに関係無いと思われるような筋肉が痙攣したのである。
左わき腹のあたりや左太ももの一部・・・
ふらつくロードバイクを減速させる。
「なんじゃこりゃ!」
オーバーペースで乳酸が溜まった筋肉が痙攣するのとは違う。
とにかくペースを落とすしか対処しようがなかった。
もう列車に乗る事は出来ないかもしれない・・・
せっかくここまで順調に来てペースダウンを余儀なくされるとは・・・
私は完全な一人旅となってサーキットをさまよい始めた。
周回の巡り合わせか、バックストレートに選手は見えない。
真黒なアスファルトを仮設の投光器が照らし出している部分だけ、光の円が出来ている。
長い長いバックストレートにいくつもの光の円が点在する。
まるで宇宙に銀河が点在しているようだ。
広い宇宙の中を孤独にペダリングしているように感じた。
失速して初めて訪れた静寂であったと思う。
なぜ脚が攣ったのか?
オーバーペースは無かったはずだが・・・
孤独な自問自答が延々続きそうになった時
汗で光る自分の腕が目に入った。
「これだ!これかもしれない!」
おおよそペダリングに関係ないと思われる筋肉が攣ったのは
脱水症状のひとつではないか?
筋肉の痙攣は、何も乳酸が蓄積するだけが原因ではない。
水分やミネラルが不足する事でも筋肉は痙攣する。
ピットインを避けるため、水分の摂取を控えた事が裏目に出たのだ。
私はボトルに残っていたドリンクを喉を鳴らしながら飲む。
乾いたスポンジに水分が吸収されるように
私の体にドリンクが吸い込まれてった。
体が見る見る回復していくのが感じ取れる。
ほぼ一本分のドリンクを一周する間に飲み干した。
ボトルが空になってしまったからには
給水にピットに入る選択肢しか無い。
3時間20分を過ぎて、ようやく給水にピットイン。
ピットに戻るとママチャリダーさんとソナちゃんがフェンス越しにコースを見ていた。
私は彼女達の背中に向かって叫んだ。
「ドリンクをくれ!」
3時間を20分も過ぎて、まさかピットに帰ってくるとは思っていなかったようで
ママチャリダーさんが驚いて振り返った。
「今かよ!」
聞くところによると
彼女達は私は給水に入る準備をかなり前からしていてくれたらしい。
ソナちゃんが私の合図をピットのママチャリダーさんに伝えて
ママチャリダーさんが私にボトルを渡す段取りだったそうだ。
私はソナちゃんが応援してくれていると思って手を上げる。
それをソナちゃんが給水に入る合図だと思ってママチャリダーさんに伝える。
しかし、私は一向にピットインしない。
それが何回も続いたので私はオオカミ少年となってしまっていたのである。
「2本、全部くれ!」
筋肉が痙攣してから3周もの間
目標タイムの7分を大幅に上回る8分台で走行。
少なく見積もっても3分以上のロスタイムだ。
私はロスタイムを取り返すべくダンシングでコースへ復帰していった。
そしてコースに復帰して間もなく
思いもよらないハプニングに見舞われるのである。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
今日はここまでしか書けませんでした。
続きは後日、書くつもりです。
このブログは、にほんブログ村ロードバイク部門ランキングに参加しています。
下のバナーをクリックして人気投票していただけると嬉しいです。
ポチはどれでも一つでいいですよ。
にほんブログ村
それにしても美人を見ると元気になるのはレースも同じですね(笑)
然し乍ら水分補給量をセーブしたのはまずかったですね
スポーツ等で発汗した際 流出量が体内に保有する水分総量の1%を超えるとパフォーマンスに影響が出るそうです
人間の約70%が水分ですから 70kgの人で約500mlがリミットという事です
夜のレースですからどれぐらいで補給が必要か難しいところですが コギコギさんの予想通りのタイミングで正解でしたね
単独参加の物悲しさですね。
ピットに人がいるというのは嬉しい事です。
ずっと前のレースで臨時漕会メカニックのHN氏に
声援してもらった事があったんですが
その時も力になりました。
最初からドリンクの補給に入る事を前提に作戦を組みたいですね。
どんなにいい列車に乗っていようとも
2時間40分を過ぎれば次に周回はピットインするとか・・・
ノンストップで走ってやれと欲張ったのがいけませんでした。
ドリンクの補給はマラソンにしても自転車にしても
持久系のレースでは重要ですね。
レースに出れば表彰台?