レース前のレース |
人知れず、過酷な戦いがあったのをご存知だろうか?
ピット争奪レースである。
サーキットレースにとって、ピットの場所は重要である。
ライダー交代をするチームにとって、自分のピットが後方に押しやられる、
イコール、タイムロスを意味する。ピットの位置は最前列が一番いいに決まっているのだ。
我々のチームはフルエントリー。応援の家族や友人を含めると結構な大所帯である。
しかも、今回は二時間チームに2名エントリー。ピットの場所は譲れない事情があるのだ。
そこで私に科せられた任務は「レースに有利なピットを確保せよ」である。
天満屋ハピータウンカップレースの開門は早朝5時。いったい、何時に並べばよいのか?
中途半端に早起きして現地に行くより、現地に車中泊で前泊する。
それが、今回の作戦である。
前日、深夜に現地到着。道中、鹿やキツネに頻繁に遭遇。やはり山奥だ。
雲は無く、山をシルエットに星明かり。外気温8度。感覚的には冬だ。
にも関わらず、サーキット横の駐車スペースは車でいっぱい。車中泊の群れ。
中にはテントも数張り。とても冬用テントには見えない。寒いだろうに。
私は、眠るために平坦な地面とトイレが欲しかったのでアゼリア館に移動。
そこも、車中泊の群れとテント。
ナンバーは愛媛や香川、島根もある。ご苦労さんである。
他の人もレースに出るには睡眠が必要だろう。
4時に並べば大丈夫だろうと思い、暫く仮眠する事に。
私の車はデリカなので車中泊はお手の物だ。しかし、今回は自転車と添い寝である。
足元の車載キットの金具が安眠を妨げる。なかなか眠れない。
アッというまに午前3時30分。
準備して4時にサーキット入り口に並ぶ。
しかし、既に、駐車スペースにあった車中泊の群れは道路に移動し、臨戦体勢。
甘かった!
私の場所はゲートより後方5〜600メートル。決して有利とは言えない。
4時を目安に到着の車が多いのかドンドン車列は延びていく。最後尾はすぐに見えなくなった。
この調子だと、開門が早くなるかもしれない。
眠る訳にはいかなくなった。あとは睡魔との戦いだ。
4時半頃、前方が騒がしい。ヘッドライト点灯の明かり。
ブレーキランプの赤い光がドミノ倒しの如くやってくる。
開門だ!
急いでチケットを確認。いよいよ戦闘開始だ。
場所とり用ブルーシートは助手席の足元に置いた。
ところが前方の様子がおかしい。
バックする車、右に大きくふくれる車。
なんと、車列の中に睡魔に負けて眠っている車があったのだ。
それを避けるため道路は混乱状態だ。
やっと私の進む番。ところが、すぐ前のエスティマが動かない。寝ている。
「なんてこった!甘いんだよ」と思い、
追い越しをかけたいが、車間が狭く前に出れない。
バックしようにも後続車との間も狭く、それも苦しい。
仕方なく切り返している間も、ドンドン後続に抜かれる。
「やばい、場所とれなくなる!」
強引にハンドルを切り、捨て身の追い越し。
数台、睡魔に負けている車を追い越してやっと料金ゲートにたどりつく。
3つの料金ゲートのうち私は一番右。
だが、左の料金ゲートは進むのにこちらは進まない。「何なんだ?」
見ると私の数台前の車が、チケットが無く、探しているもよう。
「ったく」遅れること10台くらいか。やっと駐車場へ。
サイドブレーキを引くやいなやブルーシートとアウトドア用の椅子2脚を持ってピットへダッシュ!
空いているピットを探し、右へ左へ。
もう最前列はダメかもしれない。
諦めかけたとき、中程のピット、右側に空間、発見!
ブルーシートをぶちまける。
滑り込みセーフ!最前列確保!
心拍が上がっている。音が外に聞こえそうなくらいだ。
やっと安心。
椅子を広げ、後は荷物運びで駐車場を往復。
最後に自転車を置いて、ピット確保のメール送信。この時、午前5時18分。
最初のレースに勝利した瞬間だった。
私の知られざる奮闘。メンバーは誰も見ていない。
ここはアピールしとかないとね。
レース本番は後日、ご報告します。
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