獲得標高2443mの坂練で変わった坂への意識 |
遅筆をお許しください・・・まだ続きです。
県道48号線を大屋川に沿って走っていたはずですが
いつの間にか大屋川が見えなくなっていました。
いくつもの沢の水が集まって川になる事を考えれば
若杉峠で、大屋川が見られなくなったのもうなずけます。
若杉峠はまぎれもなく分水嶺なのです。
大屋川にそそぐ沢の水は日本海まで運ばれ
引原川にそそぐ沢の水は瀬戸内海に運ばれます。
若杉峠で、もはや川は存在しません。
小さな沢が各所で見られるだけです。
私は瀬戸内海側に帰るため、ひたすらペダリングを続けます。
交通量は非常に少ない。
YKさんに千切れてしまった今となっては何かトラブルが起こったとしても
誰も助けてはくれないだろう・・・
標高が上昇するにつれて道幅も狭くなる。
そして大屋町側から登る若杉峠は
上に行けば行くほど勾配がキツクなっていくように感じます。
シッティングで登っているとハムストリングスが悲鳴を上げだしました。
長い事自転車に乗っていますが
ハムがヤバイと感じたのは初めてです。
どんなに大腿四頭筋が売り切れようとも
ハムストリングスだけは働き続けてくれた・・・
ハムストリングスがヤバくなるのは無理もないかもしれません。
朝から富士野峠、ハチ高原、加保坂と、大きな峠を3つも越えて
最後に若杉峠を越えようとしているのですから・・・
勾配がキツクなってドリンクを飲む余裕が無くなる前に飲んでおこう・・・
そう思ってボトルを口にした途端、重大なミスに気付きました。
なんと、ボトルのドリンクがほとんど底をついていたのです。
ハチ高原の頂上でボトルを満タンにしたはずでしたが
関宮から加保坂、そして大屋町に来る間に飲み干してしまっていたようです。
いつもなら、途中にコンビニがあったり自販機があったりするのですが
大屋町の場合は、ほとんど見当たりませんでした。
無理もありません。
なんせ、少し前まで、町内に信号機すら無い所だったのですから。
ボトルの残量を確認しておかなかったのは私の痛恨のミスです。
最も基本的で重大なミスであると言えるでしょう。
体重の3%の水分が失われると運動能力や体温調節機能が低下し、
熱中症の恐れが出てきます。
運動による体重減少が2%を超えないように、こまめな水分補給が必要なのです。
私は若杉峠を喉の渇きと闘いながら登らなくてはならなくなりました。
ジャージのポケットに手を伸ばし補給用のゼリーに手を伸ばします。
SAVAS PIT INを水代わりにしようという目論見です。
ただこれは、喉を潤すという事にはなりませんでした。
甘いので、余計水分が欲しくなる。
そして口が粘つく・・・
小さな沢の水が目に入りました。
(あの水、飲めるんだろうか・・・)
冷静に考えて、飲まない方がいいでしょう。
上流にはスキー場があります。
透明で美味しそうに見えても、雑菌が入っている可能性があります。
(動物は飲むんだよな・・・)
沢が目に入ってくる度に、
ボトルいっぱいにくみ取ってゴクリと喉を鳴らして飲みたい衝動にかられます。
勾配が急になり、口呼吸になると
口から水分がどんどん逃げていくように感じました。
喉の渇きとの戦いは辛い!
若杉峠の斜度は、これまで登ってきた三つのどの峠よりもきつかったです。
勾配が緩くなる所が無い!
10%級の坂がコンスタントに続く・・・
時には15%に迫ろうとしていました。
休むダンシングを使ってハムを休ませながら登りますが
勾配が急なため、心拍は思った様に下がりません。
体の水分量が減っていき、水への欲求が強くなります。
(スキー場に行けば自販機があるかもしれない・・・)
一縷の望みに賭けて、少しペダリングに力が入る・・・
しかし、スキー場の入り口まで来て、その希望は潰えました。
スキー場の入り口に、自販機なんかあるわけないですよね。
そんなところ、車も人も止まらないもの・・・
あるとしたら、スキー場に入って、ずっと登ったところでしょう。
スキー場の入り口は九十九折れの坂になっていて
道しるべが立っていました。
スキー場が頂上じゃないのかよ!
こうなったら、峠を越えてから水を補給するしかありません。
峠の向こう側は瀬戸内地方。
国道29号線に入れば何かあるだろう・・・
とにかく若杉峠を越えなければ何も解決しない。
九十九折れの峠道を一人・・・
黙々と登るしかありませんでした。
その時、九十九折れの坂の崖の上から声が聞こえました。
「おぉ~いっ!もう少しだ!」
見上げるとYKさんでした。
坂の上で、随分待たせたはずです。
ヘアピンカーブを曲がってYKさんのもとへ・・・
「この峠、きつかったろう?」
「いや~ハムのいい鍛錬になりましたよ」
「確かに・・・私もハム使って登るのが快感になってる」
私は少し強がって、いい鍛錬何て言いましたが
私のハムは悲鳴を上げていたんですよね。
「これだけ無茶苦茶しないとハムって鍛えられないのかもしれませんね」
「そうかもな、ハッハッハッ!」
今回のコースディレクターは坂マニアのYKさんです。
よくこれだけ坂を集めたコースを設定したものです。
YKさんってS?それともM?
私達は若杉峠を越え、やっと瀬戸内海側へ入りました。
登りの苦労が大きければ大きいほど下りの快感も大きくなります。
高い空の上から一気に滑空する飛行機の様に
二台のロードバイクはワインディングロードを駆け抜けます。
その姿は水田の上を戯れながら滑空する二羽のツバメの姿に重なりました。
立ち止まって喉の渇きを潤すよりも
坂を下り続ける快感の方が勝っていました。
国道29号線に合流し、引原ダムを通過してもまだ止まりません。
からからに乾ききった喉を自販機の炭酸飲料で潤おします。
ゴクリと喉を通過して広がる炭酸の刺激・・・
ボトルを回復系のBCAAドリンクで満タンにした後
食堂でうどんを食べて一休みしました。
「コギコギさん、来週の比叡山ヒルクライムレースは
計測距離8.4km、平均斜度4.2%、最大標高差487m・・・
走っている時間は30分とか40分に過ぎない。
今日、これだけ峠を走ってきたら、恐れるに足りないと思わないかい?」
「確かに・・・ハチ高原の13.8kmに比べれば短いし
若杉峠の斜度に比べれば平均斜度4.2%は軽いように思えますね。
それに今日これだけ峠走ってれば
なんだ30分か40分、頑張ればいいんだって思えてしまう」
「ヒルクライムレースは耐久レースと違って距離も時間も短い。
勝負は早いよ。
限られた短い時間の中で、いかに自分の力を出し切るか・・・
そこに面白さがあるんだ・・・
ゴールした後、力が残っていれば後悔するし、
力を出し切っていれば達成感を味わえる」
「メディオフォンド雲海のヒルクライム区間を走った時のイメージで走ってみます。
YKさんが言っていた、人が休んでしまうような勾配の緩いところで勝負をかけてみます。
出来れば得意のダンシングを生かして勝負したいですね」
私は登りが遅いのですが
散々登りばかり走る事になって
ヒルクライムレースに対する意識に変化が現れてきました。
まんまとYKさんの術中にハマった様です。
「さあ、これからは、ゆっくり帰ろう」
酷使した筋肉をいたわるように下り基調の道を低い心拍で走ります。
太陽が低くなり田植えが始まったばかりの水田を抜けてくる風が涼しい。
引原川はやがて揖保川に合流し
私達は南に向かって揖保川沿いを走ります。
獲得標高は2443mにも達していました。
獲得標高・・・2443m(YK氏ガーミンのデータより)
走行距離…206.95km
時間…9:36:53
平均速度…21.52km
最高速度…57.19km
積算距離…19976km
消費㌍…4863kcal
補給食…###kcal
心拍…Avg.131 Max.169
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
200kmオーバー坂練は私の坂に対する苦手意識を改善する荒療治となったかも。
次は比叡山ヒルクライムレースの事を書きたいと思います。
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凄い山々ですね…でも、どうしてだろう。チャレンジしてみたくなる、この感情は…
コギコギさんのblogが面白いからか、それか、やはり私もマゾなのか…(´∀`)
比叡山ヒルクライムレースの日記、楽しみにしてます!
坂を克服するにはやはり坂を登らなければならない…僕もハチ高原一緒に走りたかったですね(>_<)
やっぱりYKさんはすごいヘンタイですね(笑)
ですがきっとコギコギさんの意識を変える様なコースにしなければという思いですね
次回いよいよ比叡山HCですね
楽しみにしています(笑)
因みにこないだいつもの朝練でご一緒した女性におもっきり千切られました…
早いなと思っていたら比叡山HCで優勝したそうです
喉の渇きがおさまらなくなり 走っては止まり、の繰り返しをしてしまいました。 これから暑くなるので 尚更 気を付けます!
帰省のたびにロードで走ってます。田舎ですが、自転車で走るには最高ですよね!!
ハチ高原はGWに帰省したときに登りましたが、きついですね。よれよれになって登りました。
また、ちょくちょくお邪魔させてもらうかもしれません。よろしくお願いします。
自転車乗りは、たいていマゾ説ありです。
シーズン最初は汗をうまくかけないで熱中症の症状が出やすいかも。
レーパンに塩が吹くような汗をかきます。
暑さに慣れてくると次第に塩が吹く汗はおさまり
さらりとした汗に変わってきます。
私だけかもしれませんがね。
らくふくへ行かなきゃならんでしょ・・・
ただ・・・坂をたくさん登ったからと言って
ヒルクライムが速くなるとも言えないなぁ・・・
比叡山と聞いてもビビらなくなった気がする。