雨のしまなみオッサン3人旅 |
これだけ晴れの日が続いたのに、よりによって
我々がしまなみ海道ロングライドの為に宿を予約した日に限って
雨の予報が当たってしまった。
参加メンバーの中に強烈な雨男がいるのか、日頃の行いの悪い人間がいるのか。
我々は一日目のロングライドはあきらめた。
ここは潔く観光しようじゃないか。この歳になってグループ旅行出来る幸せを楽しもう!
とは言っても、瀬戸田PAから雨に霞む多田羅大橋を眺める我々の背中は
いつにも増しておっちゃんの哀愁が漂っている。
今回の旅のナビゲーターは6年前にも、私と一緒にしまなみ海道を旅したHN氏が務める。
私と初参加のHM氏はツアーに参加のお客さんみたいなもんで、
楽をさせていただいた。
HN氏のナビゲートで今治観光に向かう。
ところで今治は焼き鳥がうまいらしい。
昼飯に是非焼き鳥を食おうという事で、見知らぬ今治市内をさんざん物色した。
だが看板は出ているものの、営業している店は一向に見付からない。
そりゃそうである。焼き鳥はお酒がつきものである。
焼き鳥を食わしてくれるお店イコール飲み屋さんなのだ。
昼飯に焼き鳥を食いたいっていうのは
冬にスイカを食べたいっていうくらい無理な話なのだ。
「やっぱり無理なんじゃないの?あそこのガストに入る?
それとも、さっきあった、はなまるうどんにする?」
我々があきらめかけたその時、焼き鳥の看板を掲げ、のれんの出ている店を発見!
瀬乃家というそのお店に入ると照明のついていない店内で大将はテレビを見ていた。
客は一人もいない。
はずしたかな?
どうも、昼もやってるけど夜は居酒屋という店のようである。
メニューも昼用と夜用がある。もちろん、昼用メニューに焼き鳥はない。
「私ら遠くヨソの県から来たんですが、今治は焼き鳥がうまいって聞いたんで、
食べたいんですけど、何とかなりませんかねぇ?」
とHN氏が交渉を始める。
「う~ん…じゃあ何か、焼きましょうかねぇ」
「ちなみに一人前って何串ですか?」
「???ここらじゃ鉄板で焼くんで串は使わないんです」
なんか、いい方向に物事が動きだしたようだ。
串を使わない焼き鳥?
余計食いたくなってきた。
我々は日替わり定食と
焼き鳥二品を注文した。
1つは「せせり」と言って鶏肉とたまねぎが鉢に入ってぽん酢で味付けしてある。
写真の様に混ぜて食べる。
もう1つは「鶏皮」といってコラーゲンタップリの柔らかい鶏皮を甘辛いタレで絡めたもの。
さすが夜用メニューだ。
HN氏の目が飲みたいと言っている。
結果的にこの店を選んだのは正解だった。
今治の酒飲みしか体験出来ないようなうまいを体験させていただいた。
この店の味と低価格は特筆物だ。日替わり定食は600円である。
昼食後、我々はBANFFという自転車店にいた。
「実は私らしまなみ海道を走るために遠く兵庫県から来たんですけど、
あいにくの雨で…そこでこっちの自転車屋さんにでも行こうって事になりまして…
ちょっと覗かせてもらってもいいですか?」
と、またまたHN氏が交渉を始める。
「どうぞ。いいですよ」
偶然訪れたみたいだが、この店は既にHN氏によってリサーチ済み。
今治観光のコースに設定してあった。
「しまなみあるから、やっぱり自転車は盛んなんですか?」
「どうですかねぇ…今治じゃプロショップはうちも含めて3軒ほどですね。
地元の人はあんまりしまなみは走らないですねぇ。
しまなみ走る人はにわかサイクリストが多くてね。
よくパンクしたとかホイルが割れたとかで来ますよ。
地元の人はしまなみより、岡村島に船で行って、
島づたいに広島県の呉まで行く人が多いですよ。しまなみより田舎で走りやすいです」
この店長、一見さんの我々に親切に対応していただいた。
おすすめコースも紹介してくれるなんて、
こんなショップが私らの地域にもあったらなぁ…
私は自転車仲間へのお土産と自分の自転車用靴下を買って店をあとにした。
どこで買っても同じ自転車用品をお土産にするのも変だが店長への感謝の気持ちである。
まだチェックインには時間があったので、
私のお願いで大島の村上水軍博物館へ行った。
実は私の母方のおばあさんが村上水軍の血を引くとかで見ておきたかったのだ。
ちなみに水軍とは海賊です。
村上水軍の旗印は
「丸に上」これがかっこいいのだ。
こーゆー話はオッサンになると得意になる傾向がある。
宿は6年前と同じ富士見園。改装されて見違えた。
和風モダンになっている。
自慢の潮風呂では、
大将がこの2月に自作したばかりの露天風呂に入らせていただいた。
6年前は「自転車で汗かいたのに、海水沸かした風呂かよ」なんて思って申し訳ない。
温泉でいう塩化物泉と同じ理屈でよく温まる。
立派な風呂によくぞここまで作ったものだ。
夕食はもちろん、
瀬戸内海の幸。
今日は汗も流していないのにビールが進む。
隣席の年配のご婦人二人組との会話を酒の肴にする。
私とHN氏は若い女性にゃ弱いが、年配のご婦人は得意分野である。
満腹の腹を抱えては部屋での酒は進まない。
女子学生がグループ旅行でトランプ持って来てるのと同じ理屈で
HN氏はバイシクルクラブやサイクルスポーツなんかの自転車雑誌を持ってきていてたので、
暫し自転車談義。
オリジナルチームジャージを作る特集で、臨時漕会もチームジャージ作るかって、
冗談半分、本気半分の話。
「村上水軍の旗印の丸に上みたいに、
背中に「丸に臨」ってつけたら戦国時代の陣羽織みたいでかっこいいでしょっ」と私。
私らの会話が弾んでいるところへ、時折、
隣の大部屋から女性の笑い声。
「きゃっきゃ」と言ってる様に聞こえる。
若いかも!
HN氏がトイレの帰り、スリッパが10人分あったと偵察。
私がトイレの帰りに「学校が…」って言葉が聞こえたと報告。
にわかに我々のテンションが上がる。
我々の推理は以下の様にまとめた。
まず、10人という人数であるが、女子学生の卒業旅行にしては規模がでかすぎる。
平日に宿泊って大学のサークルかクラブの合宿や旅行か?
いやいや全員女子というのは共学では有り得ないだろう。
そうなると女子大か短大か?
最近は女子大自体減っている。短大生の方が可能性高くないか。
例えば、大三島女子短期大学みたいな名前の地元の短大生じゃないの?
時折聞こえる女性の楽しそうな笑い声や話声の主は、
オッサン3人の脳ミソの中で、純粋で可憐な地元のお嬢さん達に具体化されていった。
しかし、小心者の我々はそれを確かめる勇気もテクも無い。
そうこうしているうちにあちらに動きが…
玄関にマイクロバスが用意され、それに乗り込む彼女達。
カーテンの隙間から確認する我々。
あれっ微妙に若くないぞ。我々と同じ世代に見える。
彼女達、どうも地元の子育て層のお母さんたちの集まりみたいだ。
多分PTA。
我々の妄想が断ち切られたところで就寝。
明日はしまなみを走れるだろうか?
ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。
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