ふるさとへ・・・ああ郷愁のロングライド |
前回の続きです。
山崎からは徐々にぴよぴよさんの方が道に詳しくなってきます。
ぴよぴよさんを先頭に切窓峠までのなだらかな登り基調の道に入りました。
一見平坦路の様で、実はずーっと登ってる。
知らず知らずのうちに速度を維持しようと頑張りすぎて
案外、脚を使ってしまう要注意の区間です。
しかも西風が強くなって向かい風。
そんな中をぴよぴよさんが先頭で走ります。
「ぴよぴよさん!今、心拍はどれくらいですか?」
「154・・・157・・・153・・・」
けっこう高いな・・・
かなり脚を使わせてしまっているかも・・・
いくら200km走れる脚を持っているとはいえ
私と走る事でオーバーペースとなってしまっていれば申し訳ない。
「日頃は心拍計を使わないそうなんで心拍では解らないと思いますが
感覚として、しんどさはいつもと同じくらいですか?」
「ええ、いつもと同じくらいです。
8割の力で走り続けます。
私の場合、8割の力というのは、少なくとも1時間維持出来るペースです」
理にかなっている・・・
とてもロードバイク歴2カ月の初心者の答えとは思えない。
心拍計の数字に頼らずに
感覚として自分のペースを理解しているのか?
この時点ではまだ、ぴよぴよさんの実力について半信半疑だったため
先頭交代して脚を温存してもらう事にしました。
先頭交代はしたものの
向かい風の中を切窓峠までの登り基調を
ある程度の速度を維持しながら走るのは骨が折れました。
並みの初心者ならついて来れないスピードだったと思いますよ。
切窓峠を越え八重谷峠を越え、いよいよ寺坂峠へ向かいます。
寺坂峠を越えたところに、ぴよぴよさんの故郷の集落があるのです。
ここからは私が案内しますとばかりに
ぴよぴよさんが先頭を引きます。
「けっこう狭い道なんですね」
「子供の頃、この峠を自転車で登って遊びに行ったものです。
もちろん、頂上の遥か手前から自転車を降りて歩きでしたけれど・・・
この道を通って銀玉鉄砲を買いに行ったりとかね・・・・」
「ええっ!こんな峠道通って?」
感覚としては林道に近いかも。
センターラインなどない、木々が生い茂った峠道です。
途中、道路脇に重機が止めてある場所があり
そこで作業している男性に、いきなりぴよぴよさんが大声で挨拶。
「こんにちは!」
「?」
「ぴよぴよですよ!相生から自転車で来た!」
「どこへ行く?」
「今から海内(みうち)行く!」
「コギコギさん、あのおじさん、僕の親戚なんです」
海内とは、ぴよぴよさんの集落です。
佐用川支流の「庵川」の最上流に位置し役場までは14kmほどもある僻地。
今では公共交通機関も無く日用品を購入する店も無くなってしまったそうです。
「海内に雪が30cmくらい積もっていても
平福まで出ると、うっすらとしか積もっていない・・・なんて事がよくありましたね。
今じゃ雪も、あんまり降らなくなりましたけどね・・・」
そんな話をしていると
寺坂峠の勾配がきつくなってきました。
私の心拍計は160を超えようとしています。
いつも言っていますが・・・私は坂が苦手です。
やっぱり・・・
千切られちゃいましたぁ~
「あれが僕の実家です。
もう今では誰も住んでいません・・・
人が住まなくなると、家って湿気てダメなんですよね」
茅葺屋根の上にトタン屋根をかぶせた
典型的な田舎の家がそこにありました。
十数年前まではぴよぴよさんのお母さんが住んでいたそうですが
時の流れと自然の風化にさらされて
どこか悲しげな佇まいを見せていました。
今となっては、ぴよぴよ少年の笑い声やお母さんの叱る声も聞こえてこない。
窓は閉まったままになっています。
「アレが海内小学校です。
僕の頃は全校児童45人。
僕の学年は一番多くて11人でした。
みんな仲が良かったですよぉ~
でもね・・・だんだん児童数は減っていって僕が在校中に30人まで減って
最後には、たった一人の卒業生なんてニュースになったりしてね・・・
今では廃校になってしまいました」
海内の集落には小さな川が流れています。
これが佐用川の支流、庵川です。
「この川はね、蛍が凄く綺麗なんです。
初夏、日が暮れて空が暗くなった頃に
あの木にたくさんの蛍がとまってクリスマスツリーみたいなんですよ。
この辺じゃ秋里川が有名じゃないですか。
でもあそこは人がたくさん見に来る。
でもここまで奥に、人は来ない。
村の人は蛍なんて珍しくないから見に来ないんで
静かに蛍を見る事が出来るんですよ」
海内に来た証拠に海内の公民館で証拠写真。
高度経済成長とともに農村から都市部へという人の流れは止まりませんでした。
日本の経済構造が大きく変革した時代に
それはいたしかたない事だったのかもしれません。
しかし、物質的な豊かさと引き換えに何か大切なものを失ってしまった様に思います。
人間も生き物ならきっと自然と共に暮らす方がいいんだと思います。
日本は福島の悲劇を経験し
身の丈に合った生き方を探し始めたのかもしれないと感じています。
原点回帰ではありませんが
私達はぴよぴよさんの幼き頃の海内の暮らしに
単なるノスタルジーではなく、戻ろうとしているのかもしれません。
100年後か200年後か・・・
物質的な豊かさとは違う豊かさを謳歌出来る時代がやってくる事を願っています。
鮎が故郷の川に帰ってくるように
ぴよぴよさんは自転車で帰ってきました。
子供の頃は登れなかった寺坂峠を足をつくこと無く登り切り
故郷の海内に帰ってきました。
車で寺坂峠を登って帰ってくるのとは違う豊かさが
心に湧きあがってきたのだろうと思います。
「僕ね、高校時代にブリヂストンのロードマンという自転車で通学していたんですが
最速記録が佐用駅まで24分。
距離から時速を換算すると平均時速35kmにもなるんです。
高校時代の僕って凄かったなぁ~と思うんですよ」
「ええっ!平均時速35km!速っ!」
私達は一先ず平福を目指して海内を後にしました。
遅筆のためここまでしか書けませんでした。
ぴよぴよさんの速さの秘密まで書きたかったんですけどねぇ~
続きは後日、必ず書きます。
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寺坂峠もこのクリスマス寒波で、雪ですかねぇ。
いい時期にファンライド出来て良かったですね。
次回は参加したいです。
風も強いし日暮れも早い・・・
ぴよぴよさんはロードバイク歴は短いですが
ykさんが遠慮なく走れる実力の持ち主です。
次回は是非、参加して下さい。
冬の間は自転車に、なかなか乗れませんよねぇ~
私はもっぱらスキーしてました。
知り合いの自転車乗りはスイミング行って心肺能力鍛えてましたよ。
その方はローラーも凄くやってましたけどね。
ローラー台で練習する時に心拍計を使うと効率がいいみたいです。
おばさんはオートバイも乗るんですね。
ロードバイクはオートバイからの転向組が割といますよ。
感激です!
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ぴよぴよさんの故郷に対する思いに接した時
ふと、震災や原発事故で故郷を失った人たちを思い浮かべました。
「うさぎ追いし~」を涙を流しながら歌う被災者。
ありきたりの言葉でしか表現できませんが
故郷には大切な何かがあるようです。
すっかりご無沙汰です。
ぼくもぼちぼち元気で自転車に乗ってますよ。
こぎこぎさんも相変わらず、乗ってるなぁ!と思いながらブログを読ませてもらってます。
だんだん寒くなってきて少しつらいですけど、ぼくも平日休みがあったりするのでまたよかったら、声かけてください!
私の記憶違いでした。
月曜日に修正しときますね。
寺坂峠のヒルクライムは、やっぱり大したものでしたよ。
あれは臨時漕会の中でも速い方です。
上月からの高速巡航は、あれは私の得意分野なので…でも、今の調子で走り続ければ、私はすぐにぴよぴよさんに置いていかれるどしょう。
走行距離は走力に比例します。
私はぴよぴよさんが来年、どんな風になるか
すごく楽しみにしています。
心拍計ですが最初は高価なものでなくてもいいと思います。
消費カロリーと心拍が表示されれば大体の事ができます。
ぴよぴよさんも使ってるシグマのサイコンなんてどうでしょう。
1万円ちょっとで大体の機能がついてます。
って、この前、自分のサイコンが壊れて自分もシグマ買いました。
ショップの方を先に選んでいるかも。
私が通ってるショップが取り扱ってるメーカーの物から
自分がいいなと思った自転車を選んでます。
あと後、自転車を面倒見てもらうのに
信頼出来るところでないと困りますから・・・
これはロードバイクへの道のりの王道ですね。
それを1カ月で・・・
その判断の早さと行動力は気持ち良ささえ感じます。
うちのエースのYKさんが是非おばさんと走ってみたいって。
絶対速くなる人だと思うからだそうです。
引っ張り出されちゃいました。楽しく、コメントを読ませてもらっています。
コギコギ日記本文も魅力的ですが、最近、コメントが・・・。
みなさん、個性的の方々で、のめり込み方から、赤マル急上昇でしょうね。
おばさんも、コギコギ日記に被写体として登場してはどうですか?
では、皆様、良いお年を!