前面投影面積を最小にして向かい風に打ち勝つ! |
心よりお見舞い申し上げます。
また、亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りします。
被災地で、また自転車に乗れる日がやって来る事を願ってやみません。
がんばろう、にっぽん!
この記事は5月13日(金)の出来事を書いたものです。
仕事が休みだったので、もちろん走りに行きました。
コースは70kmコース。
前日までは大雨警報が出て佐用町では避難勧告も出たとか。
雨は上がっていますが気圧が安定していないのか風は強め。
西北西の風5mという事でしたが、海上風警報も出ていたようです。
時計と反対回りに回るコースなので新宮から久崎までは、もろ向かい風との戦いになります。
練習内容は、今回もAT値付近で走り続ける練習。
向かい風は嫌ですが目的はAT値付近の心拍を維持する事ですから
そこは割り切ってモチベーションを高めます。
見通しの良い農道では心拍をAT値付近に合わせても時速は20kmくらいしか出ない場面も多くあります。
こういう時は軽いギヤでケイデンスを高くして回転力で進む方が速度を維持しやすい感じがします。
重いギヤだと心拍をAT値付近で保つ事が難しくなります。
しかし、体感的には風速5mという感じではなく、もっと強い感じなんですが・・・
目的が心拍をAT値付近に保って走る事であっても最大限速さを追求したくなるのは自転車乗りとしての本能です。
向かい風に立ち向かうための乗り方をしなければなりません。
向かい風の時は特に、空気抵抗を最小化する様なフォームが求められます。
空気抵抗を最小化するフォームを考える上でヒントとなるのが
前面投影面積を最小化するということです。
前面投影面積というのは物体を真正面から見たときの面積。
厳密には前方無限大の距離から光を当てた時に、
物体の後ろに立てた壁に出来る影の面積を言います。
ライディングフォームを正面から見て、
そのシルエットの面積がもっとも小さくなるようなフォームが
空気抵抗の小さいフォームと言えます。
アップライトで上半身を起こしたフォームより
前傾の深いフォームの方が前面投影面積が小さくなるので、
より空気抵抗の小さいフォームと言えます。
また、ペダリングを止めている状態だと
片方のペダルを下死点に下げた状態より
クランクを水平のした方が、すねの面積分、前面投影面積が小さくなるので
より空気抵抗が小さくなります。
前面投影面積を考えると向かい風でのフォームは、おのずと決まってきます。
皆さんは、向かい風の時、下ハンを握りますか?
下ハンを握ったほうが前傾が深くなって
頭一つ分でも前面投影面積が少なくなりますから空気抵抗を減らせますよね。
考え方としては合っていると思いますが
最も空気抵抗の低いエアロポジションではありません。
私が多用する空気抵抗の最も小さいフォームは下ハンを握りません。
ブラケット部の先端を握ります。
サイコンが目の前に来るくらい頭を下げ、腕を伸ばし、ブラケットの先端部分を握るのです。
脇を締め、腕が体のシルエットの幅に収まる様にします。
イメージとしてはスーパーマンが空を飛ぶ時に腕を伸ばすのと同じ感じかな。
写真は自転車に乗っていない時に、どこを握るか説明するために撮影したもので
実際とは多少違うかもしれませんがこんな感じです。
ペダリングは上げた膝が胸に当たるようなイメージになります。
それくらい頭を下げると理解して下さい。
なぜ下ハンでなくてブラケットの先端部分を握るのかというと
それは特に腕の空気抵抗を考えるからです。
下ハンを握るのとブラケットの先端を握るのとでは
前面投影面積の点から見れば、大した違いは無いかもしれません。
しかし、下ハンを握ると腕は垂直に近い角度で風にさらされますが
ブラケットの先端を握る事で腕の角度は水平に近くなります。
垂直に近い角度で風にさらされるより
水平に近い角度で風にさらされる方が空気抵抗が小さくなるのは明らかです。
例えば前面投影面積がまったく同じ円形があるとします。
同じ円形でも片方は平面で片方は球体であったとしたらどうでしょう。
もちろん球体の方が空気抵抗が低くなりますよね。
このように、空気抵抗を考える上で前面投影面積だけでなく
物体の立体的な形状も考えなければなりません。
そう考えると、向かい風の中では下ハンを握るよりも
ブラケットの先端を握ったほうが有効であると言えます。
ブラケットの先端を握る事で空気抵抗が減った効果は体感できるでしょうか?
例えば車で走行している時、手のひらを広げて窓から手を出してみてください。
空気抵抗は速度の2乗に比例しますから
速度が上がるにつれ、手のひらが風に押される感覚が強くなってきます。
時速80kmにも達すると、もはや手のひらを静止させておく事は難しいでしょう。
80kmまで行かなくても、40~50kmくらいの速度でも
手のひら分の面積の空気抵抗の強さを実感出来ます。
自転車で向かい風の中を走るという事は実際の速度よりも速く走っているのと同じです。
たとえ時速20kmしか出せなくても
時速40kmで走っているのと同じ空気抵抗だってあり得るのです。
手のひら分の面積の空気抵抗でも影響は大きいので
エアロポジションの効果は体感出来ます。
クランクを下死点で止めただけでも速度が落ちる感覚はあります。
また、ドラフティングでも前走者との距離が近づきすぎた時、
ブレーキを使わずに、体を起して空気抵抗を増やして減速するのと同じで
逆にエアロポジションをとれば、スッと進む感じがあるのです。
ブラケットの先端を握り、脇を締め、腕を体の幅におさめるイメージで伸ばす。
目の前にサイコンがくるくらい頭を下げるので膝が胸に当たるような感じのペダリングになる。
エアロポジションをとる事で前方からやってくる風を切り裂くように進む事が出来るのです。
もちろん、エアロポジションは向かい風だけに使うのではなく
平坦路の高速巡航にも使います。
条件の良い長い直線では、その威力を発揮します。
ただ難点は、非常に窮屈なポジションであるためコンフォートには程遠い事です。
私の場合、腕や肩が疲れます。
新宮から久崎まで、ずーっとエアロポジションという訳にもいきませんから
たまに体を起して筋肉をほぐします。
そのタイミングで並走して走る姫新線の撮影に成功しました。
こんな写真しか撮れないんですよね。
もし向かい風や平坦路の高速巡航で下ハンしか握った事がないようでしたら
前面投影面積を最小にする事を意識してエアロポジションを試してみてはいかがでしょう。
走行距離…70.41km
時間…2:36:24
平均速度…27.0km
最高速度…52.5km
積算距離…13978.4km
消費㌍…1650kcal
補給食…379kcal
心拍…Avg.80%(141)Max.88%(156)
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
向かい風のお陰で、いつもよりAT値付近の心拍を維持して走れました。
このあと、回復走をやりましたが、
回復走の重要性と効果についてはまた今度書こうと思います。
このブログは、にほんブログ村ロードバイク部門ランキングに参加しています。
下のバナーをクリックして人気投票していただけると嬉しいです。
ポチはどれでも一つでいいですよ。
にほんブログ村
ブラケット握りが最も有効だなんて、感心して記事を拝読しました。
今度、僕も試してみますね (^-^)v
下ハンもブラケット握りも、お腹が窮屈なので、まずは腹筋を鍛えないと僕には無理かも (-_-;)
向かい風の中を走っています。
まわりに、その部分握って走る人はいないんですが
やっぱり下ハン握るより効果があると思います。
腕を前に出す事で、
腹部に入ってくる空気を減らす事が出来るからかもしれません。
一度試してみてください。